MASERATI Levante
 なんの予備知識を持たずとも、眺めた瞬間にマセラティだとわかる。


 獰猛な印象すら受ける大きく口を開けたフロントマスクは、マセラティ伝統の造形であるし、フェンダーをまろやかに隆起させるなど、全体にラウンドしたフォルムであるところもマセラティらしい。

MASERATI Levante
 Cピラーに貼られたサエッタロゴやフロントフェンターの3連エアホールを見ずとも、もちろんフロントにまわってグリルに埋め込まれたトライデントのエンブレムで確認せずとも、同社初めてのSUVだというのに、正真正銘マセラティであるところが心地いい。


 しかも、体躯は堂々としている。かなりの大柄だ。サイドから眺めると、ルーフはリアに流れるに従ってなだらかに下げられている。SUVでありながらクーペスタイルなのだ。それが錯覚を誘っているのかもしれないのだが、いざ乗り込もうとするとその巨大さに驚かされたのである。


 それもそのはず、お洒落な雰囲気とラグジャリーな印象という点でイメージが重なるジャガーFペースやポルシェ・カイエンなどと比較すると、一回り大きいのだ。レンジローバーと同等の車格なのである。

MASERATI Levante
 だから、乗り込みも、クロスカントリー系の本格SUVのように、両手をどこかにかけて、よじ登るような印象を受けた。都会を優雅に闊歩するだけのアーバンSUVなのだろうと舐めていると、それとは異なる趣に圧倒させられたのである。

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 そう、レヴァンテはお洒落一辺倒な軟弱SUVとは一線を画す。そういえばレヴァンテは、スポーツカーメーカーたるマセラティの作品なのだ。あらためてそう思った。

MASERATI Levante MASERATI Levante
 それだから、走りはかなり強烈である。搭載されるエンジンはV型6気筒3リッターユニットにターボチャージャーを2基掛けすることで、最高出力350ps/57500rpm、最大トルク500Nm/4500rpmを絞り出す。ラインナップには、同じユニットから430psまでパワーアップしたレヴァンテSも存在しているのだが、350ps仕様でも十分に力強い。


 フルスロットルをくれてやると、激しく咆哮が響く。2.1トンを軽く超えるボディはけっして軽くはないのに、巨象が獰猛に突進するような強引な感覚なのである。


 スペック表によると、最高速度は243km/hに達するらしい。0-100km/h加速は6.3秒だというから恐ろしい。やはりレヴァンテはスポーツカーの血筋を受け継いでいるのである。

MASERATI Levante
 アーバンSUVだと安易に構えていた僕を、走り味がさらに驚かせた。ノーマルモード、あるいはコンフォートモードでは、咆哮と足回りが穏やかに制御するから比較的平静でいられる。市街地をクルーズする時には、爪を隠したラグジャリーな世界に終始する。


 だがスポーツモードにアジャストすると性格は一転、ステアリングレスポンスは鋭くなり、固められた足がロールを抑えるのだ。


 基本的にはハイウエイとワインディングでの試乗だったのだが、路面の荒れたバーキングでUターンなどを何度か試みた。その時にレヴァンテは、まるでオフロードモデルであるかのような荒々しさと頼もしさを露わにしたのは意外だった。そういえばレヴァンテは4WDだった。


 例えば、ハンドルを切りながら路面のギャップを乗り越えるような場面でも、しなやかに吸収するというよりも、強く凹凸を拒絶するといった印象だ。これなから河原のガレ場やダート路に挑んだとしても、グウァングウァンと上体に頼りなく揺れることもないだろうし、アンダーフロアを激しく打ちつけることもないだろう。レヴァンテで道無き道を走破するようなシーンは想像していなかったが、あるいはそんなシチュエーションでも耐えられるタフさが備わっているのだと想像した。


 試乗を終えて改めて感じたのはやはり、レヴァンテはマセラティが生み出したSUVであるということだ。その大柄な体躯に秘められたDNAは、まぎれもなくスポーツカーの熱い血潮なのである。

MASERATI Levante
 お洒落な雰囲気や、高級感あふれるインテリアから、うっかり軟弱なSUVだろうと決めつけていたことを恥じた次第である。

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■マセラティ ジャパン 公式サイト
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