【北米国際オートショー2017】VLFオートモーティブ、またしてもヤリ過ぎ感が否めない「Xシリーズ」を発表
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クルマを改造する長い過程において、どの時点で「もう十分」と認知するか。そこには、多くの人々が気付かずに通り過ぎてしまう、あいまいな境界線がある。そしてその線を超えてから、手掛けたクルマが金属やプラスチック、そしてもっと良いクルマから拝借した部品を乱雑にまとめた、ただ大きいだけの代物だということに遅ればせながら気付く。どうやら、VLFオートモーティブは排気ガスがいざなう白昼夢からまだ目覚めていないようだ。それは同社の最新作「Xシリーズ」を見れば一目瞭然だろう。

チェダーチーズ色のペイントが施され、「ハマー」のようなグリルとBrodozer製ホイールが装着されているものの、このクルマのベースがシボレー「コロラド」だということはすぐに分かるだろう。リアウインドウから車内をのぞくと、コロラドのスライド開閉式リアガラスがそのままの位置に残っているのが見える。つまり、このXシリーズは実際にはSUVではなく、ピックアップと実車サイズに拡大した玩具のホットウィールとの中間に位置するボディ・ワークを施したトラックに過ぎないのだ。

ご存じの通り、VLFには何の申し分もないクルマを台無しにしてきた過去がある。彼らは、我々が不可能だと思うようなことを何とかやり遂げてしまうのだ(悪い意味で)。例えば、ダッジ「ヴァイパー」を醜く改造したこともあった。欠点だらけのこのクルマで、唯一改善の必要がないと思われるのはヴァイパーのシャシーだけだった。また、米国カリフォルニアに拠点を置くギャルピン・オートスポーツと共同で、フォード「マスタング」をベースに、多少はマシではあるもののやはりオリジナルをわざわざ醜く改造した「ロケットV8」を製造したこともある。もっとも、3つ目のモデルは納得できる。「デスティノ V8」は、同社が販売するクルマの中で最も分別が感じられるモデルだ。見た目はフィスカー「カルマ」に少し手を加えただけであり、二級品のハイブリッド・パワートレインに替えてC6型シボレー「コルベットZR1」のLS9型6.2リッターV8エンジンが搭載されている。

しかし、今年の北米国際オートショーに出展されたXシリーズは、本当にひどいクルマだ。人目を引くVLFのブースの中でも、この巨大なチーズの塊は一際目立っている。グリルとホイール以外は、VLFの職人が時間をかけてハマー「H3」と昔のランボルギーニ「LM002」を掛け合わせたような形状を作り上げたことが分かる。全体は軍用車的であると同時にもろい印象も受けるが、それはこのXシリーズがワンオフのコンセプトカーだからだろう。

バンパーに装備されたウインチや、特大のホイールを覆う大きなフェンダーフレアといった機能的な要素も見られる。しかし、それらは奇妙な形の後部ドアやルーフ上の不可解なスポイラー、4本出しのエキゾースト・テールパイプ、シボレー「C7コルベット」のような縦長のテールランプで帳消しになっている。サスペンションは、ショックを交換し、車高を引き上げるなど、いくらかアップグレードされている。インテリアはよく見えなかったものの、VLFの他のモデルがヒントになるとしたら、改造は最小限にとどまっているだろう。

コロラドがベースなので、顧客(VLFは年間約250台の販売を見込んでいる)は、3.6リッターV6ガソリン・エンジンか2.8リッター直列4気筒ディーゼル・エンジンを選ぶことができる。どちらのエンジンも申し分ないが、そのパワーでどれほど余分な重量を動かさなくてはならないのかは不明だ。VLFによれば、V6エンジンでは軽くチューニングすることも可能だという。

以上の文章を全て読んでも、Xシリーズを1台所有したいという願望が薄れない人には、2つだけ伝えておきたい。1つは我々が友達にはなれないだろうということ、もう1つは同車を手に入れるのに推定7万ドル(約800万円)を支払わなくてはならないということだ。後者は、このクルマ全体で最も驚くべき点かもしれない。このような巨大なカスタムトラックでは大抵、価格が6桁に達するからだ。それに比べれば、同車は紛れもなくリーズナブルなクルマと言える。

Xシリーズは、ミシガン州オーバーンヒルズで生産されるものの、米国では販売されない。どうやらアジアと中東が標的市場のようだ。


By Reese Counts
翻訳:日本映像翻訳アカデミー