BMWモトラッドが考えた未来のオートバイ「VISION NEXT 100」
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BMWグループは10月11日、ロサンゼルスで開催された同社100周年イベントにて、2040年頃の移動手段をイメージしたコンセプトシリーズの一環として、BMWモトラッドからオートバイのコンセプト・モデル「VISION NEXT 100(ビジョン・ネクスト 100)」を発表した。このオートバイは、我々がよく知っている従来型の二輪車とはかけ離れた、仮想現実的なコンセプトに基づくものだ。外観は確かに二輪車で、BMW特有のスタイリング的特徴も見られる。もちろんゼロ・エミッションのコンセプトだが、通常エンジンが設置される位置には金属の塊のようなものがある。ここには水平対向エンジンの代わりに、風を遮るために変形するオーナメントが装備されている。

MINIロールス・ロイス、そしてBMWのビジョン・ネクスト 100のコンセプトは、自動車業界の未来志向を表すようなSF調であり、特にロールス・ロイスは美的観点から先鋭的だった。しかし、BMWモトラッドはライディング・エクスペリエンス自体に関わる機構の安全性を懸念したため、このコンセプトはいかに二輪車の基本を変化させるかという意味で先鋭的となっている。とはいえ、他のビジョン・ネクスト 100のコンセプトのように、搭載されている未来志向のシステムを生かして市販化を控えるオートバイを本気で提案しているとは思わないでほしい。どちらかといえば、将来的な可能性に対する純粋な理論上の外見を紹介しているようなものだ。

このゼロ・エミッションのオートバイには、他のオートバイのコンセプトとは一線を画す実に興味深い2つの特徴がある。1つはステアリングに合わせて変形する非常に特殊なフレームだ。ハンドルバーをひねると、フレーム全体が形を変えるのだ。柔軟性は、通常オートバイのデザイナーならフレームに用いるのを避ける概念なのだが、だからこそ型破りな方法となった。その結果、ステアリングやサスペンション周りにはジョイントやベアリングがない。また、スイングアームもないし、スプリングやバンパーといった部品も見当たらないことにも注目すべきだろう。これは、タイヤがサスペンションのような働きをするおかげだ。さらにセルフバランシング制御機能や、トラクションと安定性を制御する様々な技術が組み合わされ、絶対に転倒しない未来のオートバイであるとBMWは説明する。



この信じがたいほどの安定性があれば、ライダーはヘルメットも防護のための装備も不要になるとBMWは考えている。では、絶対に衝突しないという根拠はあるのだろうか? 2つ目の特徴として、このオートバイは搭載している安全システムにより、避けようのない事故を未然に防ぐことができるという。まあ、信じておくとしよう。ライダーが身に着ける特殊なスーツとサングラス(バイザー)の役割は、主に情報と快適さの提供にある。スーツは必要に応じてライダーの体温を調整し、バイザーのディスプレイは目の動きを追って、車体や道路に関する情報などをライダーに与えてくれる。

Forza Motorsportのようなレーシングゲームをしたことがある方は、コーナーに差し掛かった時に理想的な走行ラインを表示してくれる機能があることをご存知だろう。それと同様の画像が、このバイザーのディスプレイに表示されるわけだ。また、ライダー補助システムがある一定のレベルで、ライダーが安全にコーナーを曲がり切れないと判断した場合には、オートバイの操縦をシステムが取って替わることさえできるという。BMWはこれを、トレーニング用ツールであり、安全を考慮した機能だとしている。

しかし、これではまるで自動運転式オートバイのようだ。果たしてライダーたちに支持されるのだろうか。判断は難しいが、オートバイの操縦をこよなく愛するライダーにとって朗報なのは、現在のところ、このコンセプトは全くの空想でしかないということだろう。BMWはこれらの技術を実現に向け開発していくつもりなのかもしれないが、あくまでもこのコンセプトは未来に登場しそうなモデルを示しているに過ぎず、現実性はない。要するに、このBMWのビジョン・ネクスト 100コンセプトは、我々が知っている現実のオートバイとは何から何まで違うということだ。




By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー