【東京オートサロン2017】ダイハツはデザイナーが「反響を後押しに製品化したい」クルマを出展
Related Gallery:Tokyo Auto Salon 2017 Daihatsu Sporza

ダイハツは今年の東京オートサロンに、4種類のテーマでカスタマイズした全11台もの現行モデルを一挙出展。自社の小型車を使って多様な楽しみ方を提案する展示だが、これらは全て1つのデザイン・チームが手掛けているという。

かつての「シャレード デトマソ」や「ミラ TR-XX」を思い出させる「SPORZA」は、ダイハツ伝統のホットハッチを現代に甦らせようと、実はデザイナーから社に働き掛ける意味が込められている。赤と黒に塗り分けたボディには、エアロパーツ一体型のバンパーやボンネットのダクトなど、機能的なスポーツ・モデルの記号が随所に見られる。



中でも注目したいのは「ブーン」のSPORZAバージョンだ。ボンネットに開けられたエア・アウトレットは、その下に"ホット"なエンジンの搭載を想起させるが、ご存じのように現行のブーンには最高出力69psの1.0リッター自然吸気直列3気筒エンジンしか用意されていない。しかし、コンポーネントを共有する「トール」では、98psを発生するターボ付きエンジンも採用されており、実はダイハツ社内で、このターボ・エンジンをブーンにも搭載することが検討されているという。その際、単なる上級グレードとして設定するのではなく、折角だからもっとスポーティなモデルとして登場させたい、とダイハツの若いデザイナーたちは考えた。だがそれには、内外装や足回りにもそれなりにコストを掛けてまで、スポーツ仕様を作る意義があるのか、と思案する社内上層部を説得しなければならない。そこでこの機会に、そんなモデルを想定したカスタムカーを先に製作し、もし来場者から好評を得られたら、それをダイハツが得意とする「お客様の声」として社内でアピールすることで、ホットなブーンを誕生させる後押しとしたい、という目論見があるようなのだ。



「本当は、できればそこでマニュアル・トランスミッションも復活させたいと個人的には思っています。今、ウチのクルマはほとんどCVTになってしまったので」と、このSPORZAシリーズをほとんど1人でまとめたというダイハツ デザイン部の土井泰三氏は仰る。ついでに4WDも組み合わせれば、初代ブーンのモータースポーツ用車でカルト的な人気を誇った「X4」の復活もあるかもしれない。



Related Gallery:Tokyo Auto Salon 2017 Daihatsu Beach Cruisin

アグレッシブなSPORZAとは対称的に、「ゆるく、のんびり、スローに楽しみたい」というコンセプトで作られたのが、「Beach Cruisin'」バージョンだ。特にクローム・メッキやウッド調ラッピングでレトロに仕上げた「ムーヴ キャンバス」は、なかなか魅力的。SPORZAバージョンのキャンバスと同じクルマには思えない。この状態では後付けのメッキ・バンパーが軽自動車の規格からはみ出しているそうだが、基本的にはすべて、製品化できそうなレベルでデザインされているという。ダイハツでは商品のライフサイクルの中で後からバリエーションを追加することを「育成」と呼び、実際にこんなレトロ調の派生モデルも検討されているというので期待したい。



Related Gallery:Tokyo Auto Salon 2017 Daihatsu Grand Custom

ミニミニバンの存在感と迫力を高めた「Grand Custom」は、トールに大型メッキグリルやデイライト付きフロントバンパーなどを装着してドレスアップ。これらのパーツは用品として製品化を想定しているという。担当された方によると、トール自体のデザインはトヨタからの意見を採り入れ、基本的に同型のモデルがトヨタでも販売されているため、「ダイハツ・オリジナルの用品を作って差別化したい。そしてあわよくば、トヨタさんにも製品として採用してもらいたい。でも、トヨタが開発した用品をウチで採用するのはくやしい(笑)」と本音を語ってくださった。



Related Gallery:Tokyo Auto Salon 2017 Daihatsu Cross Field

マットなグリーンのボディが印象的な「CROSS FIELD」は、特別な塗装とラッピング、あとはホイールを交換するだけで、こんな風に楽しめるというライトなカスタムの提案。同じモデルに別のカスタマイズを施して並べることで、各々の個性が際立つという効果も狙っているらしい。

これらのカスタムカーについて、デザイン部の中には「我々のストレス発散です」と笑う方もいらっしゃったが、製品開発においては親会社であるトヨタの意向が少なからず入ってくるに違いないと想像すると、あながち冗談でもなさそうだ。今回のような機会では、デザイナーが「まず、やりたいことをやって、反響が良かったからと言って出したい(製品化したい)」という思いがあるという。東京オートサロンをはじめとするカスタムカーショーは、ダイハツのデザイナーにとっては決して"お遊び"ではなく、今後に向けた真剣勝負の場なのである。2月10日〜12日には地元の大阪オートメッセでもこれらのクルマは展示される。お気に召した方は、是非ダイハツの方々に製品化を望む気持ちを伝えてあげてほしい。


ダイハツ 公式サイト:東京オートサロン特設ページ
https://dport.daihatsu.co.jp/event/tokyo_as2017/