アリエル、車体下部の空気を吸い出してダウンフォースを発生させる「エアロPアトム」を発表
ハイパフォーマンスカーには、ダウンフォースを発生させるためにボディワークに施された様々なエアロダイナミクスと連動する大型のリアウイングが取り付けられていることが多い。だが、アリエルは今回、エアロダイナミクスのスペシャリストであるTotalSim社およびDelta Motorsport社とパートナーシップを組み、ウイングを装着する代わりに車体下部の空気を吸い出すことで、ダウンフォースを発生させつつ空気抵抗を抑え、排出ガスの削減と安定性の向上を実現したという「エアロP アトム(Aero-P Atom)を開発した。

「Aerodynamic Efficiency Requirements & Optimization Project」(「空気力学的効率の要件と最適化プロジェクト」の意)の頭文字を取って命名されたエアロPアトムは、「アトム」をベースに製作されているが、車体下部に装着されたラバースカートと2基の小型高速ファンが、真空に近い状態を生み出してダウンフォースを発生させる仕組みとなっている。この手法は、レギュレーションに違反しているとして使用が禁止された昔のレースカー、ブラバム「BT46」とシャパラル「2J」から着想を得たとのこと。従来型のウイングは多大なドラッグを発生し、効果を発揮するのは高速時に限られるが、ファンはドラッグを全く発生しないだけでなく、低速でも強いダウンフォースが得られる。

また、このシステムは必要に応じでオン/オフが可能であるため、ドライバーはコーナリング時に高ダウンフォース、直進時には低ダウンフォースを選択することができるという。アリエルは、この技術が単なる見せ掛けではなく、ウイングを装着するよりも多くのダウンフォースを得られるシステムだと主張している。

このシステムの明らかな利点は、「ドラッグを低減しながら、より多くのダウンフォースを発生してパフォーマンスを向上させる」ことにある。だが、こうしたシステムに排出ガスの削減効果まであるかどうかは、我々には分からない。高速走行時は燃料の燃焼速度が増加する傾向にあるため排出ガスも増加してしまうが、ドラッグが若干でも減少すれば削減にプラスの影響があることは確かだろう。

エアロPアトムは現在、テストの初期段階にあるという。非常に素晴らしい技術ではあるものの、市販車に応用される可能性は低いと思われる。日常的に乗るクルマにダウンフォースの向上はそれほど必要ないし、小石や道路に落ちているゴミが時間の経過とともにファンを壊してしまうだろうからだ。サーキット専用車であれば、このシステムから多大な恩恵を受けるはずだが、我々は高々とそびえ立つウイングを取り付けたスーパーカーが恋しくなるに違いない。


By Joel Patel
翻訳:日本映像翻訳アカデミー