ポルシェ、ロサンゼルスにニュルブルクリンクの名物コーナーが体験できる「エクスペリエンス・センター」をオープン!
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ポルシェは社名の頭文字「P」を付けた略語がお気に入りだ。皆さんも「PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)」や、「PDK(ポルシェ・デュアルクラッチ・トランスミッション)」、「PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)」、「PCCB(ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ)」などはご存知だろう。そして新たに、米国で2番目となる「PEC(ポルシェ・エクスペリエンス・センター)」が11月14日、ロサンゼルスにオープンした。ポルシェ・ブランドが直接体験できるこの施設は昨年、米国ポルシェのアトランタ本社にも開設されたが、ロサンゼルスのPECではドイツ直輸入のさらに素晴らしいトラックが備わっている。



ただし、そのロケーションはスピードと無縁の場所と言えそうだ。53エーカー(約21万4,483平方メートル)の敷地に開設されたこの複合施設は、州間高速道路405号線と110号線の交わる場所に位置しており、交通が渋滞しやすいことで知られている。高速道路を下りてすぐのところに多くのポルシェが周回するという目を見張るような光景が、さらなる渋滞の原因になっているようだ(さらに、高速道路の向こう側にはグッドイヤーの飛行船の発着基地がある。ロサンゼルスの住民はうんざりしていることだろう)。

しかし、このロケーションは宣伝を無料で出しているようなもので、PECは多くの人々の興味を引きつけるだろう。我々も、わざわざ高速を下りて訪れる価値のある場所だと断言できる。同施設はポルシェ・モータースポーツ・ノースアメリカの新たな拠点としてだけでなく、様々な運転訓練のために作られたあらゆる種類のアトラクションが揃った娯楽施設という特徴も持つ。例えば、ウェット路面のスキッドパッドや研磨コンクリート舗装のハンドリングコース、アイスヒル(カリフォルニアの屋外で通年使用可能。つまりシミュレーションである)などの低摩擦コースがあり、中でも筆者の個人的なお気に入りの1つがキックプレートだ。クルマがこの装置の上を通過して濡れたスキッドパッドに乗ると、左右へランダムにスライドするプレートが後輪を動かすため、ドライバーはクルマがスピンしないように制御しなければならない。仕組みは分かっていても、実際にやるとなると、かなり高度な技術を要する。



ビジターは、オフロード・エリアでは「カイエン」や「マカン」を乗り回すことができ、さらにハンドリング・コースは車名に数字が使われたモデル用に作られている。ポルシェによると、このコースはレーストラックというよりは、これまでドライブした中で最高の田舎道のようなものだという。だが、コーナリングやブレーキのタイヤ跡がこれだけ残っている田舎道をドライブしたのは一体いつのことだろう? このコースでラップタイムを更新したいなら、ポルシェが同コースや多くの現実のレーストラックから得たCADデータを搭載する屋内のシミュレーターで訓練する必要があるだろう。



タイムと言えば、筆者の一番のお気に入りは、405号線沿いに伸びるアスファルトの直線だ。まずこのコースの端まで行ったら道なりにターンし、進行方向を変えて止まる。ブレーキを踏み込んで、次にアクセルを全開にし、それからブレーキから足を離すと、スポーツクロノパッケージを装備したポルシェなら、ローンチコントロール発進で3/4マイル(約1.2km)を駆け抜ける。瞬く間に隣の高速道路を走っている田舎臭いクルマより遥かに速く走っていることだろう。ブレーキを踏んで減速したら、はるばる米国に運ばれてきたドイツの道路の一部を走ることになる。そこにはニュルブルクリンクの有名なカルーセル・コーナーが再現されているのだ。

ポルシェのことだから妥協は許されない。コーナリング中に加速すると遠心力によって車体が舗装に押し付けられる傾斜角33%のバンクまで忠実に再現されている。この部分に関してはノルドシュライフェ(北コース)そのものだが、1つだけ違っている点がある。路面に落書きがないのだ。これは対策を講じる必要があるが、こうした才能の持ち主ならこの辺りでいくらでも見つかるだろう。いずれにせよ、落書きこそ再現されていないものの、こんな凄い体験は米国中でもここでしかできないはず。アトランタのPECにもないコースだ。

体験パッケージは90分のトラックタイムを含み385ドル(約4万2,000円)からで、使用(酷使?)するクルマは「マカンS」だ。料金次第でもっとパワーの大きなクルマも選べる。さらに、2台を乗り比べることができる興味深いパッケージもいくつかあり、例えば「911カレラ」と「カレラ4」、ミッドエンジン(718)とリアエンジン(911)、または「911ターボ」と「GT3」といった組み合わせも体験可能だ。また、マニュアル・トランスミッションのスキルを磨くためのコースも用意され、こちらは「カレラS」から始め、「ケイマンGT4」で卒業する。それに相応しい技術が身に付くというわけだ。



ロサンゼルスに来たら、まずは同施設に足を運んで見学し、ついでにカフェやレストランで食事をしてもいいだろう。だが一度来てしまうと体験パッケージを試したくなるだろうし、試してしまうと新しいポルシェが欲しくなるに違いない。これはよくできたマーケティング戦略だ。恐らく試乗型のクルマの広告宣伝としては一番効果的だろう。何しろ多くの消費者にとって、ここで試乗するクルマは過去に運転した中でおそらく最高のクルマなのだから。


by David Gluckman
翻訳:日本映像翻訳アカデミー