フォルクスワーゲン、3列シートの新型SUV「アトラス」を米国で発表
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フォルクスワーゲン(VW)はこれまで米国で61年間、自動車を販売してきた実績がある。奇抜なモデルから、小型車、バン、奇妙な名前が付けられたクロスオーバーもいくつかあった。また、象徴的なモデルもあれば、ぱっとしなかったモデルもある。熱心なファンから支持されたモデルもあった。しかし、ガソリン価格が高騰した時期に販売されたモデルを除いて、どの車種も今まで米国人の需要を完全に満たすようなモデルとは言えなかった。そんな傾向も新型クロスオーバー「アトラス」の登場と共に終わりを告げるようだ。

このアトラスは、3列シートで7人乗りとなっている。強力なVR6エンジンを搭載し、全輪駆動も用意される。ボクシーなスタイルに特徴的なホイールアーチを持ち、大きなライトをフロントとリアに装備。屈強な印象を与えるキャラクターラインなども施され、これまでになく米国人好みに仕上がっていると考えていいだろう。

VW北米部門ヒンリヒ・ウォーケンCEOは「米国内で生産されたモデルの中で、最も大きく力強いフォルクスワーゲンです。特徴的なデザイン性と丹念な作りの、7人が乗れるモデルが完成しました」と語っている。また、「アトラスはVWにとって米国市場の中核に参入する全く新しい冒険の象徴と言えます」とも述べている。

アトラスはテネシー州チャヌターガの工場で12月より生産が開始され、発売は来春になる予定だ。VWの共有プラットフォーム「MQB」を使用し、サイズは全長5,037mm × 全幅1,978mm × 車高1,767mm。比較対象として挙げると、現行型フォード「エクスプローラー」は全長が同じで、全幅2,004mm、車高1,778mmだ。これに加え、ダッジ「デュランゴ」、トヨタ「ハイランダー」、シボレー「トラバース」、ホンダ「パイロット」が主なライバルとなるだろう。

これらの競合車種に対抗できるようなSUVを開発しようと、VWは全力を尽くした。280hpを発揮する3.6リッター狭角V型6気筒エンジンと、238hpの2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンが用意され、どちらも8速ATが組み合わされる。路面状況に合わせて駆動力を前後に配分する全輪駆動システム「4モーション」は6気筒モデルで選択できる(4気筒モデルは前輪駆動のみとなる)。燃費に関してはまだ公表されていない。



アトラスの最も重要な特徴と言ってもよい3列目は、大人2名が乗車可能だ。シートは前方に折りたため、楽に乗り降りでき、荷物も載せられる。我々も実際にウォーケン氏の隣に座ってみた。確かに宣伝されているとおり、快適で乗り降りもしやすい。フロントには、様々な設定が可能なデジタル・コックピットをオプションで装備することができる。VWのCar-Netは、「App Connect」システムも搭載しており、「Apple CarPlay」、「Android Auto」、そして「MirrorLink」対応のスマートフォンとの接続が可能だ。そして、洗練された最新式のフェンダー社製オーディオ・システムも搭載されている。安全性に関しては、レーンキープアシスト、アダプティブクルーズコントロール、前方衝突警報、パークアシストシステムに加え、ポストコリジョンブレーキシステムも搭載されており、衝突や追突時の衝撃をエアバッグのセンサーが検知した時、自動でブレーキを作動させて車両を10km/h以下になるまで減速させ、対向車線へのはみ出しによって起こる多重事故の危険を低減させる。

アトラスはLEDヘッドライトやデイタイムランニングライトが標準装備されており、さらにオプションでLEDテールライトを装備することもできる。結果的にエクステリアのデザインはどことなく競合車に似てしまったが、従来のVWのスタイルも健在で、そこには「トゥアレグ」や「ティグアン」の面影が見受けられる。今回初めて公開されたにも拘わらず、何となく見覚えがある気がするのは、これまでコンセプトカーとして公開された「クロスブルー」や「クロスクーペ」がベースになっているからだろう。ついに全貌が明かされたアトラスは、安全かつ魅力的なデザインで、主要ライバル車に匹敵するクルマに仕上がっている。

また、それは我々が8月の終わりにテネシー州とジョージア州の州境付近の森林に覆われたオフロードでアトラスのプロトタイプを試乗した時に感じた最初の印象でもある。限られた時間だったが、アトラスは力強さを発揮し、泥で滑りやすい路面でも快適で、直感的に操作できた。

ディーゼル排出ガス不正問題を未だに引きずるVWには、イメージを完全に覆し、新しい購入者を惹きつける人気商品が必要だ。アトラスの発表は、まさにこれ以上ないタイミングとも言えるだろう。VWは長いこと世界的な市場を見据えてきたが、その一方で、時として米国市場をよく理解できていなかった。だが、ようやく、このアトラスでVWは米国の購入者の心を掴む本当のチャンスを得ることができるはずだ。


By Greg Migliore
翻訳:日本映像翻訳アカデミー