ジャガー、EVへの傾倒を強める フォーミュラE参戦から電動クロスオーバー開発まで
Related Gallery:Jaguar Formula E Racing Team

数年前からジャガーは、将来的に電気自動車(EV)に注力していくことを示し続けているが、その具体的な形が明らかになってきた。

9月8日、同社のフォーミュラE参戦に向けたレーシング・チームが正式に立ち上げられ、スポンサー、カラーリング、そしてマシンの「Iタイプ 1」という興味深い名称が発表された。これでジャガーはファクトリー・チームとしてレース界に復帰することとなり、同社の将来的な戦略が1つのモデルとして示されたと言える。

ジャガー・ランドローバー(JLR)のグループ・エンジニアリング・ディレクター、ニック・ロジャーズ氏は発表の中で、「フォーミュラE選手権は、当社の高度な技術を極限的な性能条件の下で設計・テストする機会となる。そこで得られる極めて重要な知識を実用的な開発の一部として応用していく」と述べている。

FIA(国際自動車連盟)が管轄するEVのシングルシーター選手権、フォーミュラEは10月9日に第3シーズンが開幕する。ジャガー・チームのタイトル・スポンサーにはパナソニックが就任した。フォーミュラE参戦はジャガーにとって自然な動きであり、将来に目を向けながらレース界で築いた伝統を守ることもできる。ジャガーが最後にル・マン24時間レースを制したのは1990年だが、同社はメーカー別の優勝回数として4番目に多い過去7回の優勝を果たしているのだ。

確かに輝かしい歴史であるものの、ジャガーはその栄光の日々が色あせつつあることに気づいている。フォーミュラEに取り組めば、モータースポーツで競う中で得られる成果をロードカーの技術に応用していくことが可能となる。ジャガーは、電動パワートレインに関してウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(F1チームで有名なウィリアムズの一部門)の協力を取りつけている。ウィリアムズといえば、かつてジャガーのプラグイン・ハイブリッドカー「C-X75」コンセプトの開発にも関わっていた。

一方、先週にはアルプスで静かにテスト走行しているクロスオーバー「F-PACE」らしきクルマが目撃された。外観は標準的なF-PACEに似ていたそうだが、目撃者によればエンジン音は発していなかったというから、ひょっとすると開発が噂されている電動クロスオーバーではないかという推測が浮上する。このプロトタイプは、レンジエクステンダーとしてディーゼル・エンジンを搭載している可能性が高い。

カモフラージュされたF-PACEには臆測を大いにかきたてられるが、ジャガーのEVへの取り組みは秘密裏に進められているわけではない。ジャガーとランドローバーは昨年、電動パワートレインを搭載した3台のデモ車を披露したように、マイルド・ハイブリッドから完全なEVに至るまで様々な方向性を探っている。なお、JLRは既に「I-Pace」と「E-Pace」の商標登録を出願済みだ。

米国の調査会社オートパシフィックの業界分析担当バイスプレジデント、エド・キム氏は、「JLRが急速に電気自動車へ傾倒していることは間違いない。ラグジュアリー・セグメントにおける中堅メーカーとしての位置づけにもはや満足せず、トップと確実に渡り合っていくための取り組みを進めている。技術の上で先導的な立場に立てば、高級車市場での信用が大幅に高まることを重々承知しているからだ」と話している。


By Greg Migliore
翻訳:日本映像翻訳アカデミー