BMW 330e
 メチャ速。鬼トルク。そこからもたらされる圧巻のドライビングプレジャーは、これまで経験したことのないほどに異次元の踏み心地だ。試乗中、やたらにニヤニヤしてしまって撮影に困ってしまったくらい。
BMWの基幹モデルである3シリーズのプラグインハイブリッド、330eである。
モタつきの気になる停車状態、つまりアクセルの踏みはじめからギラっと鋭い加速がタイムラグなしに始まる驚異のレスポンスの良さに、思わずウハウハしてしまった。一回この快感を味わっちゃったら内燃機関オンリーモデルには戻れないんじゃないかと、老婆心ながらに心配になってしまうくらい。いやはやさすがBMW、プラグインハイブリッドとてエコ一辺倒で終わらせない。むしろ新しいパワートレーンだからこそ、より走りに忠実に、より基本に忠実に作り込んで来た感すらある。
それくらいにエキサイティング。
ハンドルを握る者には圧倒的なる『駆け抜ける歓び』を提供してくれるのだもの。

BMW 330e
 そう、モーターがもたらすタイムラグのない電気的な加速は、大陸続きで日常航続距離の長い欧州よりも、むしろ特に日本のように、信号が多くてストップ&ゴーが連続するような道路環境において、優位性が高いと感じる。

BMW 330e
 再加速のたびにいちいちズバっと鮮烈な加速を満喫出来ることにノックアウトされちゃうハイブリッドファンが増加しているという事実は、だから一回でも試乗すれば至極納得の事実だ。


 ここのところ、厳しいCO2排出規制に対応するため、続々と欧州勢がプラグインハイブリッド(以下PHV)車を発表し、市場に投入しているのはご存知の通りなのだけど、エコに邁進しすぎてクルマが面白くなかったら本末転倒。クルマに五月蝿いユーザーは一気に踵を返して販売台数ガタ落ち、なんてことになったらメーカーとしても困る。


 というわけで走りにコンシャスなBMWは、やっぱりBMWらしいPHVを出す必要があったのだろう。同社には様々なPHVシステムがバリエーションとして存在するのだけど、すぐ下に225xeグランドツアラーもあるがために、3シリーズともなれば、格段にユーザーの期待が走りに傾いてくる。それをどんな手で納得させるのか、その至極明快な答えがコレだったとすれば、ドライビングプレジャーまでもをカヴァーするなんてやっぱり走りの演出が上手だなあこの会社は、と恐れ入った。モーターを搭載してさらに、BMWは走りの新たな分野を開拓したんじゃないのかと感じてしまうほどだ。

BMW 330e
 ハンドリングも抜群。ステアフィールはやや軽めに味付けしてあるのだが、それはモーター加速の軽やかさ、ひいてはスポーティーさを喚起させてくれるから、個人的には好印象だった。
重量を感じさせないグイグイ系トルクに負けないカッチリした足回り、接地感の良さのバランスも見事。若々しいイメージのある3シリーズだけど、むしろこの330eに関しては先述の重量とカッチリ感を得て、少しオトナな雰囲気すら漂う。さらに上級クラスのような質感を実現している。

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BMW 330e BMW 330e
 搭載されるのは4気筒ターボガソリンエンジンに外部から給電可能な電気モーターを組み合わせたもの。モーターのみでの航続距離は最大35kmとされているが、この「走り系」電気モーターシステムの若干の難点は「楽しいからこそつい踏み過ぎてしまう」という点で、よっぽどエコをキモに銘じておかないと、その半分くらいで充電量を使い切ってしまう罪深さにあるのが悩ましい。

BMW 330e BMW 330e
 試乗会では借り出しの際、運営スタッフが常にフル充電状態でクルマを渡してくれるように工夫されていたが、やっぱり愉しくてあっという間に充電を使い切ってしまった。オーナーになるには強靭な精神力を求められる、そんなクルマかもしれない。


 しかし、たとえ充電を使い切ったからと言ってそこでモーターの加速が損なわれるわけではないのも魅力。メーター上は充電がなくなっていても、システムを保持させるためにエンジンとブレーキ回生システムからの給電が行なわれるため、いきなりガソリンエンジンのみの走行に切り替わることはない。たとえガソリンエンジンがメインの駆動力になっていても、そこに電気モーターが常に介入しているため、まるでターボのようにモーターのトルクが常に薄く足されているので、ドライバーはキリっと鋭いモーター加速をどんな充電状態でも堪能出来るのだ。


 走行モードは3種類。デフォルトに設定されているAUTO e-Driveモード、電気モーターを優先的に使うMAX e-Driveモード、そして充電量を一定量に保つSAVE BATTERYモード。

BMW 330e
 充電設備を自宅に持てるなら、日頃のお買い物やちょっとしたお出かけなんかはMAX e-Driveモードを選択しておけばいい。AUTO e-Driveモードでは時速80km/h以上、さらに充電量が12%以下になった際に自動的にガソリンエンジンに切り替わるのだけど、MAX e-Driveモードを選択しておけば、なんと120km/hまで電気モーターの走行が可能。もちろんどのモードを選択していても、バッテリー充電量が低下すれば自動的にガソリンエンジンに切り替わる。

 SAVE BATTERYモードは、逆にガソリンエンジンをメインに走行させるモード。と同時に、ガソリンエンジンを使ってバッテリーに給電し、充電量を回復させる。たとえば、深夜に帰宅したときなど、自宅車庫周辺では音をさせたくない...、なんてときににもツカえる。円満なご近所付き合いにも一役買う、かもしれない。


 でもさらに言うなら、このモーター加速の鋭さは、最も好みの分かれる部分にもなり得る気がする。アクセルペダルを与えられたドライバーは間違いなく超絶に楽しいけれど、どんな状況からでものっけからシートに身体を押し付けられるほどのGが生まれてしまうってのは、決して同乗者には歓迎されるばかりのものとは限らないからね。

■BMW Japan 公式サイト
http://www.bmw.co.jp/ja/index.html