Honda CIVIC SEDAN
「新型アコードじゃないの⁉」


 新型シビック(あくまでプロトタイプ)を見た瞬間の印象がそれ。世界的に言えばCセグメントに属するクルマだというのに、とてもじゃないけれどVWゴルフと同属だとは思えない。 

Honda CIVIC SEDAN
 4ドアセダンの全長は4650mmに及び全幅は1800mm、全高は1415mm。ゴルフよりも385mmも長く65mmも高い。幅は同じだが、ホイールベースも65mmも長いのだ。アコードと勘違いしたのも許されるだろう。


 しかも驚きは、シビックが日本に投入されるのは6年ぶりだというのだ。9代目となる先代は、逆輸入だったタイプRを例外とすれば、日本に投入されていなかった。日本を代表する大衆車に空白があったこと、あるいは気づいていない人も少なくないだろう。そう、アメリカと欧州はもちろんのこと、世界各地で成功した10代目シビックが、凱旋帰国することになったのである。ボディが日本人離れしたのは、海外で生まれ育ったことと無縁ではないだろう。


 今回日本投入が発表されたのは3車形だ。セダンとハッチバック、そしてタイプRである。今回の試乗会でタイプRのステアリングを握る夢は叶わなかったが、新型シビックの鼻息の荒さを十分に感じられたことを報告しよう。

Honda CIVIC SEDAN
 セダンは日本で生産される。だが、開発のベースはアメリカだ。生産は日本。日米合作なのだ。だからかもしれないが、走りは極めてアメリカ人好み。乗り心地を重視していながら、ステアリングの切れ味を鋭くチューニングしていたのだ。


 だが、新開発のブラットフォームが地を這う感覚を担保している。上体の移動量ほどドライバーはロールを感じないのである。


 特にそれを意識したのはハッチバックである。元気な造形のエクステリアから想像できるように、走りはスポーティだ。ハッチバックは英国製だが、ステアリングの切れ味はセダン同様に鋭い。比較すれば、足回りはやや硬めだから、ロールも薄らいでいるのだ。


 驚かされるのは、挙動が攻撃的なことだ。中低速のコーナーが連続する袖ヶ浦のサーキットで、前後荷重をタイミング良く入れ替えてあげると、テールスライド気味の挙動に持ちこむことも可能なのである。最終的にはスタビリティコントロールが救ってくれるものの、激しく走る姿はホンダらしいと思った。


 ホンダ開発陣がシビックにかける思いは熱い。「最近のホンダ車はつまらない。そう言って他メーカーに流れていったユーザーに喜んでもらえると思う」。そう言って期待を込める。

Honda CIVIC HATCHBACK
 それが証拠に、海外仕様のハッチバックには6速MTもラインナップしている。「シビックで儲けようとはあまり思っていません。走りのホンダが戻ってきたと思ってもらえれば嬉しいですね」そうも口にした。



 いっぽう、エンジンは共に直列4気筒1.5リッター・ターボである。セダンは173ps、ハッチバックは排気系の関係で+9psの182psだ。


組み合わされるミッションはCVTのみ(日本仕様)。ハイブリッドの予定はない。


 開発陣がこだわったのは、CVTの悪癖のひとつであるラバーフィールの改善である。エンジン回転と速度がミスマッチするあの節度感の無さを抑えようとしたのだ。たしかに回転だけが先回りする感覚は薄らいでいるし、有段ギアのように回転が高まる印象もある。CVTらしさが霧散したわけではないが、改善の跡は窺えた。


 いくらターボで武装しているとはいえ、1.5リッターの小排気量エンジンゆえに、パワーフィールはターボ頼みである。低回転域では鈍さが残る。だが、それを逆手にとっているのか、ターボ過給圧は高めに設定しているようで、パワーゾーンに突入すれば頼もしい速度の伸びが期待できる。走りのシビックらしさは出力特性にもあらわれていた。


 日米欧合作シビックは、走りのホンダとしての狼煙である。それが日本のクルマ好きにどう評価されるのか⁉ 期待して見守りたい。  

<Honda CIVIC HATCHBACK>

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