ポルシェ、ドアに磁気ダンパーの装備を検討中?
ポルシェ「パナメーラ」には、開けたドアをどの位置にも止められる立派な油圧式のストラットが標準装備されている。これは、風が強い日や傾斜のある場所に駐車した際にドアを固定できない戻り止め付きヒンジに替わって採用されているものだ。ドアを閉めるときは、いくらか力を入れて押す必要があるが、ポルシェの受動的なシステムは比較的シンプルでうまく機能する。これをさらに改善するにはどうしたらいいか。ポルシェは、電磁ダンパーを各ドアに装備すればいいと考えているようだ。

この話は、我々が先日新型パナメーラを試乗したときに明らかになった。パナメーラの開発責任者であるゲルノート・デルナー氏とドアダンパーについて話した際、筆者は半分冗談のつもりで磁気ダンパーに交換するというアイデアを提案した。すると同氏は、ポルシェが既にそのようなシステムを検討しているとまじめに答えたのだ。無駄に複雑なだけと思う人もいるだろうが、これは筆者が好むドイツの"過剰なエンジニアリング"に類するものだ。彼らは、問題を見つけたら知識を駆使してそれを解決する。

実現するとしたら、これらは電磁ダンパーになるだろう。「MagneRide」またはマグネティックライドコントロールとして知られ、クルマのサスペンションに使用される磁性流体(何て素晴らしい言葉だろう)ダンパーとよく似たものだ。これらのダンパーは、磁性流体と電磁気を使ってダンパーの抵抗を変化させる。流す電流量を変えることで、動きに対するダンパーの抵抗が変わるというわけだ。ドアを開けた状態に保つ突っ張りの抵抗を変えられるようにする必要はないので、ドアに関しては磁性流体を無視してもいいだろう。ドアは、開け閉めするために動かしているか、そこで止めているかのどちらかなのだから。これはドアの開閉を和らげる通常の油圧ダンパーと合わせて使えるかもしれない。路上でのパフォーマンスが改善されるわけではないが、少なくとも使い勝手は改善される。

とは言え、この複雑な機構を持つクルマを市販化するにはいくつか課題がある。例えば、乗員がドアを閉めるときに磁力を弱めるタイミングを電磁気に知らせる制御回路のようなものが必要になるだろう。ボタンやリリース装置のようなものを使うか、特定の負荷が掛かるとドアが感知し、ドアを自由に開閉できるようにするなどの方法が考えられる。パッケージも問題になるのではないか。車体に余分な重量が加わることを考慮すると、パナメーラや「カイエン」には有用かもしれないが、「911」や「718」といったスポーツカーには望ましくない。しかしポルシェは実現する方法を積極的に模索しているようだし、こうした動きは我々にとって嬉しい限りだ。


By David Gluckman
翻訳:日本映像翻訳アカデミー