BMW Motored R nine T scrambler
創業100周年を迎えたBMWが元気だ。次々と魅力的なモデルを出してきている。なかでも特に評判がいいのが『R nineT scrambler(アール・ナインティ・スクランブラー)』。「あれイイよねぇ」「青木くん乗った? どうなの?」って声をあちらこちらで聞く。注目度がとても高い。ボク自身も早く乗ってみたかった。今回はベースモデルとなる『R nine T』と同時に、クローズドコースと一般道にて試乗する機会を得た。

BMW Motored R nine T scrambler
このスクランブラースタイル、時代など問わずにカッコイイと思うが、いま特に旬を迎えている感がある。

BMW Motored R nine T scrambler BMW Motored R nine T scrambler
BMW Motored R nine T scrambler BMW Motored R nine T scrambler
専用装備としたアップマフラーやシンプルな小径ヘッドライト、フォークブーツといったディテールもたまらないし、アップライトなライディングポジションも時代に合っているのだろう。

BMW Motored R nine T scrambler BMW Motored R nine T scrambler
エンジンは空油冷DOHC4バルブの水平対向2気筒。BMWお馴染みのボクサーツインで、最新式は水冷化しているからひとつ前の世代のパワーユニットということになる。ボア×ストロークは101mm×73mmで、排気量は1,169cc。パルス感があって、吹け上がりに元気のあるテイスティなエンジンだ。

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BMW Motored R nine T scrambler
そこにアクラポヴィッッチのマフラーがセットされるから、歯切れの良いサウンドを奏でダッシュするのが気持ちいい。低中速域からトルクフルで、タコメーターがないのでわからないが、4速60km/hあるいはトップギヤ100km/hあたりで、流すと心地良いと思える等身大のオートバイに仕上がっている。つまり、どういうことかというと、目を三角にして飛ばさなくても面白い。

BMW Motored R nine T scrambler BMW Motored R nine T scrambler
かといって決して鈍足ではない。むしろ俊敏、スポーティと胸を張って言えよう。地を這うような安定感を持ちながら、コーナリングやレーンチェンジでは排気量を忘れさせる軽快な動きを見せるのは、R nine Tもスクランブラーもそうで、乗り手の意志どおりに軽々と動いてくれる。これは車体の中心にクランクシャフトを縦置きにしたボクサーツインならではのもので、マスがロールセンターにあり、ジャイロ効果が車体のピッチングを押さえる方向に働くことが大きい。トラクションがしっかりかかり、アクセルをどんどん開けていけるのは昔のボクサーツインモデルから変わらない。

BMW Motored R nine T BMW Motored R nine T scrambler
ホイールサイズは両車で異なり、前後ともに17インチのR nine Tに対し、スクランブラーは前輪を2インチアップの19インチ(120/70ZR17から120/70R19)とした。そしてリアは17インチをそのままにリム幅を1インチほどスリムにし、180/55ZR17だったタイヤサイズを170/60R17にしている。キャスター角もR nine Tの64.5度を、スクランブラーでは61.5度へと変更され、ホイールベースやトレール量もそれに伴って増えている。クローズドコースの直線でハイスピードレンジまで引っ張り上げてもビクともない直進安定性を見せるから、クラシカルなスタイルながらBMWが得意とする高速移動はかなり高いレベルでこなしてくれそうだ。

BMW Motored R nine T scrambler
荒れた舗装や段差での衝撃をソフトにいなしてくれ、乗り心地が両モデルともいい。どちらかと言えば、スクランブラーのサスペンションの方が前後ともによく動き、乗りやすい印象をライダーに与えている。フロントフォークはR nine Tでは倒立式インナーチューブ径46mmだが、スクランブラーは正立式43mmでペースが上がらないうちからしなやかに動くという点ではスクランブラーが上。その逆にハイペースで追い込むと、前後17インチでホイールベースの短いR nine Tに軍配が上がる。街乗りやツーリングスピードでノンビリ走るぶんには、より扱いやすくふフレンドリーなスクランブラーがボクには好印象。これは好みの問題でしかなく、甲乙付けがたいところだろう。

BMW Motored R nine T scrambler BMW Motored R nine T scrambler
それと近代のフラットツインはトルクリアクションのクセが解消傾向にあると言われがちだが、まだまだ残っているから、それを感じるとヘルメットの中で思わず頬が緩む。ボクは長い間、R80を所有していたからこの挙動が懐かしい。アクセルを煽ると同時に車体が右側に身震いするかの如く傾こうとするこの動き。ハイパワー高出力化に伴って味気ないものとなっていく現代のオートバイの中で、なんという愛くるしいクセなのだろう。強烈な個性がBMWの水平対向2気筒エンジンには残っていて、それがまた大きな魅力であることを改めて実感できる。

BMW Motored G 310 R Custom
そして100年という長い歴史が育んだ味わい深きモデルがある一方で、アンダー400ccの『G310R』が発売を間近に控えているが、早くもカスタムが登場している。東京都八王子市のカスタムショップ『WEDGE MOTORCYCLE』が手がけたもので、後方排気・後傾シリンダーのエンジンとノーマルのトラスフレームをアピールしたトラッカースタイルに仕上げられている。

BMW Motored G 310 R Custom BMW Motored G 310 R Custom
BMW Motored G 310 R Custom BMW Motored G 310 R Custom
興味深いのは燃料タンクの下にリアショックがレイアウトされていること。ビルダーの二平隆司氏によれば、「エンジンの上に何気なくサスペンションを置いたら、そのバランスがとてもよかった」とのこと。タンク下をカットし、ワンオフのスイングアームやリンケージなどで実現に漕ぎ着けた。

BMW Motored R nine T scrambler
伝統を踏襲したR nine Tシリーズは、カフェレーサー『R nineT Racer』やベーシックとなる『R nine T Pure』、『R nine T Ueban G/S』も発表され、ますます拡大の勢い。そしてBMW Motorrad Japanのバックアップのもと、こうしたカスタムを積極的に発表するというまったく新しいチャレンジも続けるBMW。伝統と革新が融合する同メーカーの今後の動向から、ますます目が離せない。

■BMW Motorrad公式サイト
http://www.bmw-motorrad.jp/