【パリモーターショー2016】フランス的未来派デザインの傑作、ルノー「トレゾア」コンセプト
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未来の電気で走る自動運転グランドツアラーは、どのような物になるのか。ルノーが示すその答えともいうべき「Trezor(トレゾア)」が、9月29日に開幕したパリ・モーターショーでデビューを飾った。これは奇抜な仕掛けやオーバーなスタイリングが持ち味の純粋なコンセプトカーではあるが、全ての優れたコンセプトがそうであるように、ルノーが進む道を示唆するモデルでもある。そしてパートナー企業の日産もその同じ道を歩んでいくことだろう。

実験的なスタイリングではあるものの、トレゾアは非常にフランス的だ。長くてエレガント、かつ大胆な外観に、鮮やかな赤を使った内装。コンセプト(概念)という言葉が示す通り、ルノーの進化するスタイルの方向性が見てとれる以外、現実味はほとんど感じられない。頬袋のようなダクトは、同社の現行モデルに見られる同じ要素をマンガ的なレベルに誇張したものだ。

面白いものをボンネットの下ではなく上で見つけた。網目のように並ぶ六角形の開口部はエアインテークだそうで、必要に応じてポンと開く(雨の日には閉じるらしい)。実用的ではないにしてもその動きは確かに目を引く。エアロダイナミックスに詳しい人なら、NACAダクトの方がいいと指摘するだろうが、それでは全体に施された六角形のテーマとマッチしない。



仕掛けはこれだけではない。ボディー上部が戦闘機のキャノピーのように、前方にある支点で開閉するのだ。元祖カスタムビルダーのジョージ・バリスにインスパイアされたホット・ウィール製のミニカーのようでもある。また、エクステリアに備わるライトは、完全自動運転モードで走行中、周りのクルマにそれを示すために変化するという。このように、エクステリアに取り付けられたちょっとしたシグナルやシンボルに遊び心を見せ、通りがかりの人と意思疎通を図るようなクルマを作る自動車メーカーが増えている。ただ、それが明らかに有益な効果を生むとは考えにくい。

トレゾアにはデザイナーの冒険が確かに感じられるし、複雑な造形は視覚を楽しませてくれる。ルノー車のスタイリングに前衛的な進化を期待させてくれる。そして日産には、来たる自動運転車化の時代に「GT-R」で目指すべき方向性を考えるヒントにもなったことだろう。


By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー