マツダ初!! 手だけでZoom-Zoomな運転ができる「ロードスター」とは!?
マツダは、これまで足の不自由な人が自分で運転できるモデルをラインナップしてこなかった。しかし、「ロードスター」と「アクセラ」に足の操作が不要な手動運転装置付きモデルを設定し、今年度中に発売するとの予定を発表した。

画像は、今回取材したロードスターの手動運転装置付きモデルだが、エクステリア上は標準モデルとは全く変わらない。

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しかし、インテリアには、手だけで運転するための数々の専用装備が装着されている。

足を使わずに運転するということは、通常は足で操作を行うアクセルとブレーキを、手で操作する必要がある。

一番最初に目に付くのが左のコントロールグリップだろう。福祉機器で実績のあるミクニライフ&オート社製のこのレバーは、アクセルとブレーキ操作を左手の操作だけで行うことが出来るのだ。

基本的な操作は、手前に引くとアクセルが踏まれた状態になり、奥に押すとブレーキ操作ができるという比較的シンプルな動作で運転することが出来る。


また、このコントロールグリップには、様々な機能が盛り込まれている。その中で、重要なポイントとなる機能が、ノブの前方側にあるブレーキロックのスイッチだ。

通常の運転操作では、ATのシフトノブをPからDに入れる際、必ずブレーキを踏まないといけない。車両の安全装置としてシフトロック機能が入っているので、ブレーキを踏まないとシフトチェンジが出来ない仕組みなのだ。

つまり、コントロールグリップを使って左手でブレーキかけていると、同じ左手の操作で同時にシフトチェンジすることはできない。

そこで、この問題をクリアするために、コントロールグリップを前に押し、ブレーキをかけた状態で、ブレーキロックスイッチを押すと、ブレーキがかかった状態でコントロールグリップが固定される仕組みが採用されている。そのため、シフト操作中に車両が意図せず動くことなく、安心してシフトチェンジすることが出来るというわけだ。

なお、コントロールグリップには、その他、右側のボタンでホーンを、前方のトグルスイッチでウインカーやハザード操作を行うことが出来るようになっている。

ちなみに、コントロールグリップは車両のレッドに合わせているわけではなく、どの外装色でもレッドとなるとのこと。また、ブラックも用意されるとのことだ。


筆者は手動運転装置付きモデルの運転は初めてであったが、運転操作は意外と簡単ですぐにスムーズに運転することが出来た。コントロールグリップを操る動作からは、マニュアル車を運転する楽しみに通じるものが感じられ、まさにこれこそが、足を使わずに楽しめる車を操る醍醐味と言っても良いだろう。

しかし、このコントロールグリップを健常者が通常運転で使う際、誤って操作してしまうと事故の原因となってしまう。そこで、カバーを開けるとシルバーのレバーがあり、コントロールグリップの操作を無効にすることもカンタンに出来るようになっている。

行きは自分で、帰りは別のドライバーが運転するといった場面でも問題なく使える点もうれしい。


左手の操作が多い分、ステアリング操作は片手操作が基本となる。そこでステアリング周りでは二つの専用装備が盛り込まれた。

一つはステアリングノブ。よく、片手運転は危険ということを言われることが多いが、このステアリングノブはしっかり握ることで片手で確実な操作ができる。

もう一つは、ステアリングスポーク右側に追加された丸形のステアリングシフトダウンスイッチだ。

標準車は右側のパドルでシフトアップ、左手のパドルでシフトダウンを行う設定となっている。そこで、運転を楽しめる機能として標準設定されているパドルシフトの操作を右手のみで実現できるシフトダウンスイッチが追加されたというわけだ。

ロードスターに乗るからには、積極的にシフト操作を行ってワインディングロードを楽しみたいもの。これらの装備がそれを叶えてくれるのだ。


足の不自由な人は車イスを使う場面も多いだろう。同行者のサポートは必要となるが、画像のように狭いロードスターのトランクでも車イスは収納可能だ。

実際に車イスを収納するデモを行っていただいたが、入れ方にかなりコツが必要だったり、小さめの車イスしか入らなかったり、いろいろと制約があるので、車両購入時には自分の車イスの積載性をチェックする必要がありそうだ。


