【東京オートサロン2017】スバルとSTI、3つのプロジェクトを中心としたモータースポーツ活動計画を発表 
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富士重工業とそのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル(STI)は13日、東京オートサロン 2017の会場において、今年度のモータースポーツ活動計画について発表した。

登壇したSTIの平川良夫社長はまず、モータースポーツに取り組む理由として、スバルがクルマ作りで掲げる「安心と愉しさ」、それを実証するために「モータースポーツという極限の場に取り組んでいる」と説明。そして今シーズンの「特に開発投資を大きく掛けた3つのプロジェクト」に、ニュルブルクリンク24時間レースSUPER GTグローバルラリークロス選手権を挙げた。



2008年の初参戦から今年で10回目の節目を迎えるニュルブルクリンク24時間レースには、今年も「WRX STI」で出場し、SP3Tクラス(排気量2.0リッター以下のターボ付きエンジン搭載車)で3年連続、5度目のクラス優勝を目指す。

ドライバーを務める山内英輝選手によると、WRX STIの強みは何と言っても「ライバルと比べて、路面コンディションの変化に一番強い」こと。昨年はコースに雹が降った際、並み居る上位クラスのGT3レーシングカーを差し置いて、スバルが総合1位の順位で走っていた時間もあったほど。これはスバルの優れた全輪駆動システム「シンメトリカルAWD」が威力を発揮したからだが、今年はさらに強さを増してきているライバルに対抗するため、「体力、適応力、そして地力を上げないと」と昨年からチームを率いる菅谷重雄監督は語る。

そのためには「基本に立ち返る」ということで、エンジンは燃焼効率を上げて出力を向上させ、車体は剛性バランスの改善と軽量化に取り組み、さらに空力とタイヤも開発を進めているとのこと。また、今年のマシンにはついにパドルシフトが採用されるという。ドライバーは日本の山内選手と、カルロ・ヴァンダム選手(オランダ)、マルセル・ラッセー選手(ドイツ)、ティム・シュリック選手(ドイツ)が今回も担当することになっている。彼らが「安心して、なおかつ楽しんで、それだけではレースはダメなので、攻めていけるクルマを渡したい。それが3連覇に続く道だと信じています。そのために今、この瞬間もエンジニアは頑張ってクルマを作っています」と菅谷監督は言う。「全員でしっかりつないで頑張ります」と述べた山内選手によれば、昨年は動画中継を観ている日本のファンからの応援メーセッジが本当に励みになったそうで、「今年も皆さん、24時間どうか寝ないで応援していただけると(笑)嬉しいです」と語っていた。


SUPER GTは今年も「BRZ」ベースのレースカーでGT300クラスに参戦する。昨年は第4戦の菅生と第5戦の富士で表彰台に上がり、第6戦の鈴鹿1000kmレースでは優勝したときには大勢のファンが歓喜した。そのチームとファンが一体になって喜び合った時の感激を、辰己英治総監督とドライバーの山内選手、そして井口卓人選手は口々に語っていた。しかし、「良い時もあれば悪い時もあるのがレースだけど、ちょっと悪い時が大きかった」と井口選手が言うように、タイで行われた第7戦はコースアウトしてリタイア。その後も流れは上向かず、結局ランキング6位でシーズンを終えた。

辰己総監督によれば、「一番足りなかったのはエンジン・パワー。2人のドライバーはコーナーではこれ以上ないくらい頑張っていた。ストレートで抜かれちゃうからコーナーで無理をする。それがどうしてもミスにつながりやすい。今年はもっと直線で楽をさせてやりたい」と語る。だから今年はまず、パワーを上げる。そのためには「耐久性を犠牲にする」という。「1戦ごとにエンジンを交換してもいいじゃないか。ぎりぎりでゴールしてくれれば。今まで5,000回転がマックスだったのを7,000回転まで回す。コーナーはもともと得意ですから」と意気込みを語る。そしてもう1つ、「もっと速くするためにはトラクションが欲しい。そのためには重量物をもう少し後輪に欲しい」ということで、新たにトランスアクスルを採用することが明らかにされた。フロントのエンジンから切り離したトランスミッションを後輪車軸側に置くレイアウトだ。これによって「コンマ5%か1%くらい後ろに荷重が掛かる」という。最初の記者会見で平川社長が「駆動系を変更する」と発言したときには、"まさかAWD(4輪駆動)を導入するのか!?"との推測も呼んだようだが、そういうわけではないらしい。BRZは市販モデルと同様、後輪駆動で今年も戦う。さらに、空力の改善や軽量化なども施した上で、「あともう1個あるんだけれど、ここで言うとマズイ」と辰己総監督は語っていたので、シーズン開幕を楽しみに待つことにしよう。

グローバルラリークロス選手権とは、最近特に米国で人気が高いモータースポーツであり、アスファルト路面とグラベル(オフロード)が組み合わされた上にジャンプまで設けられたクローズド・コースで、最高出力600馬力、最大トルク92kgmというモンスターに改造された市販車ベースの競技車両が接近戦を繰り広げる。これまで米国のスバル・ラリー・チーム USAがWRX STIで参戦していたが、今年からSTIによる技術支援が本格化するという。現在はフォルクスワーゲンの「ビートル GRC」(あの「ザ ビートル」がベース)が強く、2016年のスバルはフォードホンダにも次ぐマニュファクチャラーズ4位という結果だった。今年はSTIの力でさらなる活躍を期待したい。それにしても、WRX STIがビートルと争うレースなんて、それだけでも興味深い。



会場で上映されていた2016年のモータースポーツを振り返るダイジェスト・ムービーと、今年の東京オートサロンに向けて制作されたスバルのコンセプト映像をご紹介しておくので、是非ご覧いただきたい。「強い炎は青くなるという。さあ、人生に青い炎を」という言葉、スバル・ファンにはジンとくるのではないだろうか...?