Renault LUTECIA
 ルノースポールのモデルやカングーといった変化球的なモデルが人気となっている日本のルノーにあっては、フランスで一番売れている、まさにフレンチベーシックの極みと言うべきルーテシアの方がむしろ特殊に見えてしまうというのは、何とも面白い。但しルーテシア、そんなポジショニングに置いておくのはもったいない1台である。

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 今回のフェイスリフトを機に再度、注目が集まることを期待したいところだ。 とは言え、外観はそんなに大きく変わったわけではない。

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 注文生産のエントリーグレード"アクティフ"を除いたゼン、インテンスの両グレードにフルLEDヘッドランプが装備され、バンパー開口部が拡大されるなど、フロントデザインが変更されたのが、まず一点。こちらの新装備のスモールランプを兼ねる常時点灯のCシェイプLEDランプは、開施錠時に点灯してクルマの位置を知らせる機能、クルマから離れる際に一定時間点灯し続ける機能も追加されている。上級車種では珍しい装備ではないが、それだけに、ちょっとアガるアイテムである。

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 また、テールランプも同様にLEDに。ホイールのデザインが変更され、ボディカラーも全体に以前より落ち着いたトーンのものが増やされている。

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 インテリアも、やはりヴィヴィッドだった従来より雰囲気は落ち着いた。とは言え、最上級のインテンスには、真っ赤なダッシュボードが鮮烈なルージュ/ルージュの組み合わせも用意されるなど、依然としてデザイン性重視であることに変わりはない。

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 そして、それより重要なのがシートだ。形状が変更されて、見た目の通り太もも周辺のサポートが良くなり、また座面もしっとりとしたホールド感が出た印象。乗り心地フェチの多いだろうルノー車だけに、文句なしに嬉しい進化である。


 あらかじめアプリをダウンロードしておくと、ナビゲーション、ラジオやBluetooth接続、ハンズフリー通話などが行なえるオーディオも装備される。どうせ今どき、ナビゲーションはケータイでという人、多いはず。ベーシックカーにはぴったりの装備と言えるだろう。
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 走りに関する部分には変更点のアナウンスは無いが、そもそもルーテシアはこのセグメントでもっとも濃い走り味をもっていたモデルだけに、残念がる必要はない。しかも、そこはやはりルノーらしく、しっかり熟成を感じさせる。

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 昨年の小改良でトルク向上、ギア比の変更を行なった、直列4気筒1.2ℓターボエンジンに6速DCTを組み合わせたパワートレインは、普段はECOモードに入れていても十分と感じさせるほど扱いやすい。DCTという響きから期待するほど歯切れ良いわけではないが、クルマ好きの男性だけでなく、普段は奥様もステアリングを握るだろう、このクルマの位置付けからすれば、このぐらいがちょうど良さそうである。

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 しなやかなストローク感が味わえるサスペンションも、やはりルーテシアらしさは変わらず。インテンスの17インチタイヤ&ホイールは、確かに時々、いわゆるバネ下が重い感じをもたらすのだが、それでも尚、このセグメントにこれ以上に気持ち良い乗り心地を味わわせてくれるクルマはある? と言いたくなるぐらいのレベルにある。


 それだけに、今回は試していないが16インチ仕様ならば、誰からも文句など出てくることはないだろう。 強いて言えば、緊急自動ブレーキのような先進安全装備の類がまったく用意されないのは、今どきの日本のユーザーにとっては大きなネガになる可能性はある。けれどクルマとは本来、乗って楽しみ、日々の生活を彩るものだというのが大前提だと考えれば、それだけの理由でルーテシアを候補リストから落とすのが正しいとは思えない。クルマは単なる道具だというなら、それでもいいけれど...。


 そんなわけで、コンパクトカーの購入を検討している人には、まずは一度騙されたと思って試乗してみてほしいというのが、筆者の切なる願いである。価格は従来より引き下げられて、注文生産となるエントリーモデルのアクティフなら、何と200万円を切る価格が掲げられている。日本車狙いの人にとっても、そう遠い存在とは言えないはずだ。

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 一方、すでにルノーの、ルーテシアの魅力を知る人は、マニュアルギアボックス搭載車がカタログ落ちしてしまったのを惜しむに違いない。


 なかなか数が出るモデルとは言い難いだけに、仕方のないところだが、それでもルノーは、とりあえず100台限定で直列3気筒0.9ℓターボエンジンに5速マニュアルギアボックスを組み合わせたS MTを用意してくれた。


 個人的に、一番惹かれるのはコレ。素朴なその味わいは、フロントガラスの向こうの風景をパリさながらに変えてくれるに違いない。

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■ルノー・ジャポン 公式サイト
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