先日開催された第43回国際福祉機器展 H.C.R2016の記事でもご紹介したが、今年公開されたモデルで新たに実現されたのが、足の不自由な方でも自分一人で出かけることが出来るようになった点だ。

サポートする人がいれば、車イスはトランクに積載できるが、一人の場合は、トランクに積載することはできない。つまり、車イスからクルマに移動する、そして、車イスを車両に積み込む動作を一人で出来るようにしなければならない。そのために、このモデルには二つの専用装備が装着されている。


一つ目がこの乗降用補助シート(オプション)だ。

車イスから、車両のシートまでは距離があり、さらに段差もある。そこでこの乗降用補助シートを使えば、比較的簡単に車イスから車両のシートまで移ることが出来る。

もちろん、使用後は装着したまま、たたむこともできるので、見た目も使い勝手も良好だ。


もう一つは、車イス用カバー(オプション)だ。

画像のように助手席のシートに被せるタイプのもので、中に車イスを収納できる。車イスを袋に収納してから頭上を越えて助手席に積み込むという手もあるかと思ったが、画像のようにタイヤをばらして積み込んだり、インテリアを傷から守ったりするためにはこのタイプの方が良いとのことであった。

ちなみに、助手席側のエアバックスイッチはOFFにすることは出来ないとのことだが、万が一の際にエアバックが展開しても安全性に問題はないとのことだ。


今回の取材では、開発を推進された商品本部主査の田中賢二氏に直接話を伺うことが出来た。そこで何点か質問をぶつけてみた。

Q:なぜこれまでのロードスターには設定されていなかった手動運転装置付きモデルが、このタイミングで開発が行われたのか?
A:"Be a Driver"というスローガンのもとに、 "自分の行く道は、自分で決めたほうが、楽しいに決まっている。人生の、ドライバーになろう。"と謳っていながら、助手席や後席用の福祉車両しか設定がないのはおかしいのではないかということで、昨年試作車で試乗の反響をリサーチし、今年の春に企画に承認がおりたため、このタイミングで発売へと進むことが出来た。

Q:いろいろな車種がある中、今回設定されたロードスターとアクセラが選ばれた理由は?
A:ロードスターはマツダを象徴する車両として、アクセラは家族と一緒に乗れるモデルとして設定した。

Q:アクセラのガソリン、ディーゼルモデルに設定はあるが、ハイブリッドは設定がないとのことだがなぜか?
A:ハイブリッドだけオルガンペダルではないため、現状のものでは設定できない。今後設定できるように進めていく予定。

Q:今回のモデルは特殊車両等の扱いになるのか?
A:マツダの拠点工場にて、ディーラーオプション等の用品と同様の扱いにて装着されるため、軽微な構造変更という扱いとなる。装着にあたっては資格を持ったスタッフが行うので品質面でも安心して使うことが出来る。

Q:保証は用品と同じか?
A:1年保証となる予定。ただし、運転操作に関わるパーツなので、しっかりした耐久性のあるものとなっている。

Q:完全オリジナルではなく、ミクニライフ&オート社製のパーツ等を使っているのはなぜか?
A:なるべくリーズナブルな価格で提供し、多くの人に運転を楽しんでもらいたい。追加装備として価格は20〜30万円程度にする予定。同社のパーツは長い実績があるので品質的にも信頼できる。

一般のユーザーは、手動運転装置付きモデルにはあまり興味はないかもしれないが、運転を楽しむことを諦めていた足の不自由な方にとっては大きな期待の持てるモデルとなっている。

今回のモデルは国内専用とのことだが、今後パラリンピックの東京開催などもあるので、この運転を思う存分満喫することができる手動運転装置付きモデルが世界の人々の目に留まれば、世界展開もあるかもしれない。

■マツダ 公式サイト
http://www.mazda.co.jp/