憶えていますか? ダッジが10年前に開発していた「デーモン」という名前の小型ロードスター
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ダッジが今年のニューヨーク国際オートショーで公開した「チャレンジャー SRT デーモン」は、正式発表前から大きな注目を集めていた。だが、今から10年前、ダッジが既に"悪魔"の名前を持つモデルを開発していたことをご記憶だろうか? それは今回登場したマッスルカーの高性能版とはかなり趣を異にするモデルだった。



2007年に発表されたコンセプトカーの「デーモン」は、実に小さなロードスターだった。当時のマツダ「MX-5 ミアータ(日本名:マツダ ロードスター)」や、今はなきポンティアック「ソルスティス」サターン「スカイ」に対抗して開発されたクルマという印象だ。デーモンは、MX-5やソルスティスよりも1インチ短い車体に、最高出力172hp発揮する2.4リッター4気筒エンジンを搭載。ミアータは170hp、ソルスティスは177hpだったから、ちょうどその間に入り込む位置づけだ。車両重量は(コンセプトカーなので正確な数値ではないが)2,600ポンド(1,179kg)と、やはり2車の中間で、MX-5よりも約150ポンド(約68kg)重く、ソルスティスよりも約200ポンド(約91kg)軽い。



この軽快な2シーターのロードスターは、デザインもそれに完璧に相応しいものだった。様々な点から観ても"小さなヴァィパー"と言えるようなクルマで、威圧的な十字グリル、傾斜したヘッドライト、ワイドに張り出したリア・フェンダーを備えていた。無駄を削ぎ落とした幾何学的なラインは、アウディの初代「TT」に近いものがあった。



インテリアも同様に簡素でシンプルなデザインだ。特筆すべきは、ダッシュボードに水平上にはめ込まれたアルミ製のアクセントだ。センターコンソールも同様にアルミ製カバーが採用されている。インストゥルメント・クラスタには4つのメーターが整然と並び、操作系はエアコンの調節ダイヤル、2DINサイズのカーオーディオ、そして6速マニュアル・トランスミッションのシフトレバーがあるだけだ。



2007年のジュネーブ・モーターショーで発表されたデーモンは、当時、我々が実際に試乗してみると、完成度は市販車のレベルから程遠かった。ギアボックスはきしみ、乗り心地は酷かったが、車内は広々としており、少し品のない感じはしたもののエンジンも適度なサウンドを響かせていた。

当時、我々はその小型ロードスターを絶対に市販化するべきだと述べた。だが、今になって振り返ると、ダッジがこのデーモンを市販化しなかったのは正解だったといえる。後輪駆動の小型スポーツカーは、当時も今もかなりニッチな市場だからだ。もし市販化していたら、今日のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が回避しようとしている、"わずかな利益のための巨大な投資"になっていたことだろう。2007年といえば、世界金融危機によりクライスラーが経営破たんする一歩手前の時期だったのだ。



だが、デーモンが市販化されなかったといって、そう悲しむ必要もない。FCAからミアータをベースに開発された「124スパイダー」という素晴らしいロードスターが発売されているからだ。そしてその名前は、軽量でハイパワーな「チャレンジャー」の最強モデルに引き継がれている。ただし、FCAが124スパイダーにSRT デーモンのように"悪魔的"な改良を施すというのなら、我々は大歓迎だ。


By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー