アウディ、経費削減のため次世代技術の開発施設も計画を中止
アウディの経費削減策は、本来守られるべき対象にさえ、結果的に打撃を与える可能性があるようだ。親会社のディーゼル排出ガス不正問題を受けてアウディが行うコスト削減策の概略を、ロイター通信が報じている。アウディは現行車のポートフォリオではなく電気自動車(EV)自動運転技術、コネクテッドカー技術などに重点的に取り組み、その一方で自動運転車のためのテストコースと、新たなコンセプトカーやバッテリーを製造する施設の建設プランを中止する予定だという。つまり、アウディが現在、注力している分野だ。

しかし、こうしたニュースは驚くに値しない。あまり利益を上げることができず、恐らく期待していたほどの注目も集められなかった、少量生産のEVモデル「R8 e-tron」が生産終了となることについてはすでにお伝えした。今後は、現在開発中である同ブランド初の万人向けEV、e-tronのクロスオーバーが2018年に登場する予定だ。テスラが成功している例を見る限り、この新型モデルは大量消費市場で発売されたら利益を生むに違いない。間違いなく安全度の高いプロジェクトといえるが、自動運転機能を搭載するまでにはこれまでの想定より恐らく長い期間を要するだろう。

今回の投資における方針変更から読み取れることもある。アウディが本社を置くインゴルシュタットに建設を予定していたため「IN-Campus(イン・キャンパス)」と呼ばれていた自動運転技術用のテストコースは、実際の研究施設というよりもお飾り的な意味合いが強かったのかもしれない。あるいは、既存の施設やどこか別の場所に新設するコースでテストを行っても、同じ結果を得られるとアウディは考えたのだろう。だが、新型クロスオーバーEVがベルギーで生産されることになった上、さらにこの計画が保留となれば、ドイツの雇用が減少することになるため、同社の労使協議会は動揺を隠せないようだ。

しかし、今回の経費削減が無駄を取り除く絶好の機会となる可能性が高いのも事実だ。ロイター通信によると、アウディは巨大なフォルクスワーゲン・グループを活用できるにも関わらず、ライバルであるBMWメルセデス・ベンツよりも多額の資金を研究開発につぎ込んでいるという。ディーゼル排出ガス不正問題はもちろん歓迎できることではないが、アウディをはじめ同グループ内の他ブランドにとっては、これまでになくバランスシートを見直す、よいきっかけとなったはずだ。少量生産のEVに固執し過ぎることなく、主力となるべき製品を見失うことがなければ、結果的には今までより経営の無駄を省くことができるだろう。


By David Gluckman
翻訳:日本映像翻訳アカデミー