F1の世界におけるエンジニアは細部にまで拘ることで知られている。しかし、実際にどれほどの拘りを持っているのだろうか? それは、レッドブル・レーシングが制作したビデオが教えてくれる。映像からは、最も小さなパーツの1つであるボルト1本を作るにも、莫大な労力が費やされていることが分かる。

音声はなく美しい映像だけが流れていくこのビデオには、レッドブルのF1マシン用にボルトが作られる全過程が収められている。まずは、エンジニアがデザインを紙に描くことから始まる。そのデザインを3Dでモデリングして細部を確定したら、機械工が指定された金属塊から削り出す。ボルトが完成したら、それで完了...ではない。出来上がったボルトはミクロメーターや顕微鏡を使って念入りに検査され、品質保証をクリアしたら、レーザーでナンバーを刻印。それを袋に入れ、F1マシンに使われるまで保管することになる。

ボルト1本のために費やすには馬鹿げた労力と思うかもしれない。ある意味ではそうとも言えるが、しかし、そこには十分な根拠がある。プロフェッショナルなモータースポーツの世界では、どんなに小さなパーツであっても、不具合が起きればチームのレース結果に負の影響を及ぼす可能性があるからだ。今年のル・マン24時間レースでこの教訓を痛感したのがトヨタであり、最終ラップに生じた吸気ダクト回りの不具合で、優勝を逃すという悲劇を経験している。この事実を考えれば、金物店で売っているグレード8のボルトが、F1マシンには相応しくないことが理解できるだろう。




By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー