NISSAN NOTE e-POWER
●独特の滑らかパワーと安っぽさの狭間にて。アクアを抜いたのは凄い! けど

 またまた悩ましいクルマ、それもニッポン大注目のエコカーが登場しました。去年11月に追加されるなり、いきなりコンパクトカー燃費番長ことトヨタ・アクアをわずか0.2km/Lながら抜いた、革命的新世代ハイブリッドのノートe-power! ですよ。

NISSAN NOTE e-POWER
 ただし、この最良37.2km/Lってスペックは、いまどきエアコン無しモデルなので反則も反則。普通の普及モデルだと34.0km/Lと割りとガッカリモードなんですけどね。


 とはいえその新進ハイブリッドイメージと低燃費パワーは結構凄くて、去年11月は国内月販台数でなんとトヨタ・プリウス&アクアを抜いて全国1位! それも大昔のサニー以来30年ぶり!! って記録のオマケ付き。逆に言うといままで日産車はそんなに日本で売れてなかったんかい! って感じもありますけど、なんにしてもよかった。

 って言うか正直、現場の日産セールスマンはここ10年ぐらいツラかったと思うのよね。プリウスが爆発的に売れ始めた2009年前後、もはや「日本のコンパクトはハイブリッド付きじゃなきゃツラい」って状況になっていながら、事実上日産は99年のカルロス・ゴーン革命でハイブリッドカーの開発を一時凍結してて復活したのは数年前。しかも最初に手を付けたのはお金を懸けられるスカイラインなど高級車用ハイブリッドで、日本で1番売れるはずのコンパクトハイブリッドは二の次!


 97年に初代プリウスが出てから実に20年、やっとe-POWERが生まれんだからして。その間、ホンダはもちろんスズキにもハイブリッド戦略で抜かれる始末。そりゃその反動と意地で日産セールスマンも頑張るよね。だからの30年ぶりの日本一奪還! ってことなんでしょう。

●凄い! 時速60km以下ならアクア以上

 実際その実力はスペック以上に中々です。まずe-POWERは、まさしくトヨタ方式とはまるで被らないシリーズ式ハイブリッドで、それも日産ならではのソリューションを上手に活用したもの。いわばまかない飯をサクっと作って、美味しい一級品の料理にしたようなとこがあります。


 具体的には、エンジンを発電用、モーターを駆動用と完全に専任化することでそれぞれ効率を追究、トータルでの低燃費を実現。つまりアナタは営業専門! ワタシは製造専門! ってな具合にスペシャリスト性を追究することで好成績を稼いでるんです。
nissan
 比べるとトヨタ方式はエンジンを発電用にも駆動用にも両方使うからどっちつかず。こちらはこちらでメリットありますけど、日産流にもいい部分はあるんです。


 メリットはざっくり2つで、開発エンジニアが「時速60km以下の領域ではアクアを越えます」と言い切る低速燃費性能と加速の滑らかさ。
 なぜならシリーズ方式は加速をモーターのみで行うので、まさにEV的な滑らかさが得られます。要は補助バッテリーを使ってEVのように走るので、エネルギーの出し入れの多い低速街中に強い。逆に高速では絶対パワーが必要で、エンジン直結モードのないe-POWERの欠点が出るとそういう具合です。

 街中をちょこちょこ走る奥様用には、ノートe-POWERはおあつらえ向きなんですな。

●価格の安さはEVに強い日産ならでは!

 加えノートe-POWERの凄さは値段。売れ線のクーラー付きグレード「X」でも200万円以下で、これはおそらくシリーズ方式のコンパクトハイブリッドとしてはトヨタでも成し遂げられないでしょう。なんせ専用モーターを作ると高くなりますから。

NISSAN NOTE e-POWER
 そこで日産が良かったのは、駆動用ハイパワーモーターに自慢のコンパクトEV、リーフ用を流用できること。実際、モーターとインバーターはまんまリーフ譲りで、しかもリーフが巨大電池搭載で車重1.4トン台と重いのに対し、e-POWERは1.2トン前後で、理屈的にはリーフより速いかも? という。

NISSAN NOTE e-POWER
 同時に発電用エンジンは従来の1.2リッターエンジンの改造型でホントに無駄ありません。スペース的にもモーターと発電機とインバーターをエンジンルームに収めきり、補助用の1.5kHwのバッテリーをフロントシート下にキッチリ収納。結果、乗りこんで感じるのは相変わらずの絶対的なスペースの広さ。

NISSAN NOTE e-POWER NISSAN NOTE e-POWER
 そもそもノートはコンパクトカーとしてメチャクチャ広いんですが、その美点をほぼキープしており、リアシートは足元が絶大に広くて、コブシが2つ以上入るし、頭上も普通に広く、ラゲッジ容量は330Lもあって、底も深くて、タナを使って2段階に使い分けできるんですわ。


 唯一気になるのは結構プラスティッキーで安っぽいインパネ。ここはかなり残念です。


 いよいよ走りですが、まずビックリするのは補助バッテリーの充電状態にもよりますが、上手くいけばいきなり無音のEV走行が楽しめること。まさにスーッと滑らかかつ静かに今までのハイブリッドにない爽快感!

NISSAN NOTE e-POWER
 加速力自体は、実はエンジンを一度回して発電機で電気を使ってからモーターに送り込む分、立ち上がりがリーフより若干切れが悪く、最速の「S」モードでも加速は全体に甘いか? って感じ。

 それと特徴的なのは加速中のサウンドで、最初は大抵無音で立ち上がりますが、そのまま時速40kmを越えたり、アクセルをべた踏みするとエンジンがブーンと始動! それも1番効率のよい2400rpm前後でほぼ一定で回り出すので、ちと屋台の発電機っぽい(笑)。

 最もスピードを上げると回りがうるさくなってくるのでほとんど気になりませんが。

 それと遮音材を使ったり、穴を塞いだりして静粛性には気を使ってるので全体に静か。



 肝心の実燃費ですけど、街中で粋なりメーター計測20km/Lを超えたのはビックリ。やっぱり街中向きですなぁ。気になるのは高速ですけど、それはまだ試せておりません。

●ブレーキ踏まない運転ができる

 ついでに面白いのが、今までのハイブリッドにはない独特ドライビングモードで、シフト脇のボタンで「ノーマル」「S」「ECO」の3モードが選べ、特に「S」と「ECO」はブレーキ回生、つまりエンジンブレーキのようにモーターブレーキが強くかかり、アクセルを緩めるだけでかなりスピードが落ちます。


 要はブレーキペダルを踏まない運転、ワンペダル運転ができるわけで、日産によるとペダル踏み替え回数が7割も減るとか。


 ハイテク安全支援は「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」はもちろん、自慢の「アラウンドビューモニター」や「スマート・ルームミラー」を装着可能。

 かたや残念なのは、半自動運転技術のプロパイロットの設定がないことで、早いところ追加していただきたいし、なによりノートe-POWERの根本的な欠点は、ハイブリッド専用ボディじゃないこと!


 これあまり指摘されてないですが、結局は既存のノートの追加版に過ぎず、同時にビッグマイナーチェンジが行われて、フロントマスクはワイルドなVモーションが入ってるし、e-POWERのみ水色ラインとリアコンビランプには左右外向きのブーメラン模様も追加。


 でもハッキリ言ってそれくらいなんです。なにより国内専用モデルで海外には売らない! あまり本気っぷりが伺えず、なんちゅーか、日本でも最初は人気でも、徐々にアクアやフィットハイブリッドの後塵を排してしまう心配が。

NISSAN NOTE e-POWER
 小沢的にはやはり日産ならではの新ハイブリッドカーなのでイチから新しく作って欲しかったと。ついそう思ってしまう今日この頃なのでございますよ。

■日産自動車 公式サイト
http://www.nissan.co.jp


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