TESLA  Model S P100D
「7人乗りのEVがスーパーカーよりも速い」  
 業界を駆け巡ったそんな情報を、はなから信じる気にはなれず、陳腐なガセネタだろうと一旦は決めつけた。

TESLA  Model S P100D TESLA  Model S P100D
 だがそれは、偽りでも誇張でもなかった。「テスラ モデルS P100D」は、0-100lm/hをわずか2.7秒で加速するのである。それは、コクピットに乗り込み、最初にひと踏みした瞬間に確信となったのである。


 モデルSには、搭載バッテリーの制御やモーターの数などによって7タイプのモデルをラインナップしている。その中でも最も加速性能に優れているのが「P100D」。とはいうものの、0-100lm/h=2.7秒は、世界のスーパースポーツカーの中でも数台に限られる俊足ぶりだ。リアトランクにシートを設置すれば、最大7名が乗れるというセダンがスーパーマシンに後塵を浴びせるというのだから、開いた口が塞がらないのである。


 停止状態からフル加速をすると、鞭打ち症になるのではないかというほど過激にダッシュした。まずは初速が異常に鋭いのだ。最初の一歩は驚愕的である。


 モーターは、動き出しのその瞬間から最大トルクを発生する。しかもモーターゆえに緻密なトラクション制御が可能だから、タイヤがスギッドする気配がない。パワーの全てを路面に伝えてしまう。前後にモーターを抱え、前後輪を駆動させるものだから、4輪でフル加速体制に放り込まれる。加速Gに逃げ場がないのだ。


 これまで何度かスーパースポーツカーの記事で、「巨人に蹴飛ばされたような加速力」と表現してきた。だが、それを改めさせられる。「P100D」こそこの表現がぴったりと当てはまるのだ。


 正直に言おう。一回の加速で胃袋から嫌な汁が込み上げてきた。運転している僕本人が、である。助手席に誰かが同乗していたり、子供が乗っているのなら、決してフル加速をしてはならないと忠告しておく。本当に、首への負担が心配だ。というほど初速が鋭いのだ。


 たが、蹴り出しさえすぎてしまえば、その後の加速感はやや優しくなる。もちろん強烈な速い事に疑いはないが、例えばガソリンエンジンが回転の上昇に比例してグングンと躍動感を高めているのとは対象的に、伸び感はない。さらに言えば、前後のピッチングも少ないし、乗り心地も優しい。車窓の景色が矢となって流れていくというのに、コクピットは平穏な空間がキープされるのだ。この辺りの涼しい感覚がテスラらしいと思った。


 クルージング中のアクセレートも鋭く反応する。アクセルオフでは強めの減速Gが発生する。ワンペダル感覚に近い。(その辺りの制御は自在に調整可能なのだが・・・)


 モーターならではの鋭いレスポンスは市街地走行でも有効で、いちいち回転の上昇を待つ必要もないし、ギアがキックダウンしたりシフトアップしたりしないわけで、つまり、イライラも焦れったい間もない。EV初体験者は戸惑いをもせるかもしれないが、慣れればどっぷりとEV党になってしまうかもしれないと想像する。


 コーナリング特性も優しい。搭載するバッテリーは決して軽くはないから、車重は2270kgに達するものの、重さを意識することはない。むしろ、バッテリーがフロアを形成するように敷き詰められているから重心が低く感じられる。ひたっと吸い付いたような走行フィールが心地良かった。


 そもそもキャラクターは、高級プレミアムセダンである。あまりに加速性能が強烈だから、ついついスポーツセダンを想像してしまうのだが、基本はラグジュアリーだ。エンジン音がしないし、乗り味は優しい。正統派の作り込みである。安全デバイスも世界トップレベルにあるというのだから魅力的である。


 新世代のクルマを確信させるモデルSの試乗では、この誌枚では書ききれないほどの特徴や魅力に溢れている。今回はその驚愕の加速性能を主体に筆を進めた次第。その他の話題は後日に譲る。


 ちなみに、カタログによると航続距離は613kmである。余裕を持ってロングドライブに出かけられる数値である。とはいうものの、巨人に蹴られたような加速をしていると、ロングドライブを保証する限りではない・・・。

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