【ビデオ】燃料補給に使っていたのはビール樽!? ピットストップの歴史を振り返る映像
F1マシンは、その歴史と共に大きく変化してきた。特にエアロダイナミクスやエンジン技術、安全設備の面での進歩は著しい。レッドブル・レーシングが公開した新しいドキュメンタリー映像を観れば、ピットストップもまた劇的に変化していることが分かる。この記事は同ドキュメンタリーのトレーラー映像を文末にご紹介しているが、こちらのリンクでは元F1ドライバーのデビッド・クルサード氏がホストを務める映像全編を見ることができる。この45分間の映像は一見の価値ありだ。

恐らく最も興味深いのは、「マクラーレン F1」のデザイナーとしても知られるゴードン・マレー氏とそのクルーが、1980年代前半に現代のピットストップを考案した話だろう。このドキュメンタリーの中で語られているように、以前はピットでの作業に時間が掛かったため、チームは長持ちするタイヤとレースに十分な燃料をマシンに搭載することを徹底していた。当時ブラバムF1チームの一員だったマレー氏は、クルマを軽量化する方法を模索していた。そして彼は、マシンの重量を多く占めているのは燃料であることに気付き、搭載する燃料をこれまでより少なくし、マシンをより軽い状態で走らせる方法を考え始めたのである。つまり、ピットストップで優位性を失うことなく燃料を補給する方法だ。

チームが考案した方法は、控え目に言ってもかなりユニークだった。彼らは圧力式のビール樽をチームカラーに塗って間に合わせの燃料供給装置を作り、30ガロン(約113リッター)の燃料をわずか3秒でマシンに給油できるようにしたのだ。さらに、チームはその間にマシンに新しいタイヤを取り付けようと考えたが、それにはタイヤ交換を素早くする方法や、ピットでタイヤを温める方法を編み出す必要があった。彼らは、ホイールナットをエアガンのソケットにあらかじめ詰めておいたり、タイヤを保管しておくための簡易的な加熱ボックスを作ることでこれらを可能にした。当初はエンジンの信頼性の問題から、このマレー氏の戦略による効果はなかなか現れなかったが、チームはその問題を克服し、大きな成功を収めることとなる。

このドキュメンタリーで見られるのは、マレー氏についての物語だけではない。F1初期のピットストップの危険性や、熟練した技術を持ち素早く作業をこなす現代のチームクルーたちも取り上げている。さらに、昔と今のF1チームの生活にまつわる素晴らしい話や、"F1界のドン"と呼ばれるバーニー・エクレストンなどの有名人も登場する。ピットストップの歴史は実に興味深いものなので、ぜひ時間を見つけてご覧いただきたい。




By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー