アストンマーティン、レッドブル・レーシングと共同開発したハイパーカー「AM-RB001」を東京で公開
アストンマーティンとF1チームのレッドブル・レーシングによって共同開発されたハイパーカー「AM-RB001」が日本に上陸した。10月3日に東京都内で公開されたのはまだコンセプト・モデルだが、今後は公道仕様と25台のサーキット専用バージョンを合わせて150台ほどの限定生産が予定されている。ちなみに価格は250万ポンド(約3億3,000万円)といわれているが、すでに600件を越える注文が寄せられているという。イギリス、フランス、シンガポールに続いて日本にやって来たということはもちろん、我が国にも購入を希望している方が何人かいらっしゃるということだ。



今回展示された車両は実際には動かないモックアップであるため、見るべきところはやはり、空力の天才といわれ数々の最強F1マシンを手掛けて来たエイドリアン・ニューウェイによるデザインだろう。ご覧のように車体後部に巨大なウイングは装着せず、ダウンフォースは主にアンダーフロアによって発生させるという。アストンマーティン伝統のグリルを模ったフロント・ノーズの開口部は、ラジエターではなくフロア下に向けて空気を吸い込む。最先端のエアロダイナミクスを備えながらも、美しく隆起した前後フェンダーが、1959年のル・マン24時間レースで優勝した「DBR1」を思わせる。



ミドシップに搭載されるエンジンは「高回転型の自然吸気V型12気筒」ということのみで、スペックについては明らかにされていないが、見るからに軽そうなカーボンファイバー製ボディとのパワー・ウェイト・レシオは、公道走行用ロードカーとしては驚異的な1.0kg/hpになるという。つまり、仮に車両重量が1,000kgだとしたら、エンジンの最高出力は1,000hpということだ。ブガッティは確かに1,500馬力のロードカーを市販しているが、あちらが4基ものターボチャージャーの力を借りるのに対し、アストンマーティンのエンジンが"自然吸気"でこれに対抗しようとしていることに注目したい。

それ以外の点もまだ謎に包まれている。トランスミッションは「ニューウェイがアイデアを出して、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズが開発した」という「クリーン・シート」デザインを採用し、公道でも高い快適性を実現するというサスペンションには「革新的な技術と共に、ニューウェイの30年以上に及びキャリアの中で培われてきた理論」が採用されているというが、具体的な仕様については今のところ不明だ。



これはアストンマーティンの伝統とプライドに裏打ちされた挑戦であると同時に、F1で一時代を築いたエイドリアン・ニューウェイとレッドブル・レーシングの、ロードカーという新たな分野に対する挑戦でもある。熾烈な競争が絶え間なく続くF1の世界で、勝者であり続けることは不可能に近い。勝者はいつか敗者となる宿命にある。しかし、ニューウェイが活躍する以前にF1の世界で成功を収めたゴードン・マーレイ氏の名前は、今でも究極のスーパーカー「マクラーレン F1」の生みの親として語り継がれている。エイドリアン・ニューウェイが"F1界の過去の人"として一部のモータースポーツ・マニア以外の人から忘れ去られる前に、"アストンマーティンと凄いクルマを作り上げたデザイナー"として未来に名声を残すチャンスでもあるのだ。

AM-RB001の製造はアストンマーティン本社のゲイドン工場にある専用施設で行われ、2018年より選ばれた顧客のもとに届けられるという。実際に公道を走るニューウェイのデザインを、是非ともこの目で見てみたい。