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フランスの伝説的なスポーツカー・ブランドとして知られるアルピーヌが11日、東京都内で記者会見を行い、日本においても復活を宣言した。

アルピーヌの創立は1950年代中期、レーシング・ドライバーでルノーの販売店も経営していたジャン・レデルが、ルノー車をベースに製作したスポーツカーに端を発する。1973年にはこの日の会場前にも置かれていた「A110」が世界ラリー選手権初のチャンピオンに輝く。それまで協力関係にあったルノーの傘下となってからも、1978年にル・マン24時間レースで総合優勝を果たすなど、数々のモータースポーツで成功を収めている。

同時に美しいFRP製ボディの車体後部にエンジンを搭載したロードカーの販売も続けられていたが、1995年に「A610」が生産終了となると、アルピーヌの名前は聞かれなくなり、ルノーのモータースポーツ活動とスポーツ・バージョンの開発は、ご存じルノー・スポールが引き継いできた。




ところが2007年、グループ・ルノーのカルロス・ゴーン会長は突如アルピーヌ・ブランドの復活を宣言。印象的なブルー・メタリックに塗られたコンセプトカーレーシングカーが走り始め、ついに今年2月には市販ロードカーの登場を予告する「アルピーヌ・ヴィジョン」と呼ばれるコンセプト・モデルが発表された



このアルピーヌ・ヴィジョンが示唆する市販モデルは、かつてA110が生産されていた場所でもあるディエップの工場で2017年に量産が始まるという。そして欧州以外では初めて、この日本でも2018年から販売されることが正式に発表された。そのために、現在のルノー販売店から選定された少数のディーラー・ネットワークが構築されるとのこと。気になる価格についてはまだ最終的に決定していないそうだが、アルピーヌ・ジェネラル・ダイレクターのマイケル・ヴァン・デル・サンデ氏によれば「プレミアム・スポーツカーなので既存のルノー車よりは高くなりますが、馬鹿げた価格にはしません。表に置かれているクルマ(A110)よりも安いでしょう(笑)」とのことだった。明言はされなかったが、ライバルとなるアルファ ロメオ「4C」(806万7,600円)や、ポルシェ「ケイマン」(671万4,000円〜865万4,000円)あたりの価格表を見ながら貯金しておけばよさそうな気配だ。




日本に初上陸したアルピーヌ・ヴィジョンは実車を見ると、写真で想像していたよりもコンパクトに感じられ、思った以上にA110を想起させる。灯火類とドアハンドル、内装の一部を除けばほとんど市販モデルではないかと思われる出来栄えだった。ミドシップに搭載されるエンジンは「4気筒ターボ」とのことだが、具体的なスペックは未発表。このプロトタイプに積まれているものとは若干違うものになる可能性もあるそうだ。0-100km/h加速の4.5秒という数字は、奇しくもアルファ ロメオ 4Cと同タイムで、ポルシェ ケイマンとケイマンSのちょうど中間。トランスミッションは2ペダルのデュアルクラッチ式が組み合わされる。ドライバーズ・シートの横にシフトレバーはなく、ステアリング・ホイールにパドルが装備されていた。シャシーはルノー・スポールが開発したという専用プラットフォームで、ルノーの他モデルからの流用ではないという。装着されていたタイヤは前225/35R19、後245/35R19とやはりリアが少し太かった。




インテリアは敢えて構造体の金属を表に露出させている。少しでも軽量化するため、というよりは目で見て軽さを感じさせる効果が高いだろう。排気管はセンターに1本。「2本にすると重くなる」とデザイン・ダイレクターのアントニー・ヴィライン氏は語る。この車両のボディ・カラーはアルプスの雪を思わせる白だが、「心配しないでください。アルピーヌ・ブルーも用意しています」と強調するようにそこだけ日本語で仰っていた。

エンジンの後ろには、ボストンバッグが1個か2個入る程度の荷室が備わる。ゴルフバッグは運べそうもない。かつてのアルピーヌのようにリア・エンジンにしなかった理由は「俊敏で、かつ運転しやすいクルマにしたかったから」だそうだ。理想的なハンドリングにはリア・エンジンよりミドシップの方が適当ということに加え、快適な乗り心地を実現するリア・サスペンションのレイアウトが採れるということも、ヴァン・デル・サンデ氏はその理由に挙げていた。「(新型アルピーヌは)毎日乗っていただきたい。A110も快適なクルマでした」と語る。「軽快で俊敏、運転すると最高に楽しいクルマ。情熱あるドライバーの魂を呼び覚ます」とそのドライビング・フィールを説明していた。



新型アルピーヌの市販モデルは2017年にまず欧州で発表、日本では近々ウェブサイトを開設し、2017年上期より予約を受け付けるという。発売は2018年上期になる予定だ。気が早い方は復活アルピーヌ第2弾のモデルについても期待されているかもしれないが、ヴァン・デル・サンデ氏は「我々の上司であるゴーン会長は、"何でもできるよ。でもまずはこのクルマで大成功しようよ"と言っています。第2弾のモデルを出す前に、まず1つのモデルを様々なフォームで出すことになるでしょう。A110には様々なバージョンがあったように、このクルマでもどんなバージョンを出すか、色々なアイディアがあります」と語っていた。かつてのA110と同じように、さらなる高性能バージョンやサーキット仕様、カブリオレあたりが追加されるかもしれない。

ところで1973年、A110が世界ラリー選手権でチャンピオンを獲得したとき、シリーズを2位で終えたのは、こちらも最近、同名モデルが復活したフィアット「124スパイダー」だった。フィアットはすでにその現代版でもラリー・バージョンを開発している。これにアルピーヌが応えてくれたらと期待するのは懐古趣味が過ぎるだろうか。