アウディ「R8 e-tron」、100台にも満たずに生産終了
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米国の自動車雑誌『Car and Driver』によると、アウディ「R8 e-tron」は"再び"終焉を迎えたようだ。完全に電気自動車(EV)化されたこのスーパーカーは、100台にも満たないうちに生産を終了することになるという。ハリウッドの脚本家がEV製造にまつわる物語としてすぐにでも映画化に乗り出しそうなほど紆余曲折を繰り返したわりには、呆気ない幕切れだ。しかし、ここで重要なのは、"100台"という数字である。

100台以下。これはアウディが前述の『Car and Driver』に対して回答したR8 e-tronの最終的な生産台数だ。それらはすべて欧州のみでひっそりと売られ、しかも代理店が購入に興味を持った顧客を直接アウディ本社に向かわせるという、何とも不可思議な"裏ルート"を通しての販売だったという。我々の知る限り、オンライン上のコンフィギュレーターや印刷されたカタログが用意されることもなかったので、このような一連の取引は周知されることなく行われていた。それでは大きな業績につながるとは思えないし、100万ドル(約1億円)以上という価格設定ではなおさらだろう。

しかし、2012年に一度、生産中止となったことがあるR8 e-tronにとって、これもまた新たな障害に過ぎないのかもしれない。当時のe-tronは、強面でクラシックな初代「R8」の面影を強く残していた。思い返せば、この初代e-tronも生産台数はごく少なく、いくつかの混乱も見られた。当初は一般に市販する予定と発表されていたのだが、その後なぜかアウディはそれを取りやめ、"社内用"として管理することになったのだ。

そして2015年、ジュネーブ・モーターショーで第2世代のR8 e-tronが発表されると、ようやく市販化に向けて動き始めた。アウディはその時、"顧客からの要望があれば"同年内に発売を開始すると公言していたが、あれは今回の一風変わった販売方法への前触れだったのだろう。最高出力456hp、最大トルク93.8kgmを発揮し、0-100km/h加速3.9秒、航続距離450kmと、言うまでもなく非常に興味深いEVスポーツカーだった。

しかし残念ながら、排ガスを出さないR8 e-tronの魅力を味わうことができるのは、アウディが幕を引く前に同モデルを購入し得た100名に満たない欧州のオーナーだけだ。アウディから生産中止に至った経緯と正確な生産台数が聞ければ、また続報をお伝えしたい。


By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー