Harley-Davidson Milwaukee Eight 01
ついに登場したハーレーダビッドソンのニューエンジン「Milwaukee Eight(ミルウォーキーエイト)」。その正体をいち早く突き止めるため、アメリカ・タコマ(ワシントン州)で開催された試乗会に日本から乗り込んだ。全米からはもちろん、メディア陣が世界各国から集まったワールドワイドな発表試乗会とあって規模は大きい。なんといっても、1909年から連綿と続く伝統のVツインエンジンが刷新されたというのだから世界中が注目しないわけがない。日欧米の大型モーターサイクル成熟市場国からだけでなく、中国やタイ、インドネシアなど今後ハーレーユーザーが増えることが予想されるエリアからも「ハーレーの最新エンジンはいかに......!?」と、大勢のジャーナリストが駆け付けた。

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用意された豪華なホテルではまず技術説明会が開かれ、新型パワーユニットについての詳細が明らかとなった。排気量は107キュービックインチ(ci)=1,745ccと114ci=1,868ccの2本立てで、後者は最上級機種「CVO」だけが搭載。ツインカム103にもあった排気バルブまわりのみを水冷化した「Twin-Cooled(ツインクールド)」も用意され、ロワーフェアリング装備のウルトラ仕様車に積まれる。少しややこしいので、どのモデルにどのエンジンが搭載されるのかは以下を参照されたし。


■Milwaukee Eight 107(1,745cc)
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ROAD KING<ロードキング>

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STREET GLIDE SPECIAL<ストリートグライドスペシャル>

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ROAD GLIDE SPECIAL<ロードグライドスペシャル>

■Twin-Cooled Milwaukee Eight 107(1,745cc)
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ULTRA LIMITED<ウルトラリミテッド>

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ULTRA LIMITED LOW<ウルトラリミテッドロー>

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ROAD GLIDE ULTRA<ロードグライドウルトラ>

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TRI GLIDE ULTRA<トライグライドウルトラ>

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FREEWHEELER<フリーウィーラー>

■Twin-Cooled Milwaukee Eight 114(1,868cc)
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CVO STREET GLIDE<CVOストリートグライド>

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CVO LIMITED<CVOリミテッド>


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興味深いのはボア×ストロークがそれぞれに異なり、Milwaukee Eight 107はボア×ストロークを100×111.1mm、114は102×114.3mmとした。ボアアップだけで排気量を稼ぐのではなく、ハーレーのVツインらしいロングストローク設計を123cc増しのCVOでも損なわないよう配慮した結果だ。

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概要がわかると、いよいよ2日間400マイル(640km)に及ぶテストライドがスタート。ワシントン州西端の半島、ダイナミックな大自然のなか美しい山岳路が続くOlympic National Park(オリンピックナショナルパーク)でロングライドを味わい尽くす。
2017ツーリングファミリーの実車を目の当たりにして、まず感じたのはツインカムエンジン時代と車体のサイズ感が何ら変わらないということ。「従来以上に車体が大きくなるのは嫌だな」と思っていたから、ひとまず安心といえる。

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そして肝心なVツインは相変わらず美しい。空冷エンジン特有の冷却フィンが刻まれ、45度のバンク角、別体ミッション、プライマリーチェーンケースを持つ伝統的な構造も変わっておらず、OHVであることを証明するプッシュロッドも健在。新設計で容量の増えたエアクリーナーボックスがそこにセットされ、ニーグリップがしっかり決まるのも報告しておきたい。

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シリンダーヘッドまわりのボリューム感が増しているのは、シリンダーあたり2バルブだったのを4バルブ化したことによるもの。つまり8バルブ。「Milwaukee Eight」の"エイト"は8バルブであることを示していて、"ミルウォーキー"はハーレーファンなら説明は要らないだろう、ハーレーダビッドソンの本社があり、エンジンを組み立てるファクトリーを構える地名から由来するというわけだ。

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いささか興奮気味にスターターボタンを押すと、瞬時にエンジンが目覚め、やがて850rpmという低い回転数にアイドリングが落ち着く。これはセルモーターと充電系統の強化(発電量50%向上)、フライホイールも再設計されたことに加え、カウンターバランサーを内蔵したことによるもの。微細な振動を打ち消すためのバランサーが、アイドリングの低回転化にも貢献した。なお、カウンターバランサーの内蔵によってアイドリング時の一次振動を75%相殺している。

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クラッチをつなぐと、低中回転域からより図太いトルクを発揮し、速度域はあっという間にクルージングレンジに達する。これは気持ちがいい。神経質な部分がなく扱いやすいのは相変わらずだが、よりいっそうの豪快な加速と鋭いスロットルレスポンスをミルウォーキーエイトは獲得している。カタログ値のピークトルクは約10%向上だ。

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燃焼室には2本のスパークプラグが配され、デュアルノックセンサーによってより低い回転域でのクルージングを実現。フューエルインジェクションのスロットルボディも50から55mmに拡大し、吸気ポートにはデュアルスプレーインジェクターも備えた。燃焼効率の向上は走りの性能だけでなく、環境性能にも大きく影響し、欧州の排ガス・騒音規制「ユーロ4」以降への対応も期しているのは言うまでもない。
そして、より効果的にシリンダーヘッドを冷却するために、2つの排気バルブの間にオイルラインを設けた。部分的な噴射などはないものの、これは油冷システムと言っていい。

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なんといっても嬉しいのが、「これぞハーレーのビッグツイン!」と言わんばかりのエンジンフィーリング。4バルブ化とカウンターバランサーの内蔵によってスムーズさばかりが際立ち、鼓動感といったテイスティな部分が失われるのではないかと不安に思っていたが、その心配は無用。それどころか、不等間隔爆発ならではの旨味を一段と強調している。

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その要因の1つに、カムシャフトのシングル化がある。エンジン担当エンジニアのビル・パリ氏(Technical Staff Engineer=Mr. Bill Pari)によると「構造をシンプルにしたことで整備性、静粛性を向上するだけでなく、45度Vツインならではの鼓動感に満ちたフィーリングを得ている」とのこと。カムの本数だけに限れば、1999年までのエボリューションエンジン同様の1カムに遡るという英断を下したのだ。


Harley-Davidson Milwaukee Eight 01
1909年のFirst V-TWINを皮切りに、Fヘッド(1911〜29年)、フラットヘッド(1929〜72年)、ナックルヘッド(1936〜47年)、パンヘッド(1948〜65年)、ショベルヘッド(1966〜84年)、エボリューション(1984〜99年)、ツインカム(1999年〜)と受け継がれてきたハーレーダビッドソン・ビッグツインの伝統。9代目もまた進化しつつも普遍的な部分をしっかり残し、次世代への道筋を示していく。新生ミルウォーキーエイトは期待以上の出来映えであり、新しい時代の幕開けに心から称賛の拍手を送りたい。

PART2に続く。




ハーレーダビッドソンジャパン 公式サイト
http://www.harley-davidson.com/