【ビデオ】フェリー・ポルシェの誕生日に贈られた特別な「928」
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ポルシェが今年のジュネーブ・モーターショーで発表した「パナメーラ スポーツツーリスモ」のような、クーペとワゴンを融合した自動車の形は「シューティング・ブレーク」と呼ばれる。その語源は19世紀に作られた狩猟用の馬車にまで遡るが、1960年代にはスポーツカーの後部を拡張して猟犬や猟銃を載せる荷室とハッチゲートを備えたスタイルをこう呼ぶようになった。最近ではその用途も狩猟に限らず拡大解釈され、後部座席や荷室の実用性を高めたハッチバック付きのクーペを、メーカーがシューティング・ブレークと称することも多い。例えば、メルセデス・ベンツの「CLA シューティングブレーク」などがこれに当てはまる。ポルシェによれば、パナメーラ スポーツツーリスモは同社初の"量産"シューティング・ブレークであるという。



量産モデルとしては初だが、プロトタイプやワンオフを含めれば、同社は30年以上前からこのスタイルに取り組んでいた。その証拠として、ポルシェ・ミュージアムに所蔵されている1台のクルマを紹介するビデオが、パナメーラ スポーツツーリスモのデビューに合わせて公開された。1984年にヴァイザッハのポルシェ・ディベロップ・センターが特別に製作した「928-4」と呼ばれるモデルだ。

このクルマは当時のフラッグシップ「928 S」をベースに、ドアのフレームとボディ後部を作り替えることで全長を25cm延長し、後部座席の足元スペースを拡大。これに合わせて後方まで伸びたルーフや、前後に短く角度が起きたリア・ウィンドウは、確かにパナメーラ スポーツツーリスモに通じるものがある。



つまりポルシェとしては、昨日今日になってからこのスタイルのクルマを作り始めた訳じゃないということを言いたいらしい。パナメーラ スポーツツーリスモでは新セグメントの開拓を謳いながらも、歴史と結びつけてくるあたりが実に心憎い。この928-4は、フェルディナント・ポルシェ博士の息子でありポルシェ社の創設と発展に尽力したフェリー・ポルシェ名誉会長が、75歳の誕生日を迎えた時に贈られたものだという。そんな歴史を知れば、パナメーラ スポーツツーリスモのスタイルに違和感を覚えたポルシェ・ファンも納得するはず...というのがポルシェの目算ではないだろうか。

ボディ・スタイル以外の点を見ると、928-4には当時としては先進的なプロジェクター・ヘッドライトが装備され、エンジンは後の「928 S2」で採用される5.0リッターV型8気筒が一足先に搭載されていた。最高出力310psを発生し、1,625kgと若干重くなったワンオフのボディを最高速度260km/hまで引っ張ることができたという。ちなみにその子孫に当たる「パナメーラ スポーツツーリスモ ターボ」では、最高出力550psの4.0リッターV8ツインターボが積まれ、最高速度は304km/hに達する。若い頃から機械とスピードとレースを人一倍愛したフェリーなら、きっと気に入るに違いない。

Porsche shooting brake: past and present from Porsche AG on Vimeo.