【北米国際オートショー2017】フォルクスワーゲン、電動マイクロバスのコンセプトカー「I.D. Buzz」を発表
"ワーゲンバス"のファンなら惹かれるに違いない。フォルクスワーゲン(VW)はこれまで、かつてのマイクロバスを思わせるコンセプトカーを実にたくさん発表して来たが、いずれも市販化には至っていない。そして現在開催中の北米国際オートショー2017で、また新たなワーゲンバスの復刻版とも言える電気自動車(EV)のコンセプトカー「I.D. Buzz」を公開した。といっても、これはまだ開発初期段階の外観であり、実際にこのまま市販化される保証はない。いったん心を落ち着かせてから読み進めていただきたい。

VWが、数週間前にこのコンセプトカーのティーザー画像を公開したことを覚えているだろうか。そして過去には、「マイクロバス」コンセプトを2001年に「ブリー」を2011年に、I.D. Buzzほどあからさまなレトロではない「BUDD-e」を2016年に発表してきたことも思い出せるだろうか。残念ながらこれらの3台は、市販化されることなく、コンセプトカーのままで終わってしまった。どうやらVWは、新型マイクロバスは量産できるほど十分な数が売れると思っていないのかもしれない。


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だが、VWのEV用プラットフォーム「モジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)」がそんな状況を変えてくれそうだ。MEBは拡張性が非常に高いので、このI.D. Buzzのようなバンにも好都合だ。もし全てが計画通りにいけば、MEBを採用した最初のクルマが2020年に市場に出るだろう。しかし、現段階では、I.D. Buzzはまだコンセプトの域を出ていないので、同車の"仕様"は楽観的な推測と捉えておいた方がいい。

では、I.D. Buzzの詳細を見ていこう。車名は、ブンブンうなるという意味の"buzz"と、バス(bus)を掛けている。だが、このコンセプトカーの要点はそんな微妙な部分ではなく、スペース効率にある。I.D. Buzzの目的は、MEBプラットフォームが柔軟であり全輪駆動のMPV(多目的車)に適していると示すことなのだ。サイズは、全長4,942mm × 全幅1,976mm × 全高1,963mm、ホイールベース3,300mm。これは、VW商用車部門のベーシックバンでオリジナルのVWバスの後継車であるトランスポーター「T6」のサイズとほぼ同じで、I.D. Buzzの方が少しワイドではあるものの、ホイールベースはT6のショートとロングホイールベースの中間あたりだ。つまり、T6が販売されている欧州の人々にとっては親しみのあるサイズ感といえる。車内の積載容量は理論上、最大4,601リッターとなっており、フロントのトランクだけでも173リッターが確保されている(空冷時代の「ビートル」やポルシェ「911」のようなトランクだ)。

パワートレインは(これも...というか全てにおいて未確定ではあるが)、前後に搭載された電気モーターが合計最高出力374psを発生し、新欧州ドライビングサイクルに基づく航続距離は600kmと発表されている。2基の電気モーターは状況に応じて前輪と後輪の駆動力を調整する。VWでは、後部のモーターのみを搭載する後輪駆動バージョンを製造することも簡単だとも述べている。このコンセプトカーに搭載されているバッテリー容量は111kWhだそうだ。

全てが順調にいけば、I.D. Buzzは搭載された4つのレーザースキャナーや、超音波センサー、レーダーセンサー、サイドビューカメラ、フロントカメラによって完全自動運転が可能になるという。


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VWはI.D. Buzzがレトロなデザインではないと必死に強調しているのだが、上の画像をご覧いただきたい。大きなVWのロゴがついた2トーンカラーのフロントエンドは、「T1」マイクロバスを彷彿とさせる。同じカラーリングのT1を隣に並べた画像は「レトロではない」という主張を根底から揺るがしてしまっている。このデザインが魅力的に映るかどうかは見る人次第だが、昨年のパリ・モーターショーで発表された「I.D.」と似たヘッドライトは、I.D. Buzzの顔には似合っているとは思えない。しかし、非常にスリムで精巧なテールライトは見事な仕上がりだ。そして、オリジナルのT1にあるクロームトリムに替わって、アンビエントライティングとして機能するキャラクターラインが採用されている。

インテリアは、昨年発表されたハッチバックのI.D.から多くのテーマやアイデアを受け継いでおり、様々な構成に変えられるシートや、格納式のステアリング・ホイール、拡張現実ヘッドアップディスプレイなど、自動運転車で定番の装備も取り揃えている。ありがたいことに、後部座席はベッドとしての使用も可能だ。これはかつてミニバンに多かった仕様で、キャンプをする際に非常に便利である。紛らわしい名称だが、同社のクルマを利用する個々のユーザーの好みや設定を管理する「フォルクスワーゲンID」というユーザー・プロフィールのソフトウェアによって、I.D. Buzzもその"ドライバーの"好みに合わせることができる。

デトロイトのオートショー会場で撮影されたI.D. Buzzの映像と写真が届いているので、是非そちらをお楽しみいただきたい。



By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー