ホンダは、10月4~7日に千葉県の幕張メッセで開催されたCPS/IoT EXHIBITIONである「CEATEC JAPAN 2016」に出展した。

「CEATEC JAPAN」のホンダのブースは例年凝った作りとなっており、過去には巨大なヤカンなどを設置したブースを構えるなど来場者の目を引く内容となっている。そして、今年は和の雰囲気とかぐや姫が竹から登場する演出がなされ、行きかう来場者の注目を浴びていた。

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今年の展示内容は、日本の昔ながらの狭い細い路地などの近距離での移動をスムーズにさせるためのプラットフォームコンセプトの提案となっている。

そのため古都をイメージした展示に、竹から生まれたかぐや姫がブース案内をするという演出がなされたわけだ。


近距離移動のプラットフォームとして、マイクロEV(超小型モビリティ)の「MC-β」が出展された。このモビリティは2013年に登場以来、日本国内で様々な実証実験を重ねてきている。

ボディサイズは、全長2,495mm × 全幅1,280mm × 全高1,545mmとなっており、国内はもとより世界中の狭い路地でもスムーズに通り抜けられるコンパクトサイズなのだ。

高齢化社会に向けて、このような2人乗りEVの市場ニーズは高く、いつ市販化されてもおかしくない状況であるが、残念ながら国土交通省の超小型モビリティの規格が決定していないため、実証実験から抜け出せない状況のようだ。

ちなみに、似たような小型EVでは、1人乗りで、コンビニ等で活用が進んでいるトヨタコムス」などがあるが、これは別規格だ。


そのような中、MC-βをより活用できる場として今回は古都、鎌倉でコラボレーションしてくれる企業を探していていたところ、鳩サブレーで有名な豊島屋が全面的にホンダに協力してくれたとのことだ。

この「マイクロコミューター豊島屋モデル」は、鳩をモチーフとして作られたリアハッチゲートや豊島屋のマークなど、通常のインジェクション成型では作るのは難しい形状が採用されており、3Dプリントならではので細かな表現がなされている。また、シートなども鳩のマークがパターンであしらわれており、豊島屋の強いこだわりが感じられた (詳細はこちらの記事を参照)。

ベースとなっているMC-βには、ユーザーニーズに合わせたカスタマイゼーションを実現するVariable Design Platformという発想が採用されている。

これは、基本的な走行ユニットとボディ骨格をベースとしてプラットフォーム化することで、ユーザーニーズに合わせて3Dプリンターで作ったボディを装着するだけで、様々な用途に合わせたモビリティを作ることが出来るようになるのだ。


今回は、あえて部分的に3Dプリンターで作ったことが分かるように積層の模様が残して展示がなされた(画像で仕上がりが粗く見える部分)が、ボディ全体はしっかり磨きがかけられており、一見すると3Dプリンターで作られたものとは分からないクオリティの仕上がりとなっている。

普通の自動車のように金型を起こしてボディを作ると数十台というレベルの台数ではボディを作ることはできないが、3Dプリンターでボディを作れば、1つからでもできてしまうのだ。3Dプリンターでのボディ製作が普及すれば、これまでの自動車づくりとは違う世界が広がるに違いない。


ホンダは、オープンイノベーションの展開として、デザイナーズネットワークの「ランサーズ」を使った3Dデザインなども行っている。

画像は各デザイナーがMC-βのプラットフォームをベースに様々なデザインを施したものだ。これまでは、イラストなどによるデザイン提案というレベルで終わっていたものが、これからはデザイナーが3Dでデザインすれば、3Dプリンター使って、より簡単にモノにして試して評価できるようになっていくに違いない。

ちなみに、「マイクロコミューター豊島屋モデル」はホンダの内製ではなく、デジタル製造技術をコアテクノロジーとし、ハードウェアとソフトウェアとデザインを融合したプロダクト・サービス開発を行っている「カブク」がデザイン・製作したボディを架装した。

このように、プラットフォームは自動車メーカーが、デザイン、ボディ製作はオープンイノベーションで開発されていくことで、これまでの概念を超えたモビリティが実現するに違いない。


もう一つの出展としては、業務用テレマティックサービス「Honda Biz LINC」が展示された。

「Honda Biz LINC」は、ゼンリンデータコムと開発中のクラウド型ソリューションサービス。これは、2012年4月から開始しているHonda Moto LINCの技術とスマートフォン・タブレットの位置情報(GPS)を活用することで、二輪車や小型車での近距離移動を伴う業務の効率アップを支援することができるサービスだ。

ネットショッピングが普及し宅配業務が増える中、高齢化で労働人口は減少していく。そのような社会で、宅配業者がいかに効率よく業務を行うかが、今後のカギとなっていくだろう。

ホンダは今回の古都をモチーフとしたブースで、これからの日本の新たなモビリティの在り方、活用方法を提案したが、この提案は日本だけではなく、世界中の都市部でも活用できるリソースになるに違いない。

ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp/auto/