【論説】アキュラは「NSX」の技術を用いてハイブリッドの新型「インテグラ」を開発するべき!
本記事の見出しで述べたことは、確かに異論のある提案だろう。ホンダ「CR-Z」は、優れたハイブリッド・スポーツカーではなかった。北米市場ではアキュラ「RSX」がホンダ「インテグラ」の後を継いだ(日本ではそのままホンダ「インテグラ」として販売されていた)ことも知っている。だが、筆者は頭がおかしくなったわけではない。いや、多少はおかしいかもしれないが、まあとにかく、最後まで話を聞いていただきたい。

現在のところ、アキュラはいまいち焦点が定まっていないように思われる。「NSX」以外のラインアップはまったく退屈極まりない。NSXは、パフォーマンス志向の優れたハイブリッドAWDシステムを備えた、20万ドル(約2,340万円)の偉大なミドエンジン・スーパーカーだ。それなのに「SH-AWD」(スーパー・ハンドリング・オールホイール・ドライブ)システムを搭載した他のハイブリッド車、「RLX スポーツ・ハイブリッド」や「MDX スポーツ・ハイブリッド」を、NSXに結び付けようとする人はほとんどいない。

初代NSXは、アキュラが世界レベルの技術と性能を備えたクルマを製造しているということを世に示し、インテグラは、それを庶民に手の届く価格で提供したモデルであった。新型NSXは初代と同様のメッセージを伝えるモデルなので、同じように新世代のインテグラが登場してもおかしくない。

現在、エントリー・レベルのハイブリッド・スポーツカーを作ることは、ビジネスとして難しい。既に明らかになっているように、CR-Zは大失敗作だった。車両重量が重く、高価で、あまりスポーティでないなど、バランスが完全に欠けており、燃費性能さえも特に優れているわけではなかった。しかし、ホンダとアキュラはこうした失敗を教訓にできるのだ。

まず、コストを抑えるために、アキュラは改良され続けているホンダの部品を流用することができる。かつてのインテグラに倣って、素晴らしい「シビック クーペ」のプラットフォームを借りることは理に適っているはずだ。我々の提案しているハイブリッド・パワートレインを、今年発売予定の「シビック クーペ Si」の4気筒ターボに組み合わせてもいい。バッテリーとモーターが加わるため、多少のコスト増は避けられない。開発コストも増えるので、価格は少々上がるだろう。だが、アキュラは高級車ブランドであるから、客離れを起こすことなく値上げできる余地がある。



車両重量は、この仮定上のハイブリッド車が直面しそうなもう1つの課題であり、CR-Zに対する主な不満点でもあった。RLXRLX スポーツ・ハイブリッドを例に挙げて比較すると、ハイブリッド・システムを搭載することで約160kgほど上乗せされていることが分かる。無視できない数字ではあるものの、ターボチャージャーを搭載した「シビック クーペ EX-T」の1,310kgに、仮にこの160kgを足してみると、約1,470kgのクルマとなる。これなら、とても楽しいフォード「マスタング エコブースト」と同程度である。インテグラのハイブリッド・モデルの車重を1,500kg程度に抑えることさえできれば、アキュラは面白いクーペをラインアップに持つことになるはずだ。

最後の課題は、妥協のないクルマにすることである。NSXで採用されているハイブリッド技術は全て、パフォーマンスを高めるためのものだ。ターボラグの解消に役立ち、加速とハンドリングの性能も向上する。それが見事に効果を発揮し、そのためのプラットフォームだから、誰も燃費のことは気にしない。インテグラのハイブリッド・モデルでも、NSXと同様のアプローチを取る必要がある。つまり、完全にパフォーマンス志向のモデルであるというメッセージを、あらゆる形で伝えることだ。結果的に燃費の優れたクルマとなれば素晴らしいが、それは最初に考えるべき事項ではない。

ホンダとアキュラが極端に高額ではない、本当に楽しめるプレミアム・スポーツカーの構想に力を入れることができれば、アキュラは「高価なホンダ」を超えた存在へと脱皮できるかもしれない。そうすれば、アキュラが掲げている「ハイテクでスポーティなブランド」というメッセージに、より相応しい製品ラインアップをついに手にすることになる。唯一の問題は、これに挑む大胆さがアキュラにあるか否かだ。


By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー