TOYOTA CAMRY
 2017年北米デトロイトショー初日の朝、レクサスが新型LSを発表し関係者の熱い視線を浴びてから数時間後、トヨタはレクサス同様に、メイン会場に特別に設えた発表会場で新型「カムリ(米国仕様)」をワールドプレミアしたのだ。

 この発表イベントが素晴らしかった。

 特設会場を設営することすら、世界のプレミアムメーカーでさえしないモテナシである。一際広いスペースを確保しているのにも関わらず、人で溢れていた。着席できたのは幸運な人だけで、多くが立ち見という人気ぶり。

 というのも、理由がある。

TOYOTA CAMRY
 まずはカムリがアメリカで大人気である。1982年に日本で発売して以来、世界の10カ所の工場で生産され、100カ国以上で販売された「世界のミッドサイズセダン」なのである。累計販売台数は1800万台を超えるという大ヒット作品だ。


 さらに米国では、15年連続でこのセグメントでのトップに輝いている。米国ケンタッキー州の工場では年間40万台を生産するというお化けモデルなのである。それがフルモデルチェンジされるというのだから世界のジャーナリストが注目しないわけがない。


 さらには、時にアメリカでトランプ氏が次期大統領に決まった直後。日本の自動車メーカーへの風当たりを強くしつつあり、トヨタ自動車もその標的になった。カムリの発表には、豊田章男社長が登壇するという噂も流れており、氏の一挙手一投足を目にしようと取材陣が集まったという裏事情もあった。

TOYOTA CAMRY
 かくして新型カムリとともに豊田章男社長が登壇すると、会場は割れんばかりの拍手に包まれ、ホスト役の豊田章男社長すら予期せぬ歓待に言葉を詰まらせたほどである。


 それからのひと時は、さながらショータイムのようだった。豊田章男社長持ち前の軽妙なジョークで笑いを誘いながら、いかに新型カムリに力を入れたかを語り、標準モデルだけではなく2トーンカラーの特別仕様があることを発表。さらには、「もっと凄い車もあるよ」と、2019年に投入する新型カムリのNASCAR仕様をお披露目したのだ。

22-23 November, 2016, Anaheim, California,  USA©2016, Michael L. Levitt 22-23 November, 2016, Anaheim, California,  USA©2016, Michael L. Levitt
 しかも、バリバリと耳をつんざくばかりのエキゾーストノートを響かせてステージまで自走してきたという演出。さらには、2016年のNASCAR王者カイル・ブッシュとデイトナ500優勝のデニー・ハムリンも登壇するというサプライズも加わった。


 豊田章男社長がドライバーに気さくに声をかけ、時にはジョークでいじり倒す。タジタジのトップドライバー達。クルマとモータースポーツを愛する豊田章男社長らしさが満ち溢れており、会場はヒートアップしつづけた。

笑いあり感動あり、後世に語り継がれる発表イベントだったのだ。

 強く感じたのは、カムリはアメリカに根付いているということだ。米国で生産され、多くの雇用を生み、米国最大のレースで王者に輝いている。もはやカムリは日本車ではなく、アメリカの国民車なのだろうと思ったのである。嬉しくもあり、誇らしくもあり、ちょっと悔しかったほどである。


 そう、あまりにステージがヒートアップしたものだから、主役である新型カムリの紹介が遅れたことをお許し願いたい。これはこれで素晴らしい車だったのである。


 トヨタの新型プラットフォームであるTNGAを採用したことで、低重心ワイドスタンスを実現している。これが走りに貢献しているであろうことは確認に満ちているが、デザインにも貢献していることはあきらかだ。


 全長191.3インチ(4849mm)×全幅72.4インチ(1839mm)×全高56.7インチ(1445mm)である。低さと広さが強調されているのだ。


 スタイルには安定感があり、ギミックは抑えられていた。キーンルックは踏襲されてはいるものの、おどろおどろしさはなく、均整のとれたデザインだと思った。どこにも破綻がない。誰もが安心して好むデザイン。


 インテリアを覗き込んでわかるのは、プリミアム度が増していることだ。大衆車的な雰囲気は皆無。高級感が際立っていた。


 搭載するエンジンは、新開発のV6 3.5リッターエンジン、「Dynamic Force Engine」の初採用モデル直列4気筒2.5リッター直噴ガソリンと、直列4気筒2.5リッターハイブリッド、新型トランスミッションDirect Shift-8ATの組み合わせである。もちろん先進安全技術の「トヨタ・セーフティ・センスP」も搭載されている。


 これは絶対に売れるのだろうと確信した。日本のトヨタが生み出し、アメリカで育ちアメリカにも特に支持されるカムリはこれからも、世界のカムリとして君臨するのだろうと嬉しくなったのである。

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■トヨタ 公式サイト
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