MAZDA ROADSTER RF
 ロードスターRFの試乗会が行われた。今回は、横浜のマツダR&Dセンターを起点に、河津桜で有名な伊豆河津町に近い今井浜で一泊し、再びR&Dまで戻る往復約400kmのロングドライブプログラム。ルートは自由。海岸線を走るドライブルート、高速道路クルージング、ワインディングロード。いろいろな組み合わせが考えられる。マツダ曰く「なるべく長い距離を走って、マツダの言う人馬一体を体感してほしい」ということらしい。

MAZDA ROADSTER RF
我々は、横浜新道から一国に出て、新湘南、湘南バイパスと、まずは海岸線に出るルートを選択。

MAZDA ROADSTER RF
 まずはルーフオープン。リトラクタブル・ファストバックのリヤセクションが持ち上がり、シート背後にフロントルーフとミドルルーフ、それにバックウインドーが連動した動きを見せながら収納され、リヤルーフだけがボディ上に残る。


 その間わずか13秒。クーペスタイルのクローズドボディから、解放感と包まれ感を併せ持った独特なカタチのオープントップに変身する。
サイドウインドーを上げて走り出す。

MAZDA ROADSTER RF
 風の巻き込みは想像以上に少なく、いつまでもヒーターで温めた空気が室内に滞留していてくれる。風洞実験を繰り返して決めたリヤルーフ形状と、シート後方に設置されたエアロボードの効果なのだろう。


 サイドウインドーを下げると風が吹きこんでくるかんじで、室内へ風の進入量が増えるが、入った風が後ろへスムーズに流れていくため、案外風の流れは乱れない。風の中を走る感覚のロードスターと比べると、RFは風との距離感が少しだけある。


MAZDA ROADSTER1.5L
 あ走りはどうかというと、2.0Lエンジンが独自のリズム感を作り出しているのがこのクルマの特徴だ。
ロードスター1.5Lは軽快に吹き上がり、回すほどにパワー感が充実してくるタイプ。高回転まで回しても、適度なビート感を伴いながら軽快に吹き上がってくれるので、エンジンをぶん回しているという感覚は少ない。レブリミットまできっちり回し、マニュアルトランスミッションを駆使してエンジンの持てる性能を引き出しながら走るのが楽しい。

MAZDA ROADSTER RF
 これに対して2.0Lは、低中回転のトルクを充実させており、ぶん回すより速めにシフトアップする走り方が似合っている。1,500回転くらいからしっかりトルクが出ており、発進も、アクセルに足を乗せず半クラだけで発進できるし、6速2,000回転の巡航も楽々こなす。レブリミットも6,800回転からとロードスターと比べると低め。レブリミットを低めに抑える代わりにトルクバンドを広くとっているわけだ。
だから、エンジン回転を低く抑えた巡航をこなし、箱根ターンパイクのきつい上りも余裕を持って駆けあがれる。

 伊豆スカイラインのワインディングは、5,000回転以下くらいでシフトをつなぎながら、ことさら飛ばすわけではないがハイアベレージで心地よくスイスイと走るのが楽しい。

MAZDA ROADSTER RF
 試乗車が引締まった足回りのRSだったので、ゆったりしたクルージングよりも、ちょっとスポーティな走り方のほうが合っているということなのだろう。RSの足回りは、ロールが抑えられていて、例えて言うならコンパスでスーッと円を描くような切れのいい旋回感がある。


 引締まった足回りとグリップのいいタイヤを上手に使って、アベレージスピードを高めに保ちながら、陽が傾き冷え込んできた空気の冷たさをかすかに感じながら伊豆の山の中のワインディングロードを縫うように走るのが楽しかった。

MAZDA ROADSTER RF MAZDA ROADSTER RF
 1.5Lのロードスターは、ロールを大きめにとってクルマの動きをドライバーにダイレクトに感じさせる味付け。ハンドルを切ると、タイヤが向きを変え、それに伴ってクルマがロールが深くなる。そしてロールしながらひらりとカーブをクリアするようなイメージ。クルマのダイナミックな動きをわざと抑え込まないで、ドライバーの操作にクルマの動きがピタリとシンクロするような乗り味。


 RF RSはギュっと足を踏ん張って、旋回Gを受け止めながら、ハンドル操作に正確に曲がっていく。だから、意識してハンドルを丁寧に切り出し、旋回中ハンドルの舵角を一定にするような走り方をすると、レコード盤をなぞるレコード針のような旋回ができる。


 操縦性の味付けも微弱アンダーステアで、フロントタイヤに負担をかけることなくバランスよく曲がっていくような感覚がある。

MAZDA ROADSTER RF
 ロードスターと比べ、ボディ剛性感も高く、引締まった足回りが路面の凹凸を受けて上下動するときのショックの入り方も硬いボディに近いものだ。


 聞くところによると、リトラクタブル・ファストバックを採用したことによって、リヤセクションの剛性がだいぶ上がったのだという。その結果、リヤトンネルに取り付けられた8の字型の剛性部材=トンネルメンバーブレースは、穴あけ加工を施し意図的に剛性を落としている。剛性が高いままだとリヤのスタビリティが高くなりすぎ、アンダーステアが強くなってしまうのだという。
その結果の旋回バランスの良さなのだと思うと、つくづくクルマのセッティングは奥が深く面白と思う。


 復路、試乗車をチェンジしてRF VSの6速ATに試乗した。予感はしていたのだが、RF+VS+ATのマッチングがじつはかなり良かった。せっかくスポーツカーに乗るならMTでしょう!! という気分は依然として強くあるものの、低中回転域のトルクを充実させた2.0LエンジンとATのマッチングは当然のことながら良く、アクセルを無造作に踏んで、キックダウンさせて全力加速といった場面での加速の刺激は、もしかしたらMT以上に感じられる。


 VSのサスペンションのセッティングはRSとは微妙に違い、ダンパーの張り≒ガス圧が少し低い印象。もっともRSはビルシュタインのモノチューブダンパーを採用し、VSはツインチューブダンパーなので、構造の違いや、封入ガス圧の違いからくる反発力の違いも、乗り味の差になっているのだろう。


 ダンパーのセッティング自体も、VSのほうがややソフトな味付けになっているようで、RSがコーナーを、レコード盤の溝をなぞるレコード針のような旋回感を持っているのに対し、VSはコーナリング中、腰をスッと落としたような安定感があり、落ち着いた感覚のドライブテイストを持っている。


 スポーツドライブでの速さ、切れの良い操縦感覚を求めるならRSだが、RFが持っているちょっと上質でエレガントなテイストには、VSのほうがしっくりくる。こちらがRFの基本形ということなのだろう。どちらが優れているかではなく、そういう選択肢があるということ。


vロードスターは、軽快なライト・ウエイト・スポーツそのものである。ではRFはどんなクルマかというと、ロードスターに上質、高級、落ち着きといった走りのニュアンスを加味したアップグレードバージョンといえると思う。似て非なるスポーツモデルともいえる。

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