INFINITI QX50
 インフィニティQX50コンセプトは、2016年4月の上海モーターショーで発表された「QXスポーツインスピレーション」の流れを汲むモデル。インフィニティブランドでは、ミドルクラスSUVに位置付けられており、日本市場的にいうと、スカイライン・クロスオーバー・コンセプトともいえるモデル。

INFINITI QX50
 メカニズムでの注目点は、VCターボと呼ばれる可変圧縮比エンジン+ターボを搭載していること。2016年パリモーターショーで発表されたこのエンジンは、直列4気筒の直噴ガソリンターボで、走行状況に合わせてピストン上死点の位置をシームレスに変更(可変圧縮比)できるメカニズムを持っている。圧縮比は8~14対1の間で可変可能で、最高お出力270馬力、最大トルク39・8kgmを発揮するという。


 デザイン面では、QⅩスポーツインスピレーションと比べるとグッとリアリティのあるデザインに仕上がっており、市販モデルを強くイメージさせると同時に、新しいインフィニティのデザインの流れを取り入れたものとなっている。


 このデザインは、『日産自動車株式会社 常務執行役員デザインビジネスマネージメント・デザイン戦略グローバルデザインセンター エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター インフィニティ担当』のアルフォンソ・アルベイザ氏が手掛けたもの。氏のインタビューでのコメントを引用しながら解説してみよう。

INFINITI QX50
 アルベイザ氏によれば、現在インフィニティはデザインを移行しつつあり、QⅩコンセプトはまさにその過渡期にあるデザインモデル。インフィニティらしさを損なうことなく未来のデザインとのバランスを図ったデザインを追求しているのだという。

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 アルベイザ氏は Q60コンセプトも手掛けているが、継承しているのは和の要素だという。ダブルアーチグリルはその代表的な部分。インフィニティのヘリテイジを受け継ぎながら、上のアーチ部分からボンネットへと続くラインは水の流れを象徴しており、下のアーチは川の上にかかった橋が水面に反射して影が揺れている様子を表現しているのだという。


 グリルが浮き立ったように見えるのは意図的なもので、グリルはボディではなくエンジンとつながっていることを表しているからなのだという。そこに力強さ、パフォーマンスの高さを表現している。


 QX50のデザインで力を入れたのは、すべてがつながったデザインになること。ボンネットからルーフ、リヤに向けてシームレスにつながっていくイメージを重視。ボンネットに膨らみを持たせたクラムシェルというデザインと、サイドパネルから後ろに向かって続くラインを同時に複合的に描くことができるようになった。それが新しいデザインなのだという。


 アルフォンソ氏は、日本の"モノづくりのアート"という観念が好きで、日本の生活で学んだのは、そのベースになっている「熟考してから行動に移す」ことだという。日本人らしいモノづくりの観念に感銘を受けたので、それを表現したかったという。


 例えば、ボンネットとフェンダーのつなぎ目は、パネルの上をパネルが滑って浮いているようなデザインになっている。ボディの隙間は1.3mmまで詰めることができた。ジャパニーズ プレシジョン=栃木マジックの一例だ。単にタイトなだけでなく、パーツとパーツがどんなふうに見えるかにも気を遣っている。全体を見るとシンプルに見えるが、細部に目をやるとしっかりと作り込まれている。それが目指すところなのだという。


 このコンセプトモデルはカットが少なく、ラインがきれいに仕上がっていると思います。日本で作る日本人のアートを表現できていると思います。とアルベイザ氏。

INFINITI QX50
 インテリアは"見立て仕立て"がキーワードになっている。アルベイザ氏はオフィスを持たず、他のデザイナーとともにスタジオで作業をしているが、彼の回りの空間を"見立て仕立てゾーン"と呼んでいるのだという。


 そこではいろいろな厚さの革を引っ張ったり、縫ったり、色を塗ったりしながら、どういった素材を使うとどんなシェープになるのか、素材によるシェープを生かすように試している。
 QX50コンセプトのインテリアデザインで目指したのは、オーソドックスからあえて離れて、アートを表現することだった。


 インテリアのドアトリムの美しいデザインは、見立て仕立てチームが新しい見せ方を考えたのだという。また縫製部分をねじってコンソールのラインを作り出すといった手法も考案している。難しかったのは、手縫いで完成させたものを工場で大量生産できるように落とし込むこと。プレミアムクラスの定義はレアであることだとアルベイザ氏は言う。手作りで作ったような仕上がりであるべきで、それをいか生産性と結びつけるかが難しかった。


 かなりリアリティがあり完成度の高い仕上がりだが、市販車を念頭に置いた時の実現度をアルベイザ氏に尋ねると、「エクステアリア90%、インテリア95%」という答えが返ってきた。ほぼこのまま市販化されるとみてよい。ちなみに、新型QX50はメキシコで生産される予定。国が変わってDNAをどのように再現するかが今後の課題だという。

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