SUBARU IMPREZA PROTOTYPE
スバルCセグメントを支えるインプレッサが、この秋にフルモデルチェンジを迎える。今回はそのローンチ直前のプロトタイプを、修善寺サイクルスポーツセンターのクローズドコースで試乗した。

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イメージリーダーであったWRXを独立・上級移行させ、いわば"派手な看板"が無くなったインプレッサ。スポーツワゴンとしてはレヴォーグも高い人気を誇っているだけに、はた目から見ればその存在感は、ここ数年で一気に薄くなったかのように感じる。

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しかしスバル独特の技術である水平対向エンジンと4輪駆動のカップリングはいまや立派なブランドアイデンティティとなっており、そこにアイサイトを中心とした安全技術の追加と、なにより価格帯の安さが加わって、インプレッサは骨太な人気を保ち続けているのである。多くの人が"スバルを買う"ために、これを選んでいる。

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そんな、ごはんでいえば"お米"的な存在のインプレッサだが、今回の新型には当たり年の予感がある。その理由を端的に言えば、味が良い。

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ちなみに試乗したのはスポーツワゴン形状の「インプレッサスポーツ2.0i EyeSight」と、4ドアセダンの「インプレッサG4 2.0i EyeSight」。双方ともにエンジンは2リッターで、駆動方式は4WDだが、そのラインナップには従来通り1.6リッターのFWDも加わる。

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エンジンは現代水準で考えると、ごくごく平凡だ。
2リッターエンジンは、先代のFB20を踏襲。その8割方を刷新したというが、出力的には4psのアップに過ぎない(トルクは196Nmで変わらず)し、燃費性能もFWDで17km/L、4WDで16.8km/Lと、直噴化の影響が色濃く出ているわけではない。

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それでもクランクシャフトの改良やカムカバーの樹脂化などによって12kgの軽量化を達成。ピストンの形状やTGV(タンブル・ジェネレーションバルブ)の取り付け位置を変更によって混合気の流れを適正化するなど、実に地道な改良を施して進化を続けている。
これを補佐する「リアトロニック」も、エンジンと同様にその8割方が新設計された。
7.8kgの軽量化と共に、レシオ守備範囲を従来の6.28から7.03へと拡大することで、低速域でのレスポンスから高速域での燃費走行まで広範囲にカバー。ちなみにこの数値は、同セグメントのトルコンATやDTC(デュアルクラッチトランスミッション)を大幅に上回っているという。
個人的にはCVTの常に滑り続けているようなフィーリングは嫌いだ。しかしリアトロニックはショートピッチチェーンとプーリーの組み合わせがよいのか、ここに嫌みがなかった。

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レスポンスが求められるアクセルの踏み始めにもきちんと反応するし、パーシャルスロットルから強めにアクセルを踏み込んでパワーを引き出すような場面でも、無段階変速モードからステップモードへと切り替わってくれる。低速コーナーからの立ち上がりなどで追従性が若干悪いと感じたときは、「インテリジェントモード」から「Sモード」へと切り替えれば、素早いレスポンスを手に入れることもできる。

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ただFB20ユニットが水平対向エンジンの弱点を補う90mmのストロークを持っていようとも、直噴ターボ勢と比べてしまうと、その低速トルクの立ち上がりで特筆すべき点はない。あくまで先代と比べて良くなっただけの話である。またCVTがいかに洗練されたとはいえ、DTCやトルコンATに対してキャラが薄いのは事実である。

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では新型インプレッサの何がよいのか?
それはシャシーバランスだ。これが素晴らしく整っているからこそ、キャラの薄いエンジンやトランスミッションが名脇役となり、クルマ全体のトーンがハイレベルに揃う。

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その核となるのは「スバル グローバル プラットフォーム」。
現行型と比べて、ねじり剛性で70%、サスペンションの支持剛性ではフロントが70%、リアがサブフレームも含んで100%の剛性アップを果たしたプラットフォームの効果は大きく、そのサスペンションをシームレスに素直に機能させる。

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サイクルスポーツセンターの路面がクリーンなこともあるが、それを考慮してもその乗り心地は上質で、ハンドルから伝わる感触に雑味がない。路面のうねりにもサスペンションのあおりがなく、フラットな姿勢を保つことができる。

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そして静粛性も非常に高い。遮音性が高いこともあると思うが、ボディ自体が反発しないから、バネがきちんと縮んで、ダンパーが路面からの入力や振動を吸収してくれるのだ。
そしてハンドルを切れば、どこまでも気持ち良く曲がって行く。ロールスピードが穏やかだから、安心してタイヤに荷重をかけて行けるのである。

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当日はワゴンボディである「SPORT」とセダンボディである「G4」を試したが、その違いを明確にすることはできなかった。ワゴンボディでもその剛性に不満は感じられず、セダンよりも静粛性が低く感じられるようなこともなかった。

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驚いたのは18インチ装着車の乗り味だった。
タイヤ自体も18インチが「ADVAN Sport V105」で、17インチは「TURANZA T001」と、その役割をあからさまに分けていたこともあるが、このプラットフォームにはV105の高い入力を余裕で受け止めてしまうから、18インチの方が乗り心地も上質に感じられてしまうのだ。

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また18インチ車にはアンダーステアを抑制する「アクティブ・トルクベクタリング」も装着されており、コーナリング性能はまさに段違いだった。18インチ車の付加価値装備だとは思うが、ECUデータを変更するだけでできる機能なのだから、燃費狙いでよりグリップの低い17インチ車にこそ付けて欲しい装備だと感じた。

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新型インプレッサは、乗った瞬間からその気持ち良さや心地よさが体感できる。ハンドル越しに伝わるそのスッキリとした味わいと乗り心地の良さは、現状日本の道路環境に最もフィットするCセグカーだと言える。

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またアイサイト3を始め、歩行者保護エアバッグ(国内初。全車標準装備)や、合計7つの乗員保護用エアバックを搭載し、高い安全性を"標準化"したことも評価できる。

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ただスバルの開発陣は、インプレッサの目指す理想を欧州車のライバルたちに重ねているフシがあり、それに対しては大いに疑問だった。たとえばボルボV40やフォルクスワーゲン ゴルフのようなどっしり感、高速安定性が欲しいというなら、まずは電動パワーステアリングの支持剛性はもっと上げるべきであるし(2ピニオン式にするべきだろう)、このハンドリングの軽快さは、よりスタビリティ重視の方向へと修整するべきだと思う。
マーケティング理論では真っ先に省かれるリアスタビを標準化したことは素晴らしいが、その程度の意識レベルでは、彼らのいる領域には入れない。

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いまの極めて淡麗な味わいを消してまで、世界的に見てもドイツ以外では全く現実味のない速度域でスタビリティを保証する方向性に持って行く必要はないと思う。もしくは、この軽快感を残しながら、超高速域に入るほど安定性を高めて行く"次の一手"が必要だ。
そのカギを握るのは、空力性能だとボクは思う。

■スバル 公式サイト
http://www.subaru.jp