22nd FAI World Hot Air Balloon Championship
 世界で最もフォトジェニックな競技のうちのひとつと、断言してもいい。まるで夢のように美しく、おとぎ話のようにうっとりとエレガント、一度その光景を目にしたら、誰もがきっと虜になるに違いない。
かくいう私も、口を開けて数々の気球を眺めながら、いつの間にか吸い寄せられるように夢中でシャッターを押していた。

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 稲刈りの終わった広大な佐賀平野に、次々と音もなく飛来する色とりどりのバルーンたち。時折、ゴー!とバーナーが火を放ち、沈みかけたバルーンがすうっと浮上していく様。また、漆黒の闇に幻想的に暗闇に浮かび上がる、夜間係留。それらのもたらす圧倒的な非日常は、きっとこれまでに経験したことのないほどの心ふるえる感動をもたらしてくれるはずだ。

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 いよいよ今年も『佐賀インターナショナル バルーンフェスタ』が開幕する。
いや、正確に言えば今年は『2016佐賀熱気球世界選手権』。そう、長く佐賀の地で行なわれて来た佐賀バルーンフェスタが、今年はなんと19年ぶりに世界選手権の舞台になるのだ。そして例年通り、日本国内を転戦している『熱気球ホンダグランプリ』の最終戦も併催となり、観客はふたつの大きな大会を同時に観戦できるということになる。
 それはつまり、今年はここ近年で最も盛り上がること間違いなしってこと!だって、『世界選手権』なのだもの!しかも19年ぶりの開催となるということで、関係各位の気合いの入りようもこれまでにないくらいの盛り上がりを見せているというから楽しみだ。

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 開幕直前!ということで、昨年チャンスをいただいて視察をさせていただいた『佐賀インターナショナル バルーンフェスタ』の様子をレポートしたいと思う。

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 世界の絶景を楽しむツールとして、熱気球をウリにしている観光地は多い。例えばトルコなんかもそうで、世界遺産のカッパドキアに浮かぶ気球の写真を見たことがある、もしくはその気球に乗ったことがあるという人もいるだろう。
 しかし、その熱気球で競技が行なわれているということを知る人は意外に少ないのではないだろうか。
かく言う私も「熱気球」と聞けば空中散歩のような、ファンタジーなイメージを思い浮かべるに留まっていたのだが、熱気球競技は実にバリエーションに富み、奥が深い世界なのだという。

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 そもそも熱気球は、人類が最初に手に入れた空飛ぶ乗り物で、1783年にフランスのモンゴルフィエ兄弟が発明した。ライト兄弟が有人飛行を成功させたのは、さらにその120年も(!!)後になる。

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 熱気球はバーナーでバルーンの中の空気を熱し、暖まった空気は上に上るという性質を利用して飛行をする。当然空気が冷めれば下に下がってくるわけだから、連続して航続するためにはこまめなバーナーの操作が必要となるうえに、いわゆる「風を読む」ということをしなければ目的地に向かって飛行することができない。

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 しかも、風というのは場所や高さによって吹いている方向や強さが違うという(熟練パイロットはこれを「風は断層的だから」と説明した)。行きたい方向の風を探し、色々な方向の風を組み合わせることで目的地を目指すのだ。

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 この気球の性質を利用して行なわれるのが熱気球競技で、熱気球では競技のことを「タスク」と呼ぶ。タスクの種類は15にものぼり、パイロットが予めゴール地点を設定してその場所にマーカー(砂袋)を投下するという『パイロットデクレアドゴール』や、競技委員会に発表するゴールが複数あり、競技者がどれかを選択してマーカーを投下する『ヘジテーションワルツ』など多岐に渡る。
 熱気球競技が面白いのは、ワンフライトで1タスクが行なわれることもあれば、2つ、3つのタスクが行なわれることもあるという点。しかも、その競技は天候や風を判断したうえで、フライト直前にパイロットに通達されるのだとか!
 まさに競技は風任せ、パイロットは経験と知識など、あらゆるノウハウを総動員してタスクに臨まなければいけない。大変なのだ。

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 この『佐賀インターナショナル バルーンフェスタ』に、ホンダが特別協賛をはじめて今年で27年になる。すでに歴史に基づいた地域との関係性は強固で、双方がっぷり組み合って運営が行なわれている。
一見無関係にも見える、ホンダと熱気球の縁。その実は、直接的な技術提供がどうの、ということではなく、同じモビリティのひとつとして敬意を表して活動を続けているのだそう。アツい。まにホンダイズムここに極まれりと思わせるストーリーではないか。

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 1990年からは今年も世界選手権とともに併催される『熱気球ホンダグランプリ』として1年間を通したシリーズ戦も開催しているほど、ホンダと熱気球の絆は深い。
以下、ホンダのプレスリリースより引用させていただいた。

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 熱気球競技は、空気を熱することだけで浮上し、さまざまな方向に吹く風に乗って移動するという、最もシンプルなモビリティによる競技です。

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 色とりどりの気球が上空に浮遊している様子は、精緻なメカニズムで一瞬を争うモータースポーツとは対極にあるように感じられますが、風の流れを読む力と、状況に応じて瞬時に判断して行動する決断力を要する、緻密で激しい駆け引きが繰り広げられており、さらに、地上クルーとのチーム力も重要になる競技性の高いスポーツです。

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 だから、今もホンダは地上と空中という違いはあれ、熱気球をリスペクトしているのだという。そしてこの繋がりを大事にしたのはかの本田宗一郎その人だったというのだから、その"粋"な心意気に心から感激してしまった。

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 しかし、視察をさせていただいたうえでさらに言えば、熱気球の素晴らしさっていうのは、『競技内容なんて何にも知らなくても、ただ観ているだけでひたすら美しい』というところにもあるのではないかと感じた。わかりやすさ、とも言い換えられる。

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 佐賀バルーンフェスタには毎年キッズデーが設定されていて、佐賀中から5000人もの幼稚園・保育園生が訪れる。この日には安全確保のため、タスクがあってもマーカー投下を行なわないという。
そんな事情を知らなくても、子供たちは大騒ぎだった。バルーンを見て目を輝かせ、いつまでも空を見上げていた。
 その姿を見ていて思ったのだ。なんと間口の広いスポーツなのだろう!こんなに一瞬で人の視線を釘付けにし、心に鮮烈な印象を与える乗り物があるなんて!そしてその大会の火を消さないように、サポートし続けるホンダももちろん素晴らしい、と。

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今年の開催は10月28日(金)〜11月3日(土)まで。
地熱に影響を受ける熱気球はとにかく朝が早いけど、早起きして出掛けて欲しい。
そして、もしタイミングが合えば是非、11月3日と4日にのみ行なわれる夜間係留を是非見て欲しい。
音楽と「バーナーズオン!」の声に合わせて焚かれるバーナーワークの美しさに、きっと心奪われるはずだ。

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 ちなみに、バルーンのデザインを競う大会なども行なわれていて、ピエロありタコあり、こちらも見応えタップリだ。

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<追記>
 実は今回、ホンダさまのご好意で気球に乗せていただくというチャンスをいただいた。飛行時間は1時間程度だったが、本当にあっという間だった。空から見る佐賀平野の美しいこと!そして、気球の中では、風をまったく感じないということに驚いた。気球に乗っている間は風の内側にいるから、風を感じないのだ。

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それを肌で感じさせていただいた経験はまさに目から鱗だった。
それから、いくらゲストとはいえ一旦気球に乗せてもらったら、着地したあとの球皮の回収までを手伝うのがマストということも知らなかった(笑)。超体育会系なんである。
あのでっかい球皮、なんと100kgもあるそうな。有り難い経験だった。

■2016佐賀熱気球世界選手権 / 2016熱気球ホンダグランプリ 最終戦 公式サイト
http://www.sibf.jp
■ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp