LEXUS AIR RACE
 まず最初に言おう。慣れた横Gはほとんどなく、たえず強烈な縦Gに襲われた。脳天の血液が下がり、視界がぼーっと薄れる感覚に見舞われる。水平感覚が麻痺し、地上と空の上下感覚が曖昧になった。これはすごい世界だぞと・・・。
 陸上のコンペティションマシンには慣れている。レース界に身を投じてから30数年。様々なマシンをドライブしてきた。だから少々手強いくらいではヒカかない。たとえどんな横Gが首を襲っても耐えられる。

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 だが、スピードのステージが空となれば話は別だ。今回体験したのは空のレーシングマシン、日本人唯一のエアレース優勝パイロットである室屋義秀選手が操縦するマシンで空を舞ったのである。そして実感したには、とてつもない世界だということだ。

LEXUS AIR RACE LEXUS AIR RACE
 アクロバチック体験のチャンスを得たのは、レクサスがLC500とのコラボ走行をすることになったからだ。僕に演出のお鉢が回ってきた。CMやカーパーフォーマンスショーの演出を評価されたからだろうと思う。

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 地上でレクサスLC500を走らせ、その真上を室屋義秀さんに待ってもらおうと企んだのだが、なんとアクロバチック飛行の経験がない。知らないで演出するわけもなく、アイデアを巡らせる前に、一度空の世界を知ろうということが今回の飛行体験のきっかけなのだ。

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 個人的にはセスナを操縦したことも少なくないし、ロビンソンR22という小さなヘリコプターの操縦経験もある。それらは二本の腕と二本の足を駆使して慌ただしくコントロールするものだった。


 だがレース用に設計されたそれは、中央の一本のレバーを操作することで反転も旋回も可能なように細工されていた。マシンは、極めてシンプルに操縦できるように設計されているのだ。
 もちろん実際にはそんな簡単なものではなく、エンジン回転の調整は左手が触れる位置にあるレバー操作が必要だし、そもそも離陸や着陸では、地上とのコンタクトが欠かせない。だがコンマ一秒を縮めるために素早く後転し斜めになって飛行するためには、そんな簡潔な操縦桿が必要なのだろう。


 この機体を室屋義秀選手が操ると自在に空を舞う。3次元だから垂直に上昇することも真っ逆さまに下降することも可能だ。そればかりか宙返りは前転でも後転でもできる。もっと言えば真っ逆さまになり直進することも、斜めになって直進することも、あるいは捻りながら回転することも可能なのだ。アクロバチックフライトをご覧になった方も多いに違いないが、とにもかくにも姿勢や速度は自由自在なのだ。室屋さんの手にかかれば・・・。


 ちなみに最高速度は370km/h、離陸の際の0-100km/h加速は、スポーティクーペと同等だからそれほど驚くことはなかったが、100km/hあたりから加速は凄まじく、フェラーリやランボルギーニすら上回る。
 その操作スタイルスタイルが驚きだった。股の間から伸びるステッキ状の操縦桿を、一気に素早く倒したり戻したりするのだ。まるで折れるのではないかと心配になるほど乱暴に見えた。そう、それほどエアレースは俊敏な動きが求められるのだ。
 それだから、果たして自分が水平なのか旋回しているのかの感覚が麻痺していく。そこに強烈な縦Gが加わる。脳天が正常でいられるわけがないのだ。


 今回の体験試乗では、最大5G程度の縦Gだったという。それでも、腰に強い負担がかかっているのがわかる。背骨が縦に圧縮され、椎間板が潰れそうになる感覚がわかる。腰骨が折れそうだった。腰痛持ちはフライトを遠慮した方がいいだろう。
 実際のレースでは。さらに2倍の10Gの縦Gが次からつぎへと襲ってくるというから恐ろしい。ルールでは12Gが2秒間発生すると、身体的な危険を考慮してペナルティが科せられるという。室屋義秀選手がライバルを圧倒しているのは強いGに耐える身体的な能力だという。だからレースではときより限界を超えてペナルティの対象になるというから、恐ろしいからだの持ち主なのだ。


 僕の体験はたった15分程度だったが、それでも体は明らかに悲鳴をあげていた。特に脳天が水平感覚を失ってしまった。と同時に、空という3次元の空間を飛び回る自由が快感である。翼が生えたような感覚である。鳥はこんな気分なのだろう。


陸上のレースに次は、空に挑戦しようかな (笑)

■レクサス 公式サイト
https://lexus.jp/


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