フォードCEO、次期大統領に燃費基準の引き下げを要望すると発言
フォードは2015年に、ハイブリッド(HV)、プラグイン・ハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)のように原動力やその一部に電気モーターを使用する"電動化車両"を約7万台販売し、2016年も同等数を達成しつつあるが、ここに来て弱気になっているようだ。同社は現在、企業別平均燃費(CAFE)基準を引き下げるように、先頭に立って米国政府へ働き掛けているという。これは金融情報サービス『ブルームバーグ』が、フォードのマーク・フィールズCEOから聞いた話として伝えているものだが、同CEOはCAFE基準の引き下げも含め、米国次期大統領のドナルド・トランプ氏と多様な内容について話し合いを持ちたいと語っている。

「我々の要望をはっきり伝えます」とフィールズCEOはブルームバーグのインタビューで語っている。フォードはもちろん、2011年にこのCAFE基準に合意しているが、基準値を達成するために各自動車メーカーは必要以上に多くのHVやEVを生産しなくてはならなくなったと、同CEOは主張。しかも、これらのクルマに需要がないのは消費者側のせいでもあるというような発言をしている。さらに「2008年には全米で販売されていた電動化車両は12車種のみで、全自動車販売数の2.3%を占めていました。しかし、2016年になるとその数は55車種まで増えたものの、販売台数は全体の2.8%に留まっているのです」とも述べている。

だが、この発言は正確とはいえない(55車種の中にはカリフォルニア州のみで販売されているものが含まれるので、"全米"というのは明らかに正しくない)。はっきり言えばフォードはこれまで、誰もに支持されるような魅力的な電動車を発売して、業界を引っ張ってきたわけでは決してない。一方、テスラの「モデル3」は問題を抱えながらも予約の段階で40万台近くも受注している。これはフォードの人気セダン「フォーカス」の2年分の数字に相当する。

いずれにせよ、エコカー専門情報サイト『Green Car Reports』が指摘するように、クルマの電動化を推進しているのは米国環境保護庁(EPA)ではなくカリフォルニア大気資源局(CARB)だということを理解しておくべきだ。もし、トランプ次期大統領がCAFE基準の引き下げを決めた場合でも、CARBは大気汚染対策の手を緩めるつもりはないだろう。もちろん、フォードも昨年12月には様々な"電動化"対策に45億ドル(当時のレートで約4,500億円)を計上しており、2025年までに54.5mpg(約23.2km/L)という燃費をCAFE基準値とすることに2011年に合意している。

トランプ氏の自動車業界に対する姿勢は少しずつ明らかになってきているが、まだ不明な部分が多い。大統領選挙戦中と選挙終了後に、フォードの一部の雇用問題について誤解を招く発言をしたトランプ氏だが、GMのメアリー・バーラCEOを「戦略政策フォーラム」のメンバーに選任したように、近いうちにフォードの言い分にも耳を傾けることだろう。


by Sebastian Blanco
翻訳:日本映像翻訳アカデミー