開発テストやレースで活躍したポルシェ「917/10」1号車がオークションに登場
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開発段階からレース戦績に至るまで特別な経歴を持つポルシェ「917」が、フランス・パリで2月8日に開催されるRMサザビーのオークションに出品される。同社によれば、予想落札価格は460万~550万ユーロ(約5億5,000万~6億6,000万円)になる見込みだという。

同車はシャシーナンバー"001"を与えられた「917/10」で、1970年にカナディアン・アメリカン・チャレンジ・カップ参戦用に製造された「Can‐Am スパイダー」の1号車だ。わずか13台しか製造されなかった917/10シャシーのうちの1台であるこのプロトタイプは、1970年代初期におけるポルシェのファクトリー・レーシングカーのテスト車両として917の伝説作りに貢献した。

このレースカーの功績は、ドイツ・ヴァイサッハにあるポルシェの研究開発センターで連続23日間のテストを耐え抜いたことと、トップレーサーのジョー・シフェール、マーク・ドノヒュー、ウィリー・カウーゼン、及びファクトリーのチーフ・テストパイロットであるヘルマン・ミムラーを乗せて、16カ月間にわたるテスト・プログラムに貢献したことだろう。

長期に及んだテスト期間中、この917は水平対向12気筒ターボ、4.5リッター・ターボ、5.0リッター・ターボ、5.0リッター自然吸気など、様々なエンジンを載せ替えて使用された。さらに、風洞を使った空力テストでは5タイプのボディを試したという。

同車は現在、最高出力600hpを超える水平対向12気筒エンジンと5速マニュアル・トランスミッションを搭載し、オリジナルのチューブ・フレームと「ショベルノーズ」と呼ばれるフラットなノーズが特徴的なスタイリングは、1971年にヴァイサッハで行われた空力テスト時の姿を彷彿させる。

ポルシェによるテストが終了後、このシャシーは完全にリビルドされてからカスタマーに売却され、1972年にドイツ・ホッケンハイムで開催されたインターセリエで2位、カナディアン・アメリカン・チャレンジカップでは米国リバーサイド・インターナショナル・レースウェイで8位を記録。1973年のニュルブルクリンク300kmレースにはエマーソン・フィッティパルディのドライブで出場し、予選でポール・ポジションを獲得、レースを6位で終えるなど、1970年代初期のレースでいくつもの見事な戦績を残している。

1970年代半ばから1997年まで保管されていた917は、その間に2年の歳月を費やしてレストアが行われた。オークションハウスのRMサザビーによれば、このプロトタイプはビンテージレースで「理想的な武器」として活躍するだろうとのこと。ちなみに同車は2000年以降、イギリスのグッドウッドやブランズ・ハッチ、米国のデイトナなど、世界各地で開催されたヒストリックカー・イベントでデモンストレーション走行を行っている。


By Greg Migliore
翻訳:日本映像翻訳アカデミー