トヨタが電気自動車開発を担う社内ベンチャーを発足
電気自動車(EV)の開発を早急に進めたいトヨタが、その開発を担うタスクフォースを社内に立ち上げる。この新しい社内ベンチャー組織は、トヨタのEV生産において中心的役割を担う関連会社からそれぞれ1人ずつ、計4人のメンバーのみで構成されている。

この4名は、トヨタ自動車、豊田自動織機に加え、アイシン精機とデンソーから選ばれたという。アイシン精機はトランスミッションなどのパワートレインを、デンソーはハイブリッド車向けパワートレインやイグニッション、電気系統のパーツを製造しており、トヨタはこの2社の株式を約25%ずつ保有している。

このベンチャー組織を発足した理由は、小さなチームの方がより自由な発想が生まれやすく、大企業で決定や進捗のスピードが遅れる原因となる組織の制約を受けずに済むからだという。効率的な生産という理念と共通するが、トヨタはしかるべき時にしかるべきクルマを生産することを目指しており、その達成にはスリムなマネジメントが必要となる。トヨタの豊田章男社長は、「ベンチャー組織として、その分野のことだけを専門に考え、スピード感のある仕事の進め方を確立することで、トヨタやトヨタグループの仕事の進め方改革をけん引してほしい」と述べている。

トヨタにとって燃料電池自動車は現在も最優先事項であるが、他メーカーからは反対の意見も出ている。ジャガー・ランドローバーのテクニカルデザイン・ディレクター、ウルフガング・ツィーバルト博士は、「"Well to Wheel"(化石燃料を吸い上げてから車輪を動かすまでに必要な燃料の総量や、CO2排出量はどれくらいかを測る概念)の観点から言えば、燃料電池自動車など"完全に無意味"だ」と主張している。EVは電気が直接バッテリーに蓄積されるため、Well to Wheel効率が70%だが、一方の水素燃料電池(FCV)は、電気を得るための水素に、製造、圧縮、冷却といった過程が必要なため、エネルギー効率はたった30%だという。

しかしトヨタは、航続距離と水素充填時間を考えるとFCVは"究極のエコカー"であると捉えている。EVのように、バッテリー充電のために長時間停止する必要がないからだ。とはいえトヨタによれば、「国や地域ごとにエネルギー課題やインフラ整備状況が異なる上に、ゼロエミッション車普及に向けた規制強化が各国で急速に進み、多様なインフラに対応する品揃えが必要になってきている現状を踏まえ、FCVとともにゼロエミッション達成の選択肢となるEVについても、早期に商品投入が可能となる体制を整えていくことにした」とのこと。つまり、FCVとハイブリッドに絞るのではなく、このチームによって急速にEVの開発も進め、市場に投入しようというわけだ。果たしてどのようなEVがトヨタから登場するのだろうか。今頃、戦々恐々としている自動車メーカーもあるに違いない。


By Antti Kautonen
翻訳:日本映像翻訳アカデミー