TOYOTA PARIS WRC
バリバリと弾けるサウンドが会場を包んだ。欧州パリモーターショーの会場で、である。
 ショーが行われたコンペンションホールの中でトヨタは、中央に大きなスペースを確保してとある発表を行った。

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 展示スペースにはすでにお披露目がなされている次世代のコンパクトクロスオーバーモデル「トヨタC-HR」が展示されている。市販前とはいえ、直接に手を触れることも許されている。発売に向けてのカウントダウンであることがわかる。
 となると、トヨタが記者発表の内容がきになる。C-HRはすでに発表をすませているから、ここでの登壇はないだろう。次世代モテルの提案か? なんらかのコンセプトカーが公表されるのか? 記者達の興味がつのった。

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 そんな期待感を集め、9月29日13時15分(現地時間)、カウントダウンとともにステージに走り込んできたのはなんと、2017年からトヨタがFIA世界ラリー選手権(WRC)に投入するトヨタ・ヤリスWRCだったのである。

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 そのコクピットに、ラリードライバーとしても知られる豊田章男社長が乗っているのでは? そう想像したいたと者もいたと思うが、豊田章男社長はマシンの後を追うように、ステージに上がった。そして参戦の意義を語ったのである。
 ステージまで自走してきたマシンは、このショーのために急造した張りぼてではなく、実際に競技用に作り込まれたことがわかる。エンジンはチューニング特有の、バリバリと張り裂けるようなサウンドを響かせていた。披露のために磨き込まれているものの、随所に走行の面影が残る。マシン開発は最終段階に突入していることをうかがわせた。

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 豊田社長の発表説明の後、チーム代表のトミ・マキネン監督が、真っ赤なGAZOORacingカラーのシャツを着てステージに上がり、ふたりの軽妙なトークが始まった。
 固い握手をするふたり。そこで豊田社長のこの一言が会場の笑いを誘った。

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豊田「そのシャツの赤はガズーの赤? それとも三菱の赤?」

 突然のアドリブに、トミ・マキネンはただただ顔を赤らめて照れるだけだった。
 その後豊田社長は、アドリブの理由をこう述べている。

「これまで4回も世界チャンピオンになってそのうちの3回は三菱だった。だから敬意を示そうと思ってね」

 豊田社長ならではの心配りとウイットに富んだ性格を誰もが感じたことだろう。
 ともあれ、今回のWRCトヨタ・ヤリスの発表の目玉は、マシンのお披露目ではなくパートナーの公表にあったといえる。

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 なんとラリーマシンのボンネットとサイド回りには「マイクロソフト」のロゴが貼られていたのである。トヨタとマイクロソフトはすでに1月、「トヨタ・コネクテッド」という会社を立ち上げている。今回のサポートはその延長なのだ。ただし、たんなる資金援助だけのスポンサーではなく、「もっといいくるま作り」のためのデータの研究活用が含まれている。

 走行中のデータを分析しプラットフォームを開発することや、チーム活動の情報共有システムの活用や、あるいは応援してくれるファンとのコミュニケーションツールの作成などが含まれているという。その意味でいえばスポンサーではなく、テクノロジーパートナーなのである。世界のビック企業が固く握手をしたわけで、この関係を起点に世界が動く予感すらするのだ。ちなみに、DMG森精機、パナソニック、ミシュランのサポートも発表された。
 パリモーターショーで各車が発表した車両の多くは、時代の流れを象徴するように、EV自動車や自動運転だった。だがその会場でトヨタはラリーモデルをステージに上げた。大きな拍手は、自動車業界への開放感への賛辞だったのかもしれない。

■トヨタ 公式サイト
http://toyota.jp
■TOYOTA GAZOO Racing 公式サイト

http://toyotagazooracing.com/jp/wrc/release/2016/0929-01.html