Renault TWINGO
 思い返せば、初代トゥインゴがデビューした時には、何よりそのデザインに本当にびっくりさせられたのだった。びっくりというか、ギョッとした。何だコレは?! と、困惑したと言ってもいい。

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 横から見ると、フロントノーズからルーフの後端まで、フォルムはまさにワンモーションで描かれ、しかもすべての面、すべての線に丸みがある。何ともファニーな姿だけれども、決してファンシーグッズのようではなく、しっかりとした芯が感じられたのは、タイヤを四隅に追いやり、可能な限りの室内空間を確保するパッケージングの崇高さが、向こうに透けて見えたからだろう。

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 実際、室内は広く、しかも色使いはポップ、シートはふっかふかで、とても快適だった。コンパクトカーなのに街中だけじゃもったい、どんどん遠くに行きたくなるようなクルマに仕上がっていたのだ。

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 そう、ルノーは小型車づくりに有用な、おもちゃ箱のような引き出しをいっぱい隠し持っているだ。新しいトゥインゴも、そんな初代に負けないインパクトを放つ存在だ。何しろ2016年に登場する新型車にしてRR、つまりリアエンジン、リアドライブへと宗旨替えしてきたのである。
 戦後すぐの4CV、ドーフィン、そして8に至るまでRRの小型車をつくっていたルノー。FFの技術が確立できていなかった当時、RRレイアウトは最善の選択だった。では、8の生産終了から40年を経て、最新のトゥインゴが再びRRレイアウトを引っ張り出してきたのはなぜかと言えば、実はこれもパッケージングのため。時代は巡り、サブコンパクトのサイズでは再び、RRに多くのメリットが見出だせると、ルノーでは考えたのだ。

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 小型化したエンジンを車体後部の床下に積み込めば、当然フロントフードを短縮して車体をコンパクトにできる。エンジンがない車体前部は、それでも十分なクラッシャブルゾーンを確保。また、駆動系の制約がが無い分、フロントタイヤはギリギリまで前に出せるから、足元スペースは十分に確保でき、また前輪切れ角を大きくして小回り性を高めることも容易というわけである。
 これ、どこかで聞いた話だなと思ったら、スマートがRRレイアウトを採用した論理と一緒だ。そう、実は新型トゥインゴは、スマート フォーツー/フォーフォーと車体の基本骨格を共有している。いわゆる双子車なのだ。

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 しかし内外装は、ちゃんとルノーしている。全長3620mmに過ぎないボディは、硬質ではないどこか温もりのある面で構成されていて、独自の質感がある。四隅に追いやられたタイヤの醸し出すスタンスの良さ、往年のサンクターボをモチーフにしたリアデザインなども相まって、凛々しいけど可愛らしい、他にはない存在感を発揮している。

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 インテリアも、高級ではないがポップな雰囲気が居心地良い。アイポイントが高く、ガラス面積も大きく取られているから、開放感は抜群。しかも先代のガラスルーフではなく、キャンバストップを装着することもできる。後席だって十分に使い物になる。初代もそうだったが、大人4人での長距離ドライブだって、新しいトゥインゴなら窮屈な思いをしなくて済みそうだ。

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 ラゲッジスペースも、ちゃんとした容量が用意されている。通常時は188ℓ、後席バックレストを起こせば219ℓを確保し、更に後席を倒せば980ℓも飲み込む。床下に置かれたエンジンが実は49度も傾けられているおかげだ。但し、さすがに走行中は多少温かくなるので、そこだけは要注意である。

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 エンジンを始動しても、室内は静かなもの。後方から聞こえてくるエンジン音は、分厚いフォームで遮音していることもあって、不快な音がフィルタリングされ、耳に心地の良い成分だけが響いている。そのエンジンは排気量0.9ℓの直列3気筒ターボ。さすがに低回転域ではトルクが細く、しかも組み合わせるのが6速DCTなので、発進や低速走行の場面では、多少気を遣う。けれど動き出してしまえば、あとは右足の動きと加速感がダイレクトに繋がった、軽快な走りを楽しめる。

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 速度が上がった方が、すべてがスムーズなのは、やっぱりフレンチコンパクト。DCTも、いっそ手動で変速させた方がリズミカルに走ることができるのだった。

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 注目のフットワークは、やはり鼻先の軽さが印象的で、心地よい手応えを返すステアリングの操作に対して、まさにキビキビとと表現するのが相応しいレスポンスを返してくる。安定性最優先で、むしろ鈍重な印象のスマート フォーフォーとは、まったく別のクルマのようだ。

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 サスペンションのコシがありつつも柔らかなタッチは、これもまさにルノー。安っぽさが無く、むしろどこか骨太な感じすらある手練のセットアップには感心してしまう。強いて言えば、ホイールベースが長い割には、うねった路面では4輪一緒に浮き上がってしまうのが気になった。RR特有の不安定さが出るのを嫌って、引き締めているのだとしたら、納得はできるところではあるけれど。

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 初代トゥインゴは最初はギョッとしたけれど、見るほどに乗るほどに、すべてが計算づくと理解できる、とても知的で気持ちのいいクルマだった。そして新型トゥインゴも、やはりそんな爽快なクルマに仕上がっていた。最初は何でRR? と思ったけれど、実際に触れてみれば、そのメリットがあらゆるところに存分に活かされている。そして、唯一無二のクルマに仕上げられているのだ。

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 ずっとルノーのファンだという人は、間違いなく満足できるだろう。小さいクルマにしたいけれど、ありきたりのじゃイヤだという人にも、もちろんオススメ。でも何より新型トゥインゴは、必要性云々よりストレートに情感に訴える部分で、これなら乗りたい! と思わせる1台だと言えるんじゃないだろうか。

ルノー・ジャポン 公式サイト
http://www.renault.jp