スズキは27日、4代目となる新型「スイフト」を発表した。新開発の軽量高剛性プラットフォームを採用し、先代モデルで好評だった「デザインと走り」をさらに高めたという。

車体サイズは先代よりホイールベースを20mm延長しながら、前後オーバーハングを切り詰めることで全長は逆に10mm短縮され、3,840mmとなった。しかも荷室長も75mm拡がり、顧客から不満の声が多かったという荷室容量は、215Lから265Lに大幅増加した。1,695mmの全幅は変わらないが、車内の各部を削り取り、室内幅は1,385mmから1,425mmに拡大している。全高は1,500mm(4輪駆動車は最低地上高が25mm高いため1,525mm)と10mm低くなったが、これはシートの座面を前20mm、後45mmほど下げたことで可能になった。



「HEARTECT(ハーテクト)」と名付けられた新プラットフォームは主に骨格構造を見直すことで、アンダーボディのみで先代より30kgの軽量化を達成。さらに超高張力鋼板の使用範囲を拡大して重量を軽減したボディをはじめ、内装部品、外装部品、足回り、エンジンなどの軽量化によって、車両重量では120kgも軽くなったという。例えば先代と同じエンジンを積む5速マニュアル・トランスミッションのエントリー・グレード「XG」は、先代が960kgであるのに対し、新型は840kgに過ぎない。単に重量を削っただけではなく、足回りの取付部など必要な箇所は剛性を高め、ハンドリング性能と運転する愉しさが向上しているそうだ。日常的な使い勝手の面では、16インチ・ホイール(185/55R16タイヤ)装着車の最小回転半径が5.2mから4.8mに小さくなったことも歓迎されるに違いない。車重が軽くなったことでブレーキの負担が減り、前後のディスクは先代の15インチから14インチに縮小された。その分、また総重量はさらに軽量化されたという(これをスズキのエンジニアは「天使のスパイラル」と呼んでいた)。

ただし、ここまで大幅に軽くなると良いことばかりではなかったという。例えば、路面からの小さな入力にも反応してしまうため、乗り心地の点では不利になる。これを抑えるためにダンパーのチューニングには苦労されたそうだ。また、同じエンジンで車体が軽くなれば、アクセルを少し開けただけで急激に発進するようになってしまう。この辺りも念入りな調整が必要になったという。

新型スイフトにも先代と同様に、欧州仕様と同じチューニングをショックアブソーバー、タイヤ、電動パワーステアリングに施した「RS」が設定される。ボディにはスポイラーを一体化した前後バンパーとサイドスカート、リアエンド・スポイラーが装着され、ハニカム・メッシュが採用されたフロント・グリルには赤いラインが入る。



パワーユニットは(現在のところ)3種類が用意される。1.2リッター自然吸気直列4気筒「デュアルジェット」エンジンと、それに「ISG」と呼ばれるモーター機能付発電機およびリチウムイオン・バッテリーを組み合わせた「マイルドハイブリッド」、そして1.0リッター直列3気筒直噴ターボの「ブースタージェット」エンジンだ。

1.2リッター4気筒は基本的に先代から引き継いだものだが、圧縮比を12.0から12.5に高めるなどの改良が施されている。最高出力91ps/6,000rpmと最大トルク12.0kgm/4,400rpmの数値は変わらないが、軽量化の恩恵もあり、JC08モード燃費はCVT仕様で20.6km/Lから24.0km/Lに大きく改善された。このエンジンはCVTの他に5速マニュアル・トランスミッション(MT)も選べる。ギアの抵抗を減らし、シフトフィーリングを改善させたというこのMTがわざわざ新設計されたのも、全生産台数の9割が海外で売られるスイフトならではと言えるかもしれない。

最高出力3.1psと最大トルク5.1kgmを発生するモーター機能付発電機が、発進直後や加速時に最長30秒間だけエンジンをアシストするマイルドハイブリッドは、CVTとの組み合わせで、前輪駆動モデルなら27.4km/L、4輪駆動モデルでも25.4km/LのJC08モード燃費を達成。ちなみに「ソリオ」には先日、よりパワフルなモーターを搭載し、電気のみによる走行も可能な通称"ストロング・ハイブリッド"が搭載されたが、新型スイフトには現在のところ設定されていない。



1.0リッターの排気量で1.5リッター自然吸気並みのトルクを引き出す直列3気筒直噴ターボは、最高出力102ps/5,500rpmと最大トルク15.3kgm/1,700-4,500rpmを発揮。日本仕様はレギュラー・ガソリン対応だが、欧州など海外向け(日本、インド、インドネシア以外)では95オクタン仕様で85kW(116ps)になるそうだ。なお、スズキのエンジニアの方から聞いたお話によれば、技術的にはもっと高いパワーも絞り出せるそうだが、「触媒の容量との関係で他社(欧州最大の某自動車会社)がパテントを持っているので」、85kW以上にできないという事情もあるとか。余談ではありますが。このエンジンには6速オートマチック・トランスミッションが組み合わされる。さらなるパワーやMTを求める人は、現在同じチームが開発中という次期型「スイフト スポーツ」に期待しよう(エンジンの仕様などについては当然ながらまだ教えてもらえなかったけれど)。



エクステリアは先代までのスイフトのDNAを継承しながら、大胆に進化させたとスズキは言う。前後フェンダーを強調したショルダーラインや、ルーフが浮かび上がって見えるCピラーとその手前に配された後部ドア用ハンドル、大きなフロント・グリルが特徴的と言えるだろう。このボディ形状を引き立てるために、ハイライトとシェードがどちらも美しく発色する新しい塗装色「バーニングレッドパールメタリック」が新開発された。スイフトで3番目に売れているというブルー系も、新色の「スピーディーブルーメタリック」に替わっている。

ドライバー中心に設計されたというインテリアは、ナビゲーション・モニターや空調の操作パネルがドライバー側に傾きが付けられているだけでなく、エンジンターン加工されたメーターパネルや、腕時計のクロノグラフを意識したという水温計および燃料計、サイドサポートが強化されたシートなど、ドライバーを楽しませるデザインも各部に見られる。しかもメーターパネル内のマルチインフォメーションディスプレイには、平均/瞬間燃費、平均車速、走行距離などの一般的な情報のほか、アクセル/ブレーキの操作状況、パワー/トルク、走行時の車両に掛かるGなどもリアルタイム表示できる。質感を高めるために、樹脂製パーツのシボも専用開発したそうだ。




プラットフォーム、パワートレイン、デザインの他に進化したのが安全性能だ。今や常識となった衝突被害軽減ブレーキ・システムは、歩行者も検出できる単眼カメラ+レーザーレーダーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」を初採用。ヘッドランプのハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト機能」もスズキで初めて採用された。これらはサイドエアバッグやカーテンエアバッグとセットになった「セーフティパッケージ」というオプションだが、最廉価グレードの「XG」を除く全てのモデル(5速MTも含む)に装着できる。

価格は「XG」の5MTが134万3,520円から、「HYBRID RS」4WD車の184万5,720円まで。先代と直接比較はできないが、同程度のパワートレイン/トリム同士で比べれば数万円程度の値上げとなる。エクステリア・デザインの好みは別れるかもしれないが、シャシーからパッケージング、内装、機能や装備も確かに進化したと思われる。とはいえ今すぐに販売店へ行かれても試乗はできそうにない。発売は来年2017年の1月4日からだから。詳しい情報は以下のURLから公式サイトでご確認を。