2017年は、クルマと様々なモノがインターネットを通じてつながる「コネクティビティ」に注目
2016年は自動運転についての話題に溢れた1年だった。しかし、各自動車メーカーから相次ぐ発表も、未来的かつ非現実的なコンセプトカーの域を出るものは少なかったと言っていいだろう。そして2017年は、今月初旬に開催されたCES(国際家電ショー)から察すると、 "コネクティビティ(Connectivity)"に焦点が当たる年となりそうだ。さらにはテクノロジーが世界的に、あるいはオープンソースとして共有化されていき、自動車メーカー間に昔から存在していた障壁が崩壊しつつあることが示唆されていた。これは消費者にとっても、開発者にとっても有益となるはずだ。

CESはそもそも、フラットスクリーン付き冷蔵庫や5次元放送のテレビといった最新かつ最高水準のテクノロジーや新製品を紹介する場だ。だが、最近では自動車業界との関連が高まっており、我々Autoblogでも他のオートショーと同様にCESについて紹介してきた。今回のCESで筆者が参加したイベントや見学したブースでは、クルマがどのようにしてスマートフォンや自宅とつながり、双方向での通信が可能になるのかについて、展示や説明、デモンストレーションを行っていた。

我々が向かっている世界はどうやら、全てのデバイスが1つのシステムの下でつながり作動する世界であるらしい。別の言い方をすれば、ありとあらゆるモノがインターネットに接続する(IoT)世界だ。自動運転とコネクティビティとの差は、後者の方が現実味を帯びているという点である。CESではコネクティビティについて、既に存在する多くの通信テクノロジーや、あるいは今年中に実現する技術が紹介されていた。規模の大小の差はあるものの、多数のデモンストレーションが行われ、近い将来にどんなことが可能になるのか、実際に試すことができたのだ。



例えばフォードは、Amazonの音声アシスタントシステム「Alexa」とクルマを直接接続することで、家と車内の隔たりをなくそうとしている。つまり、自宅で家庭用音声アシスタント端末「Echo」や「Echo Dot」に話しかけるのと同様に、車内からAlexaに指示を出すことが可能になる。運転しながらAmazonで買い物をすることもできるのだ(それが本当に便利かどうかはともかく)。サムソンは、フォードやBMWなどの自動車メーカー向けにスマートウォッチのアプリを開発中だし、トヨタは、フォードの子会社が開発した車載情報機器とスマートフォンのアプリを連携するシステム「スマートデバイスリンク(SDL)」を自社のクルマに導入する予定だ。つまり、開発者は1つのアプリで複数のインフォテインメント・システムに対応できることになる。

「The Linux Foundation」は、基本的に誰でも無料で利用できるLinuxという開かれたオペレーティング・システム(OS)の普及や標準化に取り組んでいる。このOSのおかげで開発者は、メーカーごとに車載システムが異っても、スマートフォンやアプリと問題なく連携することが可能になるのだ。車載システム向けのオープンソース・プロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」が公開したLinuxディストリビューションは現在、公開サイトからダウンロードできるようになっている。トヨタやダイムラーのような(普段は競い合っている)大手自動車メーカー同士も、さらなる技術の向上に向け、連携してプロジェクトに取り組んでいる。CESの会場では、ボッシュ、ヒュンダイ、クライスラーがコネクテッドカーのコンセプトを公開し、未来における自動車の姿を提示していた。

自動車メーカー各社は現在、この分野の国際標準化を目指し尽力している。Androidがメーカーの異なる多くのスマートフォンで利用できることを考えてみて欲しい。このOSにはメーカーごとに微調整や独自のカスタマイズが加えられているが、バックエンドの部分であるプログラムの根幹は同じだ。拡張性に優れたOSは開発力を高め、消費者に多くの選択肢を与えてくれる。実際、GoogleはAndroid OSの応用範囲を拡大し、単独で作動する車載インフォテインメント(IVI)システムに導入するための開発を続けており、現状のインフォテインメント・システムからの転換を促している。異なるメーカーの機器におけるOSの共有は、開発の現場においてプラスに働くだろう。こうしたオープンソースやOSの標準化が進めば、開発者は多様なシステムの検証に時間を浪費せずに、主力製品の向上に力を注ぐことができるからだ。

このようにコネクティビティが注目を集める一方で、クルマの自動運転については後回しになっているようだ。以前と違うのは、各社の自動運転に向けた取り組みがもはや大きなニュースにならない、ということである。5年以内にレベル4の基準を満たす自動運転車が市販されることはほぼ間違いない。また、誰もが似たようなことを発表する中、現時点で自動運転車に関わるプロジェクトに取り組んでいない自動車メーカーは時勢に遅れをとってしまうだろう。

コネクティビティと自動運転は密接に関連している。今後もこの2つの融合に関する話題がアップデートされることを期待したい。この先、人間はクルマの運転から徐々に離れ、代わって自動運転車がますます進化していくことだろう。そうすれば、マイカー通勤はバスや電車を使うのと変わらぬ感覚になるに違いない。コネクテッドカーの普及で、通勤中に仕事や読書をしたり、あるいはテレビを見たりと、クルマが家やオフィスのような、生産的な空間となることが予想される。




By Reese Counts
翻訳:日本映像翻訳アカデミー