3代目日産「フェアレディZ」の高性能版「300ZX ターボ」を廃車置場で発見
Related Gallery:Junked 1985 Nissan 300ZX Turbo

日産「フェアレディZ」の長い歴史の中でも、3代目「Z31」型で登場した3.0リッター・エンジンを積む高性能モデル「300ZX」は、その後継となる4代目「Z32」と共に、米国では長く販売されたモデルとして認識されている。Z31はそれまでの直列6気筒に替わり、"Zカー"で初めてV型6気筒エンジンを搭載した。筆者が先日、米国コロラド州デンバーの廃車置場で発見したのは、ブラックとゴールドの2トーンで塗られた比較的初期の1985年モデルだ。



1980年代に電子制御式の燃料噴射装置(EFI)と点火装置が成熟したことで、それ以前には気まぐれだったターボ車もまともに動くようになった。普通のクルマみたいにちゃんと始動して走行するターボ車が買えるようになると、「ターボ」という言葉は逞しさを象徴する言葉になったのだ。そのため、当時は多くの自動車メーカーが自社製品にターボというバッジを手当たり次第に付けていた三菱「スタリオン」は「ターボのエンブレムが最も多く貼り付けられたクルマ」のチャンピオンだろう。なにしろシートベルトにまで「ターボ」の文字が踊っていたのだから。



日産は当時、「ターボ」というエンブレムを自慢気に貼り付けることは控えていたが、それでもこの300ZXは1985年の「ターボ・バッジ最低必要数」の基準は満たしていたようだ。



このクルマには多くの凹みや擦り傷があるものの、錆はほとんど見られない。米国中西部(かつて自動車工業で栄えたが、現在は「錆び付いた工業地帯」として知られる)の人間が見たら歯ぎしりするに違いない。このZ31は優秀なクルマと言えるが、仮にレストアしても、それ以前の「240Z」や「280Z」ほどの高値は付かない。だから状態の悪いクルマは、こうして廃車置場行きになるのが常である。



当時、価格が1万9,699ドル(1985年の対ドル平均レート238.5359円換算で約470万円、2017年現在の貨幣価値でおよそ4万5,000ドル=500万円ほど)だった300ZXターボは、価格以上のパフォーマンスを発揮した。車両重量1,424kgで200hpというスペックは、1985年当時では注目に値した。ちなみに同時期のシボレー「コルベット」は1,400kgで230hpだったが、価格は2万4,873ドル(1ドル238.5359円換算で約593万円)。ポルシェ「944」は1,210kgで143hpだが、2万1,400ドル(1ドル238.5359円換算で約510万円)もした。



しかも300ZXには、当時のコルベットやポルシェには付いていない電子コンパスと加速度計が装備されていた。'80年代の日本製スポーツカーは未来志向だったのである。



もちろんTバー・ルーフ仕様!



「サスペンションをFIRMに切り替えて、さあアクセルを踏め! 燃料噴射装置式3リッター・エンジンの強力なパワーを手に入れたのだから」



1980年代中期、日産のTVCMは男っぽいナレーションを使用していた。



しかし、男っぽいナレーションにテレビゲーム風の音楽をかぶせたCMが見たければ、1985年の日本に行くしかない。


By Murilee Martin
翻訳:日本映像翻訳アカデミー