2030年のル・マン参戦マシンを考案する、2017年ミシュラン・チャレンジ・デザイン受賞作品
ミシュランは毎年、未来の自動車デザインを募る「ミシュラン・チャレンジ・デザイン」を開催している。今年のテーマは、"2030年のル・マン24時間レース参戦マシン"を考案する「Le Mans 2030: Design for the Win(ル・マン2030:勝利へのデザイン)」で、応募総数は80カ国から計1,600点に上った。北米ミシュランの直需マーケティング副社長トム・ローチ氏は、応募作品のクオリティを「非常に優れたものばかり」と評価している。

そして今月21日、ミシュランをはじめ、世界的なコンサル企業のGroupe Zebra、主要OEM先であるBMW、フォード、ゼネラルモーターズ、ホンダ、ヒュンダイ、日産、及びグループ PSA各社から様々な分野のエキスパートで構成された審査チームが、熟慮に熟慮を重ねた末に入賞作品を選出した。その中から上位3位の作品をご紹介しよう。

なお、受賞者は来年1月に開催される北米国際自動車ショーにミシュランが招待し、授賞式と作品の講評が行われる。また、優勝者は同年のル・マン24時間レースでも表彰されるという。


1位に輝いたのは、中国・安徽省蕪湖市のデザイナー、倪涛氏。この「インフィニティ ル・マン 2030」は、人間とテクノロジーが相互に支え補い合うというデザイナーの願望が反映されたクルマで、「人間による操縦」と「自律運転」を組み合わせて走行する。倪氏は、この耐久レースにおいて日中は人間が運転して、夜間はオートパイロットが引き継ぐというドライビング・スタイルを提案している。ドライバーの少ないチームやオートパイロットの戦略的活用において、なかなか興味深い新たな可能性を切り開くことは間違いない。


2位に選ばれたのは、ポルトガルのヴィラ・レアルに住むダニエル・バセラー・ペレイラ氏のデザインだ。15歳の頃からクルマに興味を持っていたそうで、受賞作「ベントレー9 + ミシュラン・バッテリー・スリック」で提示した電気自動車(EV)レース特有の問題に対する解決策は機転が利いている。バッテリーがホイールとタイヤに組み込まれているのだ。24時間耐久レースでは、バッテリーの充電に長い時間を取られることは避けたいが、これならタイヤ交換と同時にフル充電されたバッテリーを装着してレースに復帰することが可能になるわけだ。1つ欠点があるとすれば、このバッテリーと一体化したホイールを履いたマシンのばね下重量は、かなり重くなるであろうということだ。


3位となったのはカナダ・トロントのカート・スカンラン氏がデザインした「マセラティ シエルゾ C1」。大学では心理学を学んだというスカンラン氏だが、自分が本当に好きなのはデザインだと気づき、25歳のときに別の大学に入学し直し、工業デザインを専攻したという。同氏のデザインでカギとなる特徴はステアリングで、進行方向を変える時に水平補助翼を稼働させて空気を利用する仕組みだ。これには電気を流すと形状が変わる電気活性高分子を材料にしたプラスチックを用いるため、多数の部品を組み合わせる必要がない。ホイールカバーの上にはアクセルやブレーキの使用状態を色で示すリング状のLEDが装着されていて、観客は何が起きているかをはっきりと確認できるようになっている。これは、ドライバーにとってもライバルの戦略を見抜く有効な手段となり得るかもしれない。


By Autoblog Staff
翻訳:日本映像翻訳アカデミー