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膨大な数の車両が眠るセルフサービス式廃車置場を歩くと、かつて物議を醸したクルマの数々を見つけることができる。例えば、イグニッションスイッチに欠陥があったポンティアック「G5」や、急加速が問題となったアウディ「5000」、追突炎上事故を起こしたフォード「ピント」、2,300万台も製造されながら構造上の欠陥でギアがパーキングからリバースに滑るとされた1980年代のフォード車、等々。そして、米国自動車史でも特に有名な問題となったクルマといえば、シボレー「コルヴェア」だ。そんなコルヴェアの1964年型コンバーチブルを、コロラド州デンバーの廃車置場で見つけた。



コルヴェアは、当時のデトロイトの基準からすると実に先進的だった。水平対向エンジンを車体後部に搭載することで、フラットなフロアを実現。前席にベンチシートを採用し、6人が乗れる非常に優秀なコンパクトカーだった。写真のクルマは劣化が激しく、おそらくレストアする価値はないだろう。しかし、この個体だけが特に錆びているというわけではない。筆者の知る限り、ここから100マイル(約161km)ほど南にある廃車置場には、永遠の居場所を探し求めるコルベアが少なくとも50台はある。



1965年に発表されたラルフ・ネーダー氏の著書『どんなスピードでも自動車は危険だ:アメリカの自動車に仕組まれた危険(原題『Unsafe at Any Speed: The Designed-In Dangers of the American Automobile』)』は、コルヴェアだけについて書かれているわけではなかったが、我々が今でもすぐに思い出せるのは、名指しで"欠陥車"と槍玉に挙げられたコルヴェアのことだ。これに対し、ゼネラルモーターズ(GM)はネーダー氏を貶めようと分別に欠ける手段に出た(ネーダー氏の身辺を調査し、彼自身の粗探しをして誹謗中傷した)が、逆にそれが彼を有名にし、コルヴェアの売り上げは下降線をたどった。

もっともコルヴェアの低迷は、フォードから登場した「マスタング」や、さらにはシボレー自身の「シェビーII」などとの競合によるものが大きく、ネーダー氏の批判を受ける以前から始まっていた。俳優アーニー・コヴァックスがコルベアで事故死したことで注目されたオーバーステアやリアサスペンションのジャッキアップ現象など、初期のコルベアが抱えていた問題は、1965年モデルに完全独立懸架式リア・サスペンションを採用することでほぼ解決していたのだ。なお、この64年モデルでは左右の後輪の間にリーフスプリングを渡し(写真上)、フロントにはアンチロールバーを標準装備とすることで改良を図っている。



もし1960年代にデトロイトで誕生した実験的なクラシックカーが欲しいなら、コルヴェアは悪くない選択だ。運転するのが楽しく、手頃な値段でレストアできそうな個体が手に入り、もぎ取り形式の廃車置場で部品を探すのも容易だろう(その場合は、錆と縁遠い地域で探すことをお勧めする)。


By Murilee Martin
翻訳:日本映像翻訳アカデミー