Harley Davidson milwaukeeeight Hokkaido
アメリカ・ワシントン州でいち早くテストライドしてきたハーレーダビッドソンの新作エンジン「Milwaukee Eight(ミルウォーキーエイト)」だが、今度は北海道でも乗ってきた。渡米しての試乗とほぼ同じ距離、2日間およそ650kmのショートトリップである。道東エリアを走ってきた。

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阿寒湖畔のホテルでのハーレーダビッドソンジャパン(以下、HDJ)による技術説明会が終わると、いよいよテストライドがスタート。ミルウォーキーエイト107(排気量1745cc)搭載のツーリングファミリーがズラリ勢揃いする姿は圧巻で、ウルトラモデルらは誰が見てもハーレーと分かる昔ながらのスタイルを踏襲するから、ニューエンジンを積んだとか、そんなことなど関心のない観光客の視線も釘付けにしたまま。

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誰が見てもハーレーと分かる存在感。それがツーリングファミリーの魅力のひとつである。 そしてまず確かめたかったのは、アメリカで乗ってきた北米仕様と日本導入モデルの相違点。シンプルな『ロードキング』をはじめ、『ロードグライドスペシャル』、『ロードグライドウルトラ』、『ストリートグライドスペシャル』、『ウルトラリミテッド』、『ウルトラリミテッドロー』という全6機種のラインナップが日本では設定されるが、北米ではさらに『ロードグライド』、『ストリートグライド』、『エレクトラグライド ウルトラクラシック』というベーシックモデルが選べる。

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たとえば、ブレイクアウトやストリートボブなどの北米仕様は、ナンバープレートをサイドマウントするなどの外観上の違いがあるものの、ここにならぶツーリングファミリーでは日本仕様も見た目に変わっているところはなく、決定的に違うのはただひとつ。ナビゲーションシステムが日本仕様では使えないだけなのだ。


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だから6.5インチのタッチパネルディスプレイで操作できるのはオーディオだけで、あとは油圧や外気温などがデジタル表示される。オーディオはUSBかブルートゥースでスマートフォンやポータブルオーディオプレーヤー、メモリースティックなどと接続し、それを再生可能。サウンドはリアスピーカーも備えるウルトラリミテッド/ローが1ランク上の迫力を持つ。

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気になるのは排気音だが、元気があっていい音を出している。これまでの日本向けモデルは音量が徹底的に絞られ、パンチに欠けていたのが否めなかったが、2017年モデルからは全機種でヨーロッパ向けモデルと同一仕様となり、この影響でマフラーも抜けのいいものが装着されている。

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エンジンの鼓動感もしっかりあり、トルク感という点でも北米仕様との差はほとんど感じられない。スペックを改めてチェックすると、ロードキングの場合、北米仕様では最大トルク111.4ft-lb(151Nm)/3,250rpm。日本向けロードキングの公表値だと150Nmなので、その差は僅かだ。 これがツインカム103時代のたとえば2014年モデルだと、北米仕様が138Nm/3500rpmなのに対し、日本仕様は126Nm / 3,497rpmと最大トルク値の差はとても大きかった。だからアメリカでハーレーに乗ると、音もパワーフィールも「やっぱり本場はいいよな」ってことになり、正直なところ不公平感を感じていた。そういう意味では2017年式ハーレーは日本のファンにとっては待望の仕様変更であり、これはツーリングファミリーに限らず全モデルが欧州向けと仕様を同一にしている。

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 低く落ち着くアイドリングは前回レポートしたとおりで、全速度域で低回転化している。6速1500rpmでもノッキングせず、たかだか2000rpmで一般道ならクルージングし続けることになり、このゆとりあるフィーリングはさすがは1750ccもの排気量を持つだけのことはある。"大きい"ということは、それだけで魅力があることを再認識させられる。
 小さい乗り物が決して嫌いなわけではない。持てる力を余すことなく振り絞って走る楽しさもよくわかる。しかしキャパシティに余裕があり、ゆったりと走るというのはなんと気持ちがよく優雅なことか。それはツーリングファミリーの巨体ともいえる車体サイズにも言えることで、ライディングフォームは窮屈さとは無縁だし、堂々としていてリラックスできる。

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ボクは自分自身がバカでかいハーレーのオーナーでもあり、「オートバイの魅力は軽快なハンドリングにあって、どうしてそんな重いモデルが好きなの?」とよく聞かれる。モトクロスレースに夢中になった過去を知るバイク仲間には特に不思議がられる。もちろん自慢するようなスペックは何もないし、誇れる技術は1909年から続くVツイン、1936年から頑なに守ってきたOHV、いまは他メーカーには存在しない別体式ミッション、プライマリーチェーン式など時代と逆行した古めかしいものばかり。しかし、言葉では言い尽くせない魅力がそこには詰まっており、五感に訴えかけるフィーリング云々をいくら説明しても好きではない人には決して伝わらない。結局のところ好きか嫌いかでしかなく、ボク自身も20代の頃はどちらかといえば後者であったから面白い。

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しかし、ただ真っ直ぐな目の前にある道を排気量にものを言わせて加速するのはなんたる快感か。これは大きい乗り物ならではの醍醐味で、ハーレーのビッグツインが好きな人なら説明など要らないだろう。大排気量エンジンを積むアメリカの旧いクルマにもこの痛快さは通じるものがある。 新作エンジンであるミルウォーキーエイトは、よりクルージングに相応しいフィーリングを取り戻しているが、これはツーリングファミリーが長旅の相棒となる宿命を持つからこその進化。いつまでも走り続けたくなるような大らかさ、心地良い鼓動、快適な装備の数々。これはアメリカという大きな大陸が生み出し育んできたもので、その結果ハーレーのグランドツアラーたちはこんなにも大きなエンジンを積み、車体も大柄になった。

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そしてエレクトラグライドにはバットウイングフェアリング、ロードグライドにはシャークノーズフェアリング、ロードキングにはバカでかい風防が相変わらずついている。国産スポーツバイクを好む人の中には、いろいろな意味で「信じられない」と思うかもしれない。しかし、このウインドプロテクションが快適なロングライドを実現させ、乗り手の疲労を飛躍的に低減させることは確かなことで、これは威風堂々たるスタイルを自慢する前にれっきとした機能装備なのだ。

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最後にもうひとつ。オートクルーズコントロールが北海道でもアメリカでも威力を発揮したことを報告しておく。ハンドル左にスイッチがあり、これを前走車に離れずくっつき過ぎずの丁度いい速度に設定したときはとても気持ちがいい。アクセルをひねる右手の疲労が軽減させ、慣れてしまうとなくてはならない装備となる。先進技術はさほど好きではないが、長距離走行でこの恩恵を味わってしまうと人に言わずにはいられない。

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エンジンといい外装といい必要以上と思う人もいるかもしれないが、「大は小を兼ねる」「大きいことはいいことだ」と言わんばかりのこのダイナミックさがハーレーらしさであり、呆れるほどデカいオートバイ、その価値が改めて分かった気がする。そして「今度はどこへ行こうか」とハーレーFLでの旅の最後はいつも思う。「ここではないどこかへ」という想いから16歳の頃から乗り始めたオートバイ。その原点とも言える感情が湧き出してくるから、なんだか嬉しい。

ハーレーダビッドソンジャパン 公式サイト
http://www.harley-davidson.com/