Honda CRF250 RALLY
足の長い堂々たる車格、ラリーマシンにそっくりなスタイル・・・、文句ナシにカッコイイ! そんな、バイクファンには堪らない1台がデビューした。CRF250RALLY(ラリー)だ。

Honda CRF250 RALLY
一番最初に姿を見せたのは、2015年春のモーターサイクルショー。参考出展車として展示されるや否や大反響となり、翌年には市販化を見据えたプロトタイプとして再登場。昨秋のEICMA2016(イタリア・ミラノ国際見本市)にて欧州仕様車が発表され、ついに2月20日、待望の国内販売がスタートとなった。

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今回、一般道、ワインディング、高速道路、林道およびダートエリアと、CRF250RALLYが想定する各ステージにて試乗をしてみた。手軽な250クラスということもあって、普段は街乗りメイン、休日は高速道路を使って林道へ、なんていう使い方が容易に想像できるモデルだけに、各ステージとも不得意であってはならない。トータルバランスの高さが気になるところだが、オフ好きな自分の独断と偏見で言わせてもらえば、まずダートでの走破性の高さに重きを置いてもらいたい。舗装路での走りはその次だ、と思っていたのだが・・・。

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まず足着き性を確かめるが、身長175cm、体重64kgの自分の場合、両足を出すとカカトまでベッタリとはいかないまでもツマ先はしっかり地面に届く。オフロードモデルとしては申し分ないレベルで、信号待ちなどでおこなう片足出しなら、お尻が少しズレてカカトまでしっかり着く。

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足着きに不安な人は、シート高を895から830mmに下げた『Type LD』も選べるようになっている。

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しかし、このスラリと長いフロントフォークといい、高い着座位置から見渡す広い視界といい、フルサイズオフローダーらしさで満ちあふれた感じがいい。ベースとなった『CRF250L』も新型へと進化しているが、それよりフロントフォークのサスペンション長を30mm、リアアクスルのトラベル量を25mm伸ばし、最低地上高を15mmアップ。跨った途端に「ダートが楽しみ!」と頬が緩む。

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エンジンはDOHC4バルブ単気筒。クラッチミート付近で使う極低回転域でのトルクが太くなっていて、クラッチ操作に気を遣わなくて済むのが、ストップ&ゴーを繰り返す市街地ではありがたい。この粘り強さはUターンなど狭い場所での取り回しにもプラスに大きく作用し、扱いやすさに磨きをかけている。林道をノンビリとトレッキングのような感覚で走るときや、低速で回るタイトコーナーでも恩恵を感じた。

Honda CRF250 RALLY
CRF250Lは従来型からもともとオンロードでの走りに定評があり、ワインディングもキビキビ走る。ストロークに余裕のあるサスペンションが乗り心地の良さに貢献していて、硬さを感じさせない足まわりが乗り手にアクセルを自然と開けさせるから、気がつけばハイペースで峠を駆け抜けている。

CRF250 RALLY
エンジンは中〜高回転域もパワフルになっていて、レブリミッターにあたる1万1000回転まで淀みなく回る。軽快なハンドリングを味わい尽くせるタイトコーナーの続くワインディングは大好物で、ついついエンジンを高回転まで引っ張り上げて、ギャンギャン言わせながら夢中になって走ってしまう。ハードな上り勾配でも音を上げないし、急坂の続く下りつづら折れもエンブレを程良く効かせて高回転をキープしながら右に左へ思うがままに車体を振り回せる感覚だ。
CRF250 RALLY
250オフローダーらしい、そんなイージーライディングを持ち味にしながら、高速道路に上がればクラスを超えたクルージング性能を持っているから驚く。まずウインドプロテクションが秀逸で、バイザー付きのオフロードヘルメットにゴーグルという乗車装備であるにもかかわらず、風切り音などは一切なく、頭部まわりに負担を感じることがなかった。

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ウインドシールドはもちろん、スリット入りのナックルガードやフェンダーが整流効果を高く発揮し、ライダーの疲労を大幅に低減。大きく張り出したシュラウドのおかげで下半身への風の直撃も抑えられ、高いコンフォート性を実現している。


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高速道路を流していても、エンジンはまだまだ余力ありといった感じで、レッドゾーンがまもなく迫るという9000回転からでもひと開けしてやれば、粘り強く力を振り絞る。ハイスピードレンジで物足りなさを感じやすい250シングルだが、タフで力強いエンジンに生まれ変わっているのが印象深い。これは吸気系を一新したことが大きく影響していて、φ36mmだったスロットルボディをφ38mmに大径化するとともに、コネクティングチューブをベースに対し100mm延長している。

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CRF250Lよりキャスターを寝かせ(27°35′ 28°05′)、直進安定性を高めているのも功を成しているのだろう、このクルージング性能はもはやアドベンチャークラスに近い。もちろん速度レンジは大排気量クラスに及ばないものの、クルマの流れに乗って長距離を走るくらい、どうってことないという安定感と巡航力といえる。

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専用の燃料タンクはCRF250Lの7.8Lに対し10Lという大容量を確保し、航続距離を伸ばした。250ながらアドベンチャーモデルのように高速道路+林道という楽しみ方が自然とイメージできる。一昔前のオフ車だと、高速道路での移動は苦痛そのものだったから、これは素晴らしい進化と言えよう。

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排気音にも元気があって、パルス感のあるエキゾーストサウンドは内部構造を3から2室に見直し、φ28.6mmからφ38.1mmへの拡管構造を用いた新設計マフラーによるもの。小型軽量化も達成していて、斜め後ろへ鋭く跳ね上がるリアフェンダーにもフィットしている。車体の反対側には、キーロックのできる小物入れが備わっているのもありがたい。

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最後になってしまったが、もっとも注目し感心したのはオフロードでの走破性の高さだ。ワインディングで感じたハンドリングの軽快感はダートでも健在で、タイトコーナーも素直に車体の向きを変えていくし、Rの大きいコーナーでテールを流したいときも無理なくカウンターステアを当てられる。エンジンがフラットに回っていくから、リアが流れ出してもコントロールしやすく、持て余すようなことがない。

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LED式の異径デュアルヘッドライトをはじめ、ウインドシールドやメーター類一式のすべてがフレームマウントされていて、ハンドルには一切重さがかかっていないというのが、このニュートラルなハンドリングを生み出している。前後サスはソフトに動き、強い負荷をかけるとフレームとともにしなるが、それがトラクション性の良さと乗りやすさに繋がっていて、ラリーマシンレプリカとした見た目以上にすばしっこくダートを走り回れる。

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斜面があればジャンプも簡単に決められるし、ギャップに当たったときのサスの踏ん張りも柔ではない。見た目では手強そうだが、250トレールらしいフレンドリーさがベースにしっかりあって、その上でトータルバランスを磨き上げているのだ。オフロードブーツでも窮屈することなくシフトチェンジができるし、シートやシュラウドに凹凸がなくアグレシッブにライディングしても妨げになるようなことはない。開発段階から「オフロードをしっかり走れる」ということを意識しているのがよくわかり、その狙いは達成できている。タイヤのチョイスで、よりダート寄りにもできるし、その逆も可能だろう。ベースとなるニューCRF250Lもまた、じっくり乗り込んでみたくなった。

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もうひとつ。メディア向け発表試乗会では世界一過酷と言われるダカールラリーを走るファクトリーマシン『CRF450RALLY』もお披露目され、CRF250RALLYとソックリであることを改めて思い知らされた。

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そして、本田技術研究所 二輪R&Dセンター アドバンスデザイン室の松岡庸介研究員と、デザイン開発室第3ブロックの吉田麻央さんに、カラーリングだけでなく、そのノウハウとテクノロジーがCRF250RALLYへにもフィードバックされていることを教えてもらった。

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 まずウインドプロテクションに優れるフォルム。ライバル勢がスクリーンとシュラウドを一体にするなか、独立させているのは「視界を少しでも広く」というライダーからの要望に応えたもの。スクリーンとライトボディの間に隙間を設けることで、整流効果も高まるのだという。
 そしてCRF250RALLYにはないが、CRF450RALLYのヘッドライトやコマ地図ホルダーを支えるカーボン製のステーにある孔には、スペアの電子制御スロットルグリップ・アッセンブリを差し込んでおく。アクセルがワイヤー式だった時代には修理で対応できたが、電子制御となった現代ではアッセンブリごと予備を持っておく必要があるのだ。

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ナックルガードやシュラウドに設けたスリットは防風効果だけでなく、操縦時の安定性にも寄与し、こういった外装の技術はCRF250RALLYにもそのまま流用されている。CRF450RALLYでは、両側のシュラウドからアンダーカウル付近に至るまですべてがFRP製の半透明燃料タンクで、そのシルエットはCRF250RALLYも瓜二つ。吉田さんは妥協せず「そのまんま再現したかった」という。

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1日の走行距離が800kmにも及ぶ日もあるダカールラリーでは、燃料タンクの容量はまだ足りない。CRF450RALLYでは、サイドカバーとなる場所も左右振り分け式の燃料タンクとなっていて、このシルエットをCRF250RALLYでは小物入れを設けて再現している。なお、CRF450RALLYにはシートレールがなく、アルミ製メインフレームのリアショックマウント部から後方はカーボン製のモノコック構造となっていて、軽量化と整備性が究極のレベルに達している。

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エンジンはモトクロッサーCRF450R系のユニカムバルブトレインではなく、独自のDOHC4バルブで、CRF250RALLYもまたDOHC4バルブを踏襲した。

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このように、開発思想をラリーレーサーから受け継ぎ、より遠くへ、より快適に移動できる優れた巡航性能を備えたCRF250RALLY。「ダカールレプリカ」という開発キーワードもワクワクしてくるものだし、「週末の冒険者へ」というキャッチコピーもしっくりくるではないか! どんな冒険でもいい、都会の喧噪を忘れて出掛けたくなる1台だ!!

■ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp


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