自動運転技術は、運転がより楽になることを目的に開発が続けられている。日産はその技術を他の分野にも応用する方法を模索し、店先の行列用に自動で移動するイス「プロパイロットチェア」を開発した。このイスは自動的にゆっくりと前に少しずつ進んでいくので、客は立って並ぶ代わりに、イスに座ってリラックスしながら待つことができる。

このイスには、前方のイスを認識するカメラが装備されており、一定の距離を保ちながら追従する機能が搭載されている。さらに、最前列の人が席を立つと、自動で最後尾に移動するような、指定されたルートに合わせて自動的にストップ・アンド・ゴーを行う機能も搭載されている。

この技術は8月に日本国内で発売された新型ミニバン「セレナ」に搭載した高速道路の渋滞時に役立つ同一車線自動運転技術「プロパイロット」から着想を受けている。また、日産が今年2月に公開した自動で元の位置に戻るイス「インテリジェントパーキングチェア」の技術の一部も使われているようだ。日産はこれを来年から飲食店等に無償で貸し出す予定だというので、一部の飲食店で実際に座ることもできるようになるだろう。

このシステムが社会にとってどんな意味をなすかは我々の見方次第だ。楽観的に見れば、これはレジャーと生産性の輝かしい未来への新たなステップとなるだろう。行列に立って並ぶという不便さに、もうこれ以上貴重な時間を無駄にしなくて済む。一方、悲観的に見れば、これは悲惨な未来の始まりかもしれない。皆が物臭になり、肥満になり、インターネット機能内蔵の車イス「Wall-E」に乗って移動するようになるかもしれない。しかし、それでも身体の不自由な人や病気の人にとっては画期的な装置となり得るだろう。おそらく、最も現実的な可能性としては、しばらくは楽しいが、最終的に実用化するには複雑すぎて高すぎる新しい道具となることだ。