Harley-Davidson Milwaukee Eight 02
前回お伝えしたとおり、アメリカ・タコマ(ワシントン州)で開催されたハーレーダビッドソンのニューモデル試乗会で、話題の新型エンジン「Milwaukee Eight(ミルウォーキーエイト)」搭載車に乗った。

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ロワーフェアリングを備えるモデルには、ツインカム時代同様のツインクールドシステムが採用されている。これはもっとも熱を持つ排気バルブ周辺にウォーターラインを設け、2つのラジエターを左右ロワーフェアリングに収めるという部分的な水冷システム。2014年モデルからの採用実績があり、いま思えば4バルブ化は「PROJECT RUSHMORE」の時点から視野に入れていたのかもしれない。

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とはいえ、ユーザーからの「熱い」という声をすべて解消することはできなかったのもまた事実。そこでミルウォーキーエイトでは排気システムも刷新し、リアバンクのエキゾーストパイプを内側に寄せ、さらにライダーが地面へ足を下したところに丁度あった触媒をマフラー後方へ移設した。排気量アップに伴って長年悩まされてきた熱の問題をクリアへ近づけている。今回、2日間400マイル(640km)に及ぶテストライドでは、都市部でストップ&ゴーを繰り返す渋滞にハマったが、足もとに熱さを感じることはなかった。

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それとクラッチ操作が軽くなったことも報告しておきたい。一部機種に採用されていたアシスト&スリッパークラッチが一新され、レバーを握る力が少なくて済むようになっただけでなく、エンジンブレーキを積極的に使えるになった。たとえばコーナー進入時の減速でシフトダウンしたいときも、容赦なくガツンとシフトペダルを踏み込めばいい。ワインディングが続くワシントン州西端の半島、Olympic National Park(オリンピックナショナルパーク)の山岳路で、スポーティな走りがよりイージーに楽しめる。

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また新生ツーリングファミリーでは、エンジンマウントをはじめとするメインフレーム各部の改良も施されたが、車体まわりで特筆するべきは前後サスペンションの一新だ。まずフロントには、SHOWAの「Dual Bending Valve Front Fork(デュアルベンディングバルブフォーク)」が導入され、動きが格段に良くなっている。圧力バランスの変動が発生しない油圧回路を採用し、押し側と引き側の減衰力発生機構をシリンダー外側に集約した先進的なフロントフォークで、低速時の乗り心地と高速時の安定性という相反する特性をより高い次元で両立できるようになった。ストローク長は117mmで、ローモデルでも98mmを確保。インナーチューブ径は49mmとなっている。

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リアショックには手動ノブが備わっていて、車体左側のサドルケースを外すと姿をあらわす。標準設定は欧米人に合わせた体重80kgほどだから、64kgのテスターにはプリロードが効きすぎている。ノブで緩めてやると初期荷重からスムーズに動くようになった。ちなみにセッティング範囲は従来比3割増しで、ツールを使わず23回転で25mmの調整が可能だ。

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ニューエンジンとグレードアップした前後サスペンションのおかげで、ツーリングファミリーの走りはより豪快で力強くなったが、そのCVO版もまた走りに磨きをかけている。搭載するエンジンはボアもストロークも拡大(100×111mm 102×114.3mm)し、排気量を123cc増しとした「Twin-Cooled Milwaukee Eight 114(1,868cc)」。

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ウルトラリミテッドもそうだったが、超重量級といえる車体にサスペンションが負けておらず、大きな段差を乗り越えたり、コーナーで負荷をかけてもストロークの奥でしっかり踏ん張る足まわりで、ハードなライディングでも安心できる。バッドウイングフェアリングを備えるヘビーなハンドルまわりでありながら、車体の旋回性は決して悪くなく、ダイナミックにバンクさせればコーナーの出口に自然に巨体が導かれる。オレゴン杉を中心とした針葉樹の森に、114ciのVツインサウンドが響き渡り、アクセルを大きく開けるのが楽しい。

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CVOストリートグライドはオーディオシステムが素晴らしい。高出力アンプで6基のスピーカーをドライブさせるのだから、そのサウンドはクリアかつ迫力満点。オーディオの操作はフェアリング内のインナーパネルに埋め込まれる6.5インチ・タッチパネルでおこなう。

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ツーリングファミリーでオーディオ未搭載なのはロードキングだけだ。

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ニューモデルもある。リア2輪のトライク「フリーウィーラー」という。これは北米市場では従来から存在していたが、ミルウォーキーエイト107搭載を機に日本市場にも導入された。

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トライクはウルトラ仕様の「TRIGLIDE」もラインナップされるが、フリーウィーラーはロードキングベースのストリップ仕様。ウインドシールドもなく、大胆に風を感じて走れる。

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こうして渡米し、2日間400マイル(640km)徹底的にミルウォーキーエイト搭載モデルに乗り込んできた。日本で新作エンジンの発表を知ったときには「味気ないものになっていないか......!?」と懸念したが、その心配は無用だった。

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1909年から100年以上も続くV型2気筒はもちろん、1936年のナックルヘッドに由来するOHVを貫き通し1カムにこだわったことで、ハーレーらしさに満ち溢れたエンジンであることが分かり、それが何よりも嬉しい。
また日本で乗る機会が9月末に訪れるので、各車両の詳細なインプレッションは、後日お届けする。


ハーレーダビッドソンジャパン 公式サイト
http://www.harley-davidson.com